一定の評価ができる対応策に期待
株式市場の短期的な動きは、新型肺炎の情勢に支配された。こうなると市場の予想は難しいが、基本的な株式市場のこの問題に対する考え方は楽観的だ。短期的にはどうであれ、年後半には相場はかなり上昇する、というのがコンセンサスとなっている。世界の経済に大きな影響を与える中国を中心とした今回の感染拡大が、世界経済に短期的に与える影響は大きいが、それが収まった時の浮上もまた大きいと考えられるからだろう。
過去のこの手の問題に対する株式市場の反応もまた、楽観的だ。2002年から2003年にかけてのSARSウイルス問題の際の中国経済は、短期的に落ち込んだもののその後の短期的な回復で、結果として経済成長率の趨勢にほとんど影響を与えなかった(2002年実質GDP9.15%、2003年同10.02%)。株式市場も、2003年には米中日いずれも大幅な上昇を記録している。この2月~3月、この問題による下落局面は、中期的には買い場となる可能性が高い。
しかし、短期的には別だ。新型肺炎を「対岸の火事」的に捉えていた米国や欧州が、ダイヤモンド・プリンセス乗客からの帰国者の感染確認や、イタリアにおける感染急拡大によって、急速に警戒感を強め、中国だけでなく、日本・韓国との入出国に対する規制を開始している。WHOもようやくここへ来て危機感を表明しており、週初は、株式市場は混乱する可能性がある。一方で、25日に日本政府は感染拡大防止の為の、なんらかの対策方針を発表する。この対策を間違えば、東京五輪を控えた政府にとっては致命的になるだけに、一定の評価ができる対応策を期待したい。
今週は、新型肺炎を巡る各国及び国際機関に動きが激しくなり、結果として25日は下落するも、27日から28日にかけて、株価は戻すことを期待したい。しかし、多くの投資家は、29日の中国2月PMI発表を前に、週末はできるだけ短期的なポジションは持ちたくないのが、本音だろう。