明日の株式相場に向けて=静かなる奔流「インバウンド関連」に刮目
きょう(28日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比214円高の3万8349円と3日ぶりに反発。前日の欧米株安と急速な円高を受け東京市場も朝方は売りが先行、リスク回避モードのスイッチが入ったかと思われたが、3万8000円台を割り込むと、どこからともなく買い注文が集まってくる。これが水鳥の羽音なのかは定かではないが、売り方が慌て気味に買い戻すというパターンが10月初旬以降繰り返されてきた。
図らずして“勝手に踏み上げ相場”の色を帯びてくる。今回もそのケースが当てはまるかは今後を注視するよりないのだが、買い方の立場から押し目買いを入れる一つのモノサシとなるのは、日経平均の3万8000円近辺を横に走る75日移動平均線だ。ここを下回ると、ビリビリっと電気に打たれたかのようにリバウンド相場に転じる。逆にこの75日線が上値抵抗ラインとして機能するような状況に陥ると、売り方の仕掛けが炸裂する可能性がある。振り返れば今年7月末、日経平均は戻り局面を75日線で阻まれたが、その後は周知の通り8月初旬に史上最大の下げ幅を交えた暴落局面に遭遇した。
今はまだ75日線を絡めた攻防であり、その意味で波乱相場の機は熟していないという見方もできる。買い方の視点では、75日線を下抜けた後の戻り局面で、同移動平均線に再び弾き返されるような状況となったら深追いは禁物となる。これを需給面で裏付けているのが同移動平均線とシンクロする価格別の累積売買高だ。滞留出来高が際立って多いのが3万8000~3万9000円のゾーンであり、ここが上昇相場と下落相場の分水嶺となっている。年末高への期待はひと頃よりは大分しぼんではいるが、弱気に傾くのは時期尚早。仮に東京市場が本当の意味でリスクオフに傾くとしても、時間軸的には来年1月20日のトランプ氏の米大統領就任までモラトリアム期間と考えておいてよいのではないか。
足もと外国為替市場では荒れた値動きで、円高への警戒感が拭えない。しかし、これはプラスの側面もある。12月の日銀金融政策決定会合で追加利上げを読む市場関係者も多いなか、「1ドル=150円を切るような円高に振れれば、利上げ見送りの可能性が出てくる」(ネット証券アナリスト)という声もある。事前のアドバルーンをマーケットが好感すれば、年末は内需株中心に物色の矛先が向く可能性が出てくる。急速に円が買われているとはいえ、9月中旬時点で1ドル=140円近辺までの円高を経験しており、いくらトランプ次期米大統領がドル安肯定論者であっても、その水準に再アタックするような経済的背景は見当たらない。円高への行き過ぎた警戒は必要なさそうだ。
物色対象として、半導体関連株は値ごろ感こそあるものの戻り売りの壁が厚い。きょうはブルームバーグ通信が「バイデン政権が中国に対する半導体規制強化を検討しているが、以前想定されていたほど厳しくはない」と伝えたが、何とも奥歯に物が挟まったような証文の出し遅れのような報道で、東京エレクトロン<8035.T>が反応したもののショートカバーの域を出ず、レーザーテック<6920.T>やアドバンテスト<6857.T>が引き続き売り圧力に凌駕されたところをみても綾戻し(あやもどし)の材料にとどまっている。
一方、あまり目立たないがインバウンド関連に強い動きをみせる銘柄が増えている。トランプ次期大統領のSNS砲に振り回されにくいという面も、投資資金の流入を助長しているようだ。候補としてはホテル関連で共立メンテナンス<9616.T>やベルーナ<9997.T>に着目。とりわけ後者は穴株的要素を内包し、PERやPBRなど指標面の割安さも目立つ。このほか、カプセルトイやトレカを手掛けるハピネット<7552.T>、羽田空港ターミナルの家主である日本空港ビルデング<9706.T>、宿泊施設向け予約管理システムの開発・販売を手掛ける手間いらず<2477.T>なども物色対象として面白い。
あすのスケジュールでは、11月の都区部消費者物価指数(CPI)、10月の有効求人倍率、10月の失業率、10月の鉱工業生産速報値、10月の商業動態統計のほか、3カ月物国庫短期証券の入札と2年物国債の入札が行われる。午後取引時間中には10月の自動車輸出実績、10月の住宅着工統計、11月の消費動向調査が開示。また、この日はグロービング<277A.T>とTerra Drone<278A.T>の2社が東証グロース市場に新規上場する。海外では11月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)、インドの7~9月期GDPなど。なお、米国株市場は感謝祭の翌日で短縮取引となる。(銀)
出所:MINKABU PRESS
図らずして“勝手に踏み上げ相場”の色を帯びてくる。今回もそのケースが当てはまるかは今後を注視するよりないのだが、買い方の立場から押し目買いを入れる一つのモノサシとなるのは、日経平均の3万8000円近辺を横に走る75日移動平均線だ。ここを下回ると、ビリビリっと電気に打たれたかのようにリバウンド相場に転じる。逆にこの75日線が上値抵抗ラインとして機能するような状況に陥ると、売り方の仕掛けが炸裂する可能性がある。振り返れば今年7月末、日経平均は戻り局面を75日線で阻まれたが、その後は周知の通り8月初旬に史上最大の下げ幅を交えた暴落局面に遭遇した。
今はまだ75日線を絡めた攻防であり、その意味で波乱相場の機は熟していないという見方もできる。買い方の視点では、75日線を下抜けた後の戻り局面で、同移動平均線に再び弾き返されるような状況となったら深追いは禁物となる。これを需給面で裏付けているのが同移動平均線とシンクロする価格別の累積売買高だ。滞留出来高が際立って多いのが3万8000~3万9000円のゾーンであり、ここが上昇相場と下落相場の分水嶺となっている。年末高への期待はひと頃よりは大分しぼんではいるが、弱気に傾くのは時期尚早。仮に東京市場が本当の意味でリスクオフに傾くとしても、時間軸的には来年1月20日のトランプ氏の米大統領就任までモラトリアム期間と考えておいてよいのではないか。
足もと外国為替市場では荒れた値動きで、円高への警戒感が拭えない。しかし、これはプラスの側面もある。12月の日銀金融政策決定会合で追加利上げを読む市場関係者も多いなか、「1ドル=150円を切るような円高に振れれば、利上げ見送りの可能性が出てくる」(ネット証券アナリスト)という声もある。事前のアドバルーンをマーケットが好感すれば、年末は内需株中心に物色の矛先が向く可能性が出てくる。急速に円が買われているとはいえ、9月中旬時点で1ドル=140円近辺までの円高を経験しており、いくらトランプ次期米大統領がドル安肯定論者であっても、その水準に再アタックするような経済的背景は見当たらない。円高への行き過ぎた警戒は必要なさそうだ。
物色対象として、半導体関連株は値ごろ感こそあるものの戻り売りの壁が厚い。きょうはブルームバーグ通信が「バイデン政権が中国に対する半導体規制強化を検討しているが、以前想定されていたほど厳しくはない」と伝えたが、何とも奥歯に物が挟まったような証文の出し遅れのような報道で、東京エレクトロン<8035.T>が反応したもののショートカバーの域を出ず、レーザーテック<6920.T>やアドバンテスト<6857.T>が引き続き売り圧力に凌駕されたところをみても綾戻し(あやもどし)の材料にとどまっている。
一方、あまり目立たないがインバウンド関連に強い動きをみせる銘柄が増えている。トランプ次期大統領のSNS砲に振り回されにくいという面も、投資資金の流入を助長しているようだ。候補としてはホテル関連で共立メンテナンス<9616.T>やベルーナ<9997.T>に着目。とりわけ後者は穴株的要素を内包し、PERやPBRなど指標面の割安さも目立つ。このほか、カプセルトイやトレカを手掛けるハピネット<7552.T>、羽田空港ターミナルの家主である日本空港ビルデング<9706.T>、宿泊施設向け予約管理システムの開発・販売を手掛ける手間いらず<2477.T>なども物色対象として面白い。
あすのスケジュールでは、11月の都区部消費者物価指数(CPI)、10月の有効求人倍率、10月の失業率、10月の鉱工業生産速報値、10月の商業動態統計のほか、3カ月物国庫短期証券の入札と2年物国債の入札が行われる。午後取引時間中には10月の自動車輸出実績、10月の住宅着工統計、11月の消費動向調査が開示。また、この日はグロービング<277A.T>とTerra Drone<278A.T>の2社が東証グロース市場に新規上場する。海外では11月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)、インドの7~9月期GDPなど。なお、米国株市場は感謝祭の翌日で短縮取引となる。(銀)
出所:MINKABU PRESS
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