「ジャクソンホール待ち、動意に乏しい」
しかし、基本的には手掛かり材料難で、相場は動意に乏しいと思われる。欧州では首脳たちが“シャトル外交”を展開しているが、どうも具体案に乏しい状況。ECBによる国債購入も、ドイツ憲法裁判所の判断を待っており、9/12以降になる公算が大きい。すべてが先送りとなっており、南欧諸国はジリ貧の状態となっている。唯一の救いはECBが国債買い入れに前向きであり、国債利回りが低下傾向にあること。スペインの10年物国債の利回りは6.4%台、イタリアは5.7%台に落ち着いている。危険水準といわれる7%を下回っており、それだけECBに対する期待感が強いのだ。日本株が高値圏で推移していられるのも、この期待感のお陰であり、将来的には“材料出尽くし”や“失望売り”につながる可能性が高いだろう。
そのような状況下、日経平均の日足チャートでは、先週末、9070円を中心とした十字足が出現した。基本的には強弱感が対立していることを示唆しており、現時点で方向性は感じられない。
しかし、安値を着実に切り下げており、軸下向きの可能性が高いことを感じさせる動き。9060円の価格帯別出来高のヤマを乗り越えれば、一気に下落スピードが加速しても不思議ではない状況だ。
ただ、本日は買い先行になることから、このヤマを上回ってスタートする。寄り付きでどの程度出来高が生じるかもポイントになるが、短期的には上昇しやすい需給となる。
イメージとしては9110円で寄り付いた後、9090円までいったん調整をし、その後9180円まで上昇幅を拡大した後、9110円まで伸び悩むといった感じだ。軸が下向きだから、最終的には下方向に引っ張られるというわけだ。
市場はECBの国債買い取り、FRBのQE3など中央銀行の政策に期待を高めているが、欧州は政治統合に向けて中途半端な状況であるし、米国はQE3という麻薬的切り札を使いたくない。市場が期待するほど中央銀行が機敏に動いてくれるとは思えず、今後は失望売りが優勢となる公算が大きい。株価がバンバン上がるというわけにはいかないのだ。