必至のポートフォリオ大改造<後編>

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最新投稿日時:2022/10/13 13:31 - 「必至のポートフォリオ大改造<後編>」(みんかぶ株式コラム)

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必至のポートフォリオ大改造<後編>

著者:武者 陵司
投稿:2022/10/13 13:31

<前編>の続き

企業収益、日本のみアップトレンド

 2023年にかけて日本株式は、世界最高のパフォーマンスが期待される。第一に、日本経済と企業業績が世界で最も堅調と予想される。2023年の経済見通しは日本が先進国中で最も高くなると予想されている。IMF(国際通貨基金)は7月時点で「米国1.0%、ユーロ圏1.2%、日本1.7%」、OECD(経済協力開発機構)は9月時点で「米国0.5%、ユーロ圏0.3%、日本1.4%」と予想している。

 日本経済は、(Ⅰ)世界的金融引き締めの中で緩和基調が維持されていること、(Ⅱ)コロナパンデミックに対する過剰反応から最も経済の落ち込みが大きかったが、その反動(リベンジ消費など)が期待できること、(Ⅲ)円安のプラス効果が発現すること――などが予想されるからである。

 殊に円安の波及効果は甚大となるだろう。超円安により、日本はかつての高物価国から新興国並みの低物価国となったが、低物価国の日本へと世界の需要が大きく集まり始めている。

 まず、輸出競争力が高まり、輸出数量が増加し始める。また。輸入品を国内製品に代替することが起きる。かつての超円高の時代に日本企業は海外に工場を移し、国内需要は安い中国品に蚕食されたが、いまその逆のことが起きつつある。割安になった日本で商品を調達し、海外へと転売する越境EC(eコマース)が活況を呈している。この日本への需要集中はまだ始まったばかりであり、これが奔流のように力を増していくことは疑いない。

急増し始めた国内設備投資

 国内設備投資に急増の兆しが表れている。9月の日銀短観の2022年度の設備投資計画は、全産業16.4%、製造業21.2%と過去最高の伸びとなった。シリコンウエハー主体の非鉄金属、化学、電機、機械などの円安の恩恵を受けるハイテク産業の伸びが大きい。総額1兆円に達する台湾積体電路製造(TSMC)の熊本工場建設も動き始めた。

 また、SUBARU <7270> [東証P]が60年ぶりの工場新設となる大泉工場でのEV(電気自動車)生産棟新設、ルネサスエレクトロニクス <6723> [東証P]が甲府工場をパワー半導体生産ラインとして再稼働、SUMCO <3436> [東証P]が伊万里市に新工場を建設、住友金属鉱山 <5713> [東証P]が新居浜市にニッケル電極材新工場を建設、アイリスオーヤマが中国家電生産の一部を国内移管、京セラ <6971> [東証P]が鹿児島川内工場に半導体パッケージ用新棟を建設、ダイキン工業 <6367> [東証P]が中国依存サプライチェーンを国内移管、キヤノン <7751> [東証P]が宇都宮市に21年ぶりに露光装置工場を新設、安川電機 <6506> [東証P]が基幹部品生産を国内回帰し福岡県行橋市に工場を建設、富士フイルムホールディングス <4901> が富山県にバイオ医薬品の製造受託拠点を新設するなど、100億円規模の投資プランが続々と動き始めている。

 今後、円安定着がはっきりするにつれて国内への工場回帰が強まり、投資の伸びはさらに高まるに違いない。

 雇用面でも経済活動の再開に伴い、非製造業の人手不足感が強まっている。9月短観では人員が「過剰」と答えた企業から「不足」の割合を差し引いた雇用人員判断指数(DI)は全産業でマイナス28と4ポイント低下、先行きもマイナス31とさらなる人手不足が見込まれている。すでに過去最高水準にある企業業績は円安効果もあり、さらなる上方修正は必至である。

歴史的好バリュエーション、極端な日本株の割安さ

 株や債券などの金融資産の価格は、利回りから類推することができる。2大金融商品、債券と株式の価格は歴史的に見て大きく揺れ動いてきた。日本の10年国債利回りは0.2%なので、投下資本を回収するのに500年かかると計算される。他方、株式は益回り(1株利益/株価)が8%なので、投下資本を回収するのに12.5年で済む計算となる。ここから株式は債券に対して1対40という極端な割安状態にあることがわかる。この債券と株式の極端な価格差は、世界を見渡しても、日本の歴史を振り返っても、かつてなかったことである。

 ちなみに、米国では国債利回は3.8%なので、債券の元本回収に26年を要す。それに対して株式は益回り7%なので回収には14年かかる。株式と債券との価格差は1対1.8と、日本に比べればだいぶ小さい。

 日米の国債利回りと株式益回りの推移を振り返ると、株式割高(債券割安)時代と、株式割安時代が交互に到来していることがわかる。そして、現在の日本の株式の相対価格は、陰の極と見えるほど割安であることがわかる。同様の極端な株式の割安さは、1950年代初頭の米国株式の爆騰前夜にしかなかったことである。5年後、10年後になって振り返ると、いまがかつてない株式投資チャンスの時代であったことがわかるだろう。

好需給、自社株買い、個人・外国人に加え本邦機関投資家が参戦する

 債券を売った(または預金を下ろした)お金で株を買うことで、とてつもなく有利な運用が可能になっている。日本の家計金融資産の74%(1089兆円)は利息が限りなくゼロに近い現預金・債券で占められ、益回りが8%という有利な株式・投資信託は全体の20%(295兆円)に過ぎない(比率は保険・年金・定型保証除く)。著しく割高な債券と現預金に巨額の資本が退蔵されているが、この巨額な資金がいよいよ株式投資に向かって流れ始めようとしている。

 資産所得倍増政策へと舵を切った岸田政権のNISA改革もあり、「株式投資で資産形成を」という動きは国民的な広がりを見せている。NISA口座の急増、NISA口座からの買い付け額は指数関数的増加ペースにある。積み立てNISA口座からの買い付け額は倍増ペースの伸びを続けており、2023年には2兆円台に乗せるであろう。一般NISAからの買い付け(2021年年間2.7兆円、2022年1~3月1.4兆円)を合算すると、個人の株式積立投資が年間10兆円を超え、一大投資主体として登場するのはすぐ先である。

 また、企業の自社株買いが急増している。2021年度8兆円と過去最高になったが、2022年度は9~10兆円ベースに上ると見られている。さらにアベノミクス時以降23兆円を買った外国人投資家は2020年にそのすべてを売却しつくし、日本株式はアンダーウェートの状態にある。彼らは米国、中国、欧州、韓国など各国株式が固有の問題を抱えている中で、消去法的に日本の輝きを無視できなくなっていくだろう。

 こうした状況の下で、長らく日本株投資に後ろ向きであった本邦機関投資家が参戦する。日経平均株価の2023年3万5000円、2024年4万円は射程内にある、と言ってよいであろう。

(2022年10月7日記 武者リサーチ「ストラテジーブレティン315号」を転載)
 
 
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配信元: みんかぶ株式コラム

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