衣雲さんのブログ
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新興バイオ各社についてちょっと寸評
明日はバイオが上げるかもしれないので、そして明日上がらなくてもいつかはバイオがまた上がると思うので、新興バイオ各社についての雑感をまとめてみました。
4563 アンジェスMG
遺伝子医薬の会社。独自技術はありませんが、開発は意外とうまくいってるみたいです。ただ・・・HFG遺伝子治療薬の「コラテジェン」はその内アメリカで承認されると思うけど、適用患者数が少ない。現時点での唯一の上市薬「ナグラザイム」も適用患者数が僅少。(※もちろん患者さんにとっては待望の治療薬なので儲かる儲からないにかかわらず重要な薬です!)
4565 OTS
どうにかしてがん治療薬やがん診断法の開発を目指す会社。その手法は、がん細胞に特徴的な遺伝子異常を調べて、何らかの医薬でそれを叩こうというわりと古典的なやり方です。元々は中村祐輔先生のペプチドワクチンで叩こうとしてましたが、中村先生が出られてからは「なんでもいいから」になってる様に見えます。そういえば朝日新聞の捏造報道のとき、中村先生の名誉回復のための謝罪署名の募集、私のところにも回ってきてたなあ・・・
4565 そーせい
海外のバイオ企業から独占販売権契約を取得し、それを既存の国内製薬会社の流通網に乗せて販売するといった感じの企業。こんなビジネスモデルが一番リスクが低くて安定的に儲かるかも?アフターピル「ノルレボ」が主力で、カンジダ治療薬が承認間近
4570 免疫生物
抗体関連の研究用試薬とサービスの会社。抗体医薬のシーズ提供もしてるけど、あくまでシーズ提供なのでこれで一発当たるということはないでしょうね。
4571 ナノキャリア
高分子のミセル化ナノ粒子を使ったDDS(ドラッグデリバリーシステム)の会社。ミセル化ナノ粒子を使えば薬剤の毒性コントロールができるというのは公知なので、知財戦略で命運が別れる会社だと思います。あと厚労省は高分子屋さんに厳しいといわれています。
4575 CANBAS
細胞周期に注目した抗癌剤開発の会社。わかりやすく(?)説明すると、細胞は1回分裂するまでの間に正常か異常かを2回チェックしてて、がん細胞はその内1回のチェック(=G1)が壊れてるから、残り1回のチェック(=G2)も壊しちゃえばがん細胞は死ぬんじゃない?という考え方です。ただ、残念ながらそういった薬はまだ見つかっておらず、あまりうまくいってません。
4576 DWTI
主にプロテインキナーゼ阻害剤の会社。プロテインキナーゼも細胞周期とかいろんな生命活動に関係してます。「ドラッグウェスタン」という独自技術を強調してますが・・・普通にウェスタンブロットを使ってるだけなので、そんなに効率的なスクリーニング法には思えないなあ・・・
4579 ラクオリア
一般的な創薬研究手法で一般的な低分子医薬を開発する企業。向精神薬「ジプラシドン」とカンジダ治療薬「アニデュラファンギン」を米国で上市済み。ただ競争も激しく利益に結びつくかどうか・・・。皮膚感染症のための抗生物質「ダルババンシン」も承認間近だけど・・・これまた競争が・・・。
4582 シンバイオ
世界中のバイオベンチャーが持ってる臨床試験直前の有望そうなニッチ新薬を探して、ライセンス契約をとって、5〜6年以内に上市するというビジネスモデルの会社。ニッチ新薬はライセンス料も安いだろうけど、患者数も少ないからかなりの数をこなさないと儲からないと思うけど・・・そのために5年も6年も人員と資金を割くのは効率がいいのか悪いのか・・・
4583 カイオム
抗体医薬創薬の技術を提供する企業。ADLib systemという独自技術を企業に創薬基盤技術をライセンシングしてロイヤルティ収入を得るというビジネスモデル。ADLibによる抗体スクリーニング効率は結構よいと思います。抗体医薬自体は、今現在、創薬業界では一番うまくいっている医薬のひとつ。・・・にもかかわらずカイオムの赤字が膨らんでるのには、何かしらビジネスモデルに問題があるのでは?
4584 GTS
大学などの研究機関の成果から標的医薬を選定し、アウトソーシングを利用して医薬開発をすすめるというビジネスモデルの企業。自分ところでは何もしないので同時並行でいくつも研究開発できるとか。でも赤字が膨らんでるということは・・・とりあえず、がんと免疫疾患を治療するための抗体医薬に特に興味があるみたいです。
4585 UMNファーマ
培養昆虫細胞を用いる「BEVS」という技術を利用したワクチン研究・製造の会社。培養昆虫細胞を使う手法自体は公知の技術ですが、世界中で実績のある効率のよい技術なので、あとは標的次第・・・ですが、インフルエンザワクチンとかノロ・ロタワクチンとか作ってる間は、大化けは期待できないかなあ・・・?
4586 メドレックス
経皮製剤の会社。新薬を作ってるわけじゃないので一見地味そうですが、経皮製剤は最近流行ってます。例えばアルツハイマーの人や体の動かないひとに薬を飲ませるのは難しいので、患者さんにペタッと貼るだけでよい薬なんかがここ数年で増えてきています。これからも更に需要が見込まれる業界なので、大手創薬のブロックバスターとうまく結びつけば化けるかもしれません。
4587 ペプチド
特殊ペプチド医薬の会社。なんとなく「低分子医薬と抗体医薬のいいとこどり」的な言われ方をしてるみたいですが、多分そんな万能ではないと思います。「低分子でも抗体でも対応できない病気にもしかしたら効くかもしれない」くらいに考えておいた方がいいような気が・・・あとホームページでは「経口投与」ができるかどうか不明になってましたが、普通に考えてできないでしょうねえ。
長々と書きましたが、こうやってまとめるとどうすれば儲かるバイオベンチャーを作れるか、ちょっとだけわかってきた気がしませんか?しませんか。そうですか。まあどっちにしても、どこかのバイオベンチャーの経営者の皆さんがこんな日記を見てるとは思わないので、残念ながらそっちの役に立つことはありませんが(笑)
どこが大化けするかは正直わかりません。株価は業績だけで決まるものじゃないし、特に創薬はギャンブルの要素も強いので。でも、この日記が銘柄選びの参考にちょっとでもなれば幸いです。
4585 UMNファーマが来ましたね。
「国立感染症研究所」が効きました。
参考にさせていただきます。
おかげで助かります。
(どこが大化けするかは正直わかりません。)
個々には調べたつもりでも、こうして並べて比較すれば、なにか
見えてくることもありますね。
参考になりました。 ありがとう m(_ _)m