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金融緩和の効果とパールハーバー

あるベテランのご年配の投資家さんと話をすることがあった。


投資先としてオーストラリアを評価されているようで、銀行で販売されている
投資信託などを購入して豪ドルにたくさん資金をつぎ込んでいる。


「日本は借金が一杯あるし、そのうえ少子高齢化」
「この国はもうダメだよ~」

「金利もゼロだし~」


「投資先として中国もあるけど、中国は問題が多いからオーストラリアがいいよ~」

「国の財政もしっかりしているし、金利も2.5%ある!」

「銀行の人もオーストラリアは個人に人気あると言っていたし~」(^_^)


などと言っていた。


マーケットがリスクオンになると豪ドルも買われやすい。


ただ、潜在的なリスクが表面化してリスクオフの場面になると注意が必要になる。
将来、金融危機が再燃したときには、「どこまで下がるのか」になるかもしれません。
(豪ドルは、日本でもアメリカでもヨーロッパでも使うことができない。)


このご年配の投資家の反対意見を書くと


「日本は借金が一杯あるし、そのうえ少子高齢化」
「この国はもうダメだよ~」
「金利もゼロだし~」


⇒日本の個人投資家で豪ドルを持っている人はたくさんいる。
(想像以上に大きな金額になる。)


将来、日本が大変な状況になり、日本人がお金に困るようなことが起きると
豪ドルに投資している人たちは、豪ドルを売ることが考えられる。
日本ダメになると「需給面」からも豪ドルは売られやすい。


「日本の景気は良くなるし、豪ドルはもっと買われるよ~」


ならまだわかる。


しかし、そのように考えるならば、日本株への投資でよい。


「投資先として中国もあるけど、中国は問題が多いからオーストラリアがいいよ~」


⇒これは簡単で、オーストラリアの主な輸出先は中国なので


中国経済の減速はオーストラリアにとってもマイナス材料になる。


「中国経済は復調するから、その恩恵を受けるオーストラリアへの投資を考えている」


ならまだわかる。


「国の財政もしっかりしている。格付けもトリプルA。金利も2.5%ある!」


⇒少なくとも、表面金利だけでなく、その国のインフレ率を考慮しないといけない。


(オーストラリアに行った人に聞くと、物価が高いと言う。豪ドルが実力以上に
 買われすぎているからでしょう。)


「銀行の人もオーストラリアは個人に人気あると言っていたし~」


⇒これも簡単で、人気ある商品は要注意。


人気ある商品はすでに高値圏にあることが多い。


ウォーレン・バフェットなど世界一流の長期投資家は、
投資先として、オーストラリアに関心ない。


関心ないのには、それなりの理由がある。


わたしの知るセミナーおじさん(金融機関の主催するセミナーに参加することが
大好きな人)も、オーストラリアに投資されている。


短期的には、豪ドルが上昇することはある。


ただ、長期投資の対象として、もっと魅力的な投資先はあると思う。


金融緩和の効果とパールハーバー
(素人のひとりごと日記です。)


日銀の金融緩和を


「黒田パールハーバー」
「ニューパールハーバー」


などと言っている専門家もいる。


少し理解できる。


太平洋戦争は日本の真珠湾攻撃の奇襲作戦で開戦となったが
今回の日銀の金融緩和と重なるところもある。


(開戦時すでにアメリカは日本の暗号の解読に成功していたので、パールハーバーの
奇襲作戦をルーズベルト大統領含め上層部は知っていたとする説もある。日銀の
金融緩和もアメリカの上層部は前もって知っていた可能性ある。)


戦争関係の本や映画などを見ると心が痛む。
しかし、忘れてはいけない。


日本が開戦したとき、山本五十六海軍大将も含め当時の日本の首脳部は
緒戦は勝てるが、戦争が長引くと厳しくなる見通しを持っていた。


早期に有利な条件での講和をしたいと願っていた。

今回の日銀の金融緩和でも、日本銀行の黒田総裁は、緒戦は勝てるが、
金融緩和が長引くと厳しくなることは十分わかっていると思う。


日銀には、優秀な人が多いので、金融緩和の危険性は十分理解されている。

しかし、出口戦略の見通しはたっていない。


日銀は、太平洋戦争と同じように、泥沼の戦いに突入している。

今回の金融危機を通貨戦争と呼ぶ専門家もいる。

その戦いは、パールハーバーと同じく、これから本格化していく。


金融危機が始まったときに、


「サブプライムローン問題」が大きな問題になっていた。


昔の日記に


「サブプライムローン問題と騒いでいたときが懐かしくなりますよ~」


と書いた。


当時、多くの専門家は、サブプライムローン問題は大きな問題ではないと
言っていたが、結果は違った。


サブプライムローン問題は、金融バブル崩壊のはじまりにすぎなかった。


「足元では信用力の低に人に貸し付けるサブプライムローンが新車市場で復活している。

かつての住宅バブルを彷彿させる。」(日経新聞記事より)


なつかしいサブプライムローンが再び登場している。


金融緩和の副作用、インフレが近くまで来ている。

日本人は、もっと危機感を持ってもよい。


政策当局は、インフレ率2%目標といっていますが、
海外で買い物をすると、2%どころではない。


もう十分に達成している。


わたしがこの春に香港に行った時でも、現地の日本人から20%上昇していると言われた。


最近、オーストラリアに行った人からも聞きましたが
「オーストラリアは物価が高い!」と言っていた。
(正確には、円の通貨価値が下がっている。)


自国通貨の価値が下がってよかったと言っているのは、専門家くらい。
投資家は、専門家と違うので常識を持ちたい。


物価が上昇するインフレではなく、
通貨価値の下落による悪いインフレが表面化している。


少し前まで、政策当局はデフレ脱却といっていたが
もうとっくにインフレになっている。


日記で書いたように、デフレ脱却は日銀による財政ファイナンスを隠すための
隠れ蓑にすぎない。


この程度の嘘も見抜けないのが表向きの専門家や学者たちになる。


(消費者物価指数の計算方法のごまかしも日記に書いたと思う。)


これから


ロシアへの制裁もあって急落してきた原油価格が、高騰すればどうかなるのか。


一次産品の先物取引市場は小さいので、その価格は
実力のあるヘッジファンドの御心次第でどうにでもなる。


また、今年は豊作だった穀物が来年不作になったらどうなるのか。

ここまで円安になると、悪いシナリオも考えないといけない。


マスコミが騒いでいる、消費税増税など、金融の問題と比べれば小さな問題。
金融の問題は、もっと深刻になっている。


FRBも簡単に利上げできるような状態ではない。
金利を上げると米10年物長期金利は一気にあがってしまう恐れがある。


・・・


「日銀のゼロ金利・債権買取政策はギャンブルだと指摘。特に、日銀の資産買い入れ計画に、

国債だけでなく、不動産投資信託(REIT)、上場投資信託(ETF)といった個人資産も含まれて

いる点を「恐ろしい可能性を秘めている」と危惧する。アメリカのサブプライムローン

(低所得者向け住宅ローン)の崩壊に端を発した世界金融危機との構造的な類似性が示唆され

るからだという。」


「10月31日に日本から出た声明は、世界経済に直接的な脅威を与えた。

(中略)我々は、2008年の世界金融危機に始まった前代未聞の経験の次の段階に進みつつある。

投資家は来襲する嵐に備えるべきだ」

(米紙エコノミストのネット記事より引用)


金融緩和による時間稼ぎの効果はあるが、その先は厳しい現実が待っている。


将来、厳しいインフレで、おかずが1~2品減るか、
安価な添加物が一杯入った粗悪な食品がもっと増える可能性がある。

ドーナツとちくわの穴も大きくなるだろう。


日銀がお札を一杯にして、問題解決する訳がない。
最終的には国民が痛みを受け入れることになる。


マーケットの過剰流動性パーティーは、いつまでも続くわけではない。

豊島逸夫先生は、「豊島逸夫の手帖」で、過剰流動性パーティーには参加するが
波乱があってもすぐに逃げ出せるように出口の近くで参加すると書かれている。


今回の危機の本質を正しく理解されているので、このような表現になっている。


・・・


黒田パールハーバーは、はじまりにすぎない。
パールハーバーの歴史が教えてくれている。


日本は太平洋戦争の後、見事な復興を見せた。
通貨戦争の中で起きるインフレの厳しい嵐の中からも復活してほしい。


P.S.


前回の日記で、今年ヘッジファンドが運用で苦戦している話を書きました。

どうしてか、復習のために簡単に書くと、
多くのヘッジファンドは今年最初からつまずいていた。


FRBがテーパリングを終了する年になるので、米国債は売られると予想して
年初から、バンバン米国債を売っていた。
(米国10年長期国債は、3~4%まで上昇すると予想していた。)


ところが、ヘッジファンドの予想通りFRBはテーパリングを終了させたが
米国債は売られるどころか買われた。
(日記でも書いたようにFRBはいろいろと工作している可能性がある)


足元2.31%まで買われている。


今年、出足からヘッジファンドは大きくつまずいたので、厳しかった。

来年は、ヘッジファンドは何で勝負するのか?

足元は日本株の買い、円売りで少し挽回している。
(ドル建て日経平均株価だと、円安であまり上昇しないので、
 円を売ってヘッジをしている面もある。)


・・・


日本株は、ここから高値警戒してもよい水準に入ってきている。


みんかぶ予想


買い 3銘柄
売り 4銘柄


やや強気⇒やや弱気に変更します。




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