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AIGのなりゆきに一喜一憂

16日のNYは、11059.02(+141.51)。破綻の可能性がうわさされるアメリカ最大の生命保険会社AIGの動向に一喜一憂し、公的支援を期待して、上昇して引けた。しかし500ドル下げた後で、3分の1も戻しておらず、下げ止まったとは全くいえない。AIGの株価は実質的には倒産水準にまで落ちており、ワシントンミューチュアルはなんとか買い手がみつかったらしいが、そのほかにも破綻の可能性がうわさされる金融機関がでてくる危険があり、当面は連鎖的な破綻が続くかどうかが問題となる。
 為替も一喜一憂。16日は103円台までドル下落。週足の基準線も割って、ドル高の基調が転換する可能性がでてきた。現在は105円までドル高に戻しているが、週足基準線104.61をはさんでどちらの方向にゆくのか、金融危機の状況に応じて、荒っぽい動きになりそうだ。
 16日の日経平均は11609.72円(605.04円安)と暴落。リーマンの破綻をうけて、べた下げ。いったん下げてから下値も見合いではあったが、3月安値の11691を割り込み、完全に底割れの展開である。すぐにもどすことができなければ、定義上は、2005年の10978の安値を試す展開になってしまう。日足週足には下値のめどがなくなっており、月足もめどといえば、雲の下限10402ぐらいが考えられるという状況。アメリカの金融機関の安定が明確になるまでは、下値が固まることも難しい。
 どうもポールソンは、ベアスターンズ救済劇で、税金を投入したことに批判があったため、大統領選挙のなりゆきを気にして、リーマン救済に公的資金を使うことをためらったのではないかと思われる。確かに、モラルハザードを許さない、というのは格好よく聞こえる。だが経営者などの責任追及は別途いくらでも行えることであるのに対し、いったん金融システムが破綻すれば、その影響は何の責任もない人々の暮らしを直撃する。政治は、きれいごとを並べるだけでなく、さまざまな善悪を比較考慮して、責任をとって「より悪くない」決断をすることではないのか。米政府の対応は、モラルハザードで非難されるのを嫌がって、何の責任もない人々を苦しめるのを承知で、泥をかぶるのを嫌がったということに過ぎないのではないだろうか。いかにもブッシュ大統領らしい決断だともいえるが、職を失い、路頭に迷う人々をみても、良心は痛まないのだろうか。そんなやわなことでは世界最大の帝国の最高司令官はつとまらないのかもしれないが、どうもこの決断で、共和党は、逆に金融危機を拡大し、さらに批判を浴びてしまって、結果的に政権を失う可能性もでてきているのではないだろうか。
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