資源・新興国通貨の2025年3月までの展望

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最新投稿日時:2024/11/25 15:11 - 「資源・新興国通貨の2025年3月までの展望」(八代和也)

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資源・新興国通貨の2025年3月までの展望

著者:八代和也
投稿:2024/11/25 15:11

豪ドル

RBA(豪中銀)は23年11月に利上げを実施して以降、24年11月まで8会合連続で政策金利を4.35%に据え置きました。

24年11月の会合時の議事録では、「豪州のインフレ率がRBAの予測よりも大幅に鈍化すれば、利下げが正当化される可能性がある」との認識が示されました。その一方で、インフレ率の鈍化が持続可能かどうかを確信するためには「四半期CPI(消費者物価指数)の良好な結果を“複数回”確認する必要がある」とされました。豪州の四半期CPIは10-12月期分が25年1月、25年1-3月期分が4月に発表されます。“複数回”確認した後とすれば、RBAの利下げは早くても25年5月の会合かもしれません。

日銀を除いて主要な中銀が利下げへと動くなか、RBAの利下げはまだ先になるとみられることは豪ドルにとってプラスと考えられます。日銀が追加利上げを実施したとしても、RBAが政策金利の据え置きを続ければ、RBAと日銀との政策金利差はほとんど縮小しないと考えられます。豪ドル/円は底堅い展開になりそうです。豪ドル/米ドルについては、米FRBの利下げペースがどうなるのか?も重要です。FRBの利下げペースが緩やかになる場合、豪ドル/米ドルは上値が重くなる可能性もあります。

***
【豪ドル/NZドル】
RBAの政策金利は当面据え置かれそうです。一方、RBNZ(NZ中銀)は今後も利下げを継続すると予想されます(*詳細はNZドルの項をご参照ください)。RBAとRBNZの金融政策面から見れば、豪ドル/NZドルは堅調に推移しそうです。

RBAはいずれ利下げを行うと市場は予想しています(利下げは25年2月か5月?)。RBAの利下げが現実味を帯びる場合、豪ドル/NZドルは下落傾向に転じる可能性があります。

NZドル

RBNZ(NZ中銀)は8月に0.25%、10月に0.50%の利下げを実施しました(9月は政策会合なし)。次回の政策会合は11月27日に開かれ、0.50%の追加利下げが決定されるとの見方が市場では有力です(一部に利下げ幅は0.75%になるとの観測あり)。

RBNZは11月以降も利下げを続けると市場は予想しており、政策金利は25年7月までに3.25%へと引き下げられるとの観測があります(11/22時点の政策金利は4.75%)。RBNZの利下げ観測はNZドルにとってマイナスです。

日銀はいずれ利上げを行うとみられます。RBNZと日銀の金融政策面からみれば、NZドル/円は上値が重い展開になりそうです。NZドル/米ドルについては、米FRBの利下げペースがどうなるのかも重要です。FRBの利下げペースが緩やかになるとの観測が市場で強まる場合、NZドル/米ドルは軟調に推移すると予想されます。

カナダドル

BOC(カナダ中銀)は6月・7月・9月・10月の4会合連続で合計1.25%の利下げを実施(利下げ幅は10月が0.50%、その他は0.25%)。10月会合時のBOC声明では「経済がおおむね(BOCの)予想通りに展開すれば、政策金利はさらに引き下げられると予想している」とされ、今後さらに利下げする可能性が示されました。

市場では、次回12月11日のBOC会合で0.25%の追加利下げが行われると予想されています。BOCの政策金利はその後、25年4月までに3.00%へと低下するとの見方が市場では有力です(11/22時点の政策金利は3.75%)。BOCの利下げ観測はカナダドルにとってマイナスです。

BOCと日銀の金融政策の方向性の違いを考えると、カナダドル/円は上値が重い展開になる可能性があります。米ドル/カナダドルについては、米FRBの利下げペースがどうなるのかも重要です。今後、米FRBの利下げペースが緩やかになるとの観測が市場で強まる場合、米ドル/カナダドルには上昇圧力が加わりやすいとみられます。

原油価格(米WTI原油先物など)が大きく変動する場合、原油価格の動向も材料になる可能性があります。原油安はカナダドルにとってマイナスです。

トルコリラ

トルコのCPI(消費者物価指数)上昇率は24年5月に前年比75.45%に達したものの、その後鈍化して10月は48.58%でした。

一方でTCMB(トルコ中銀)は24年3月に利下げを実施して以降、政策金利を50.00%に据え置いています。その結果、24年5月にマイナス25.45%だったトルコの実質金利(政策金利からCPI上昇率を引いたもの)は、足もとでわずかながらもプラス圏になりました。
 
CPI上昇率が鈍化傾向にあることから、TCMBはいずれ利下げに転じるとみられます。その場合でも、実質金利がプラスの状態を維持し、さらにはCPI上昇率の鈍化が大きくなるなどして実質金利のプラス幅が拡大すれば、トルコリラ/円は持ち直す可能性があります。

23年6月に経済チームを刷新(財務相とTCMB総裁が交代)してからは、エルドアン大統領がTCMBの金融政策について発言することは少なくなりました。エルドアン大統領が経済チーム刷新前のように再び金融政策に干渉するようなら、トルコリラには下押し圧力が加わりそうです。

メキシコペソ

BOM(メキシコ中銀)は11月15日の政策会合で利下げを決定しました。BOMの利下げは24年に入ってから4回目で利下げ幅はいずれも0.25%でした。

BOMは11月会合時の声明で「政策金利のさらなる調整が可能になると予想している」と改めて表明。次回12月19日の会合での追加利下げが示唆されました。BOMが今後さらに利下げする可能性があることは、メキシコペソにとってマイナスと考えられます。ただ、BOMの政策金利は10.25%(11/22時点)と、依然として主要国の中銀と比べてかなり高い水準です。BOMが追加利下げを行うとしても、そのペースが緩やかならば、メキシコペソ安はそれほど進まないかもしれません。

25年1月に就任するトランプ新大統領の政策には注意が必要です。トランプ氏は大統領選挙において「大統領に返り咲けばメキシコから輸入する自動車すべてに対して高い関税を課す」との考えを示しました。また、トランプ氏は1期目の在任中に不法移民対策をめぐってメキシコに対して強硬な姿勢でした。トランプ次期大統領のメキシコへの関税や不法移民対策の姿勢によっては、メキシコペソに対して下押し圧力が加わる可能性があります。

八代和也
マネ―スクエア シニアアナリスト
配信元: 達人の予想

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