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米政府リーマンを見放す、金融危機深刻化

東京市場が休日で休んでいる間に、米政府がリーマンを見放したため、NYダウは暴落している。15日の終値は10917.51(‐504.48)となった。6年ぶりの下げ幅である。7月の安値10827の手前で終わっているが、つるべ落としのように下げており、下げ止まる気配はまだ全くない。日足週足の指標はいずれも下抜けていて役に立たない。月足の雲の上限10859の上でかろうじてとまっていることろである。このあたりが重要な抵抗線であるが、これをさらに切るようであれば、大台を割り込んで雲の下限9433まで落ちてゆく危険性がでてくる。
 ベアスターンズを救済し、住宅金融公社を支えたのに、ベアスターンズより規模の大きなリーマンに公的な資金を出すことを米政府が拒否したことは、率直に言って予想外であった。アメリカの市場関係者もリーマン救済を信じていたということなので、衝撃は大きい。共和党の市場主義というものを過小評価していたのか、という思いである。住宅金融公社の公的管理で、金融不安は「終わりの始まり」にはいったかと思ったが、どうも「始まりの終わり」に過ぎなかったようだ。日本もそうだったが、民間金融機関が実際に破綻しないと、金融システムの維持のために、なかなか公的資金を投入することができないということだろうか。民間ファンドをつくるとか、資金繰りを援助するとか当局はいっているようだが、リーマンを救わなかったいうことは、これより小さい金融機関は、破綻してかまわない、救わないというメッセージとして受け止められるであろう。だとすれば、以後、苦しい金融機関の破綻が一気にすすみ、市場の力で整理淘汰が行われることになる可能性がある。
 為替は一気にドル安に動いている。現在は104.96。日足の転換線、基準線はもちろん雲の下限106.47を一気に下抜けてしまった。週足のチャートでも、転換線107.29、雲の下106.43を下に抜けているが、まだ基準線103.21の上に位置している。この近辺はまた月足の転換線にもあたり、ここを抜けてくるかどうかが大きなポイントである。これを下抜ければ、基調は転換してさらに円高へ向かうことになる可能性がある。ただし日本には金融不安こそ直接の波及は乏しいかもしれないが、日本の景気自体も決してよくないので、どんどん円高になるかどうかは、まだよくわからない。
 日経平均はどうなるか。NYを受けてどこまでさげるかをみなければならないが、3月安値11691を守り抜くのは厳しくなっている。これを切ってくれば、底割れで下値のめどがつきにくくなる。日足週足はもちろん、月足でもすでに雲を下抜けてしまっており、下は支えが乏しい。遅行線が雲の下限とぶつかる10463円まで落ちるとは考えたくないが、
あながちばかげているともいえない状況だ。
 果たしてリーマンを救わないという米政府の判断は正しいかどうか。政府が大胆な対応をためらったために、北海道拓殖銀行、三洋証券、山一證券、日債銀、長銀と次々に破綻していった日本の金融市場の経験を思い出す。悪夢の再現にならないことを祈るばかりである。市場の失敗、政府の失敗という言葉があるが、市場も政府も失敗してしまっては、どうにもならないはずだ。
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