緊急事態宣言が拡大も、相場には織り込み済み
昨日の米国株式相場は上昇。ダウ工業株30種平均は60.00ドル高の31068.69、ナスダック総合指数は36.00ポイント高の13072.43となった。また、時間外取引の日経平均先物(円建て)は28130円付近での推移。したがって、本日の東京株式相場はもみ合いスタートを想定。前日終値近辺から始まると思われる。
日経平均の日足チャートでは昨日、陽線が出現。売り一巡後に切り返したことで、相場の強さを示している。
また、ローソク足での天井到達感は乏しく、株価の上昇基調に変化はない。適度な調整を経ることで、需給不安が小さいのが現状だ。
新型コロナの感染拡大は、日本経済に暗い影を落としている。緊急事態宣言の対象地域がさらに広がることで、国民の意識や行動も委縮する流れとなりそうだ。
ただ、こういった感染拡大はある程度、織り込まれたもの。金融政策が緩和的であり、財政出動が行われれば、それなりに経済や株価に対して強いインパクトを持つ――そういった期待感が底流にはあり、株価が下落しない要因になっている。
また、トランプ大統領の弾劾訴追に向けての議会採決が本日中にも行われることになりそうだ。賛成多数で可決するとみられ、その結果は上院に送付されることになるだろう。ただ、上院では共和党が過半数を占めており、しかも、合計で66人の議員が賛成しないと成立しない。造反議員が大量に発生する可能性は小さく、トランプ大統領はその任期をまっとうすることになるだろう。これは株式市場にとって大きなリスクにはならない。「どうせ時間切れでバイデンが引き継ぐんでしょ」という認識だ。市場もそれを分かっており、株価は上方向で反応している。当然、「トランプ後の普通の政治」を見据えているというというわけだ。