アジアさんのブログ
ロムニー陣営
焦点:ロムニー陣営の演出と裏腹に亀裂が表面化した米共和党大会
【タンパ(米フロリダ州) 30日 ロイター】 米共和党大統領候補のミット・ロムニー氏の陣営が今週の党大会で心掛けたのは、有権者に次の3点を売り込むための演出だった。すなわち(1)共和党はロムニー氏の下に結束している(2)ロムニー氏は見かけより暖かい心の持ち主で、大統領候補にふさわしい(3)副大統領候補のライアン下院予算委員長の準備は整っている──という考えを浸透させようとした。しかしこの大会からは、共和党に関するいくつかの別の側面も浮かび上がってきた。
<亀裂>
党大会では一枚岩が誇示されたものの、党内の亀裂は深い。それが最も明白になったのは28日。メーン州の代議員24人のうち、リバタリアン(自由至上主義者)のロン・ポール下院議員を支持する約半数が抗議のために会場から退席してしまった。党指導部が手続き面の違反を理由に、彼らをロムニー氏支持者と入れ替えて辞めさせたことが原因だった。
また指導部による代議員の選出方法に関する規定変更をめぐり、ポール氏支持派から怒号が飛び出す場面もあった。
こうした動きの背景を知るには、大統領候補指名争いが行われた予備選や党員集会にまで遡らなければならない。ロムニー氏は組織力と資金力で圧倒的だったが、大統領候補指名を固めるのに大変な苦労を強いられた。多くの保守派が彼のマサチューセッツ知事時代の穏健派的な政治行動(特にオバマ大統領の医療保険改革への支持や中絶容認など)に非常に懐疑的だったためで、今でも保守派の不信感は残っている。
ポール氏は指名レースで一度も首位に立ったことはないが、党内の積極行動派がロムニー氏の代わりを見つけようとしたことから、ロムニー氏はたびたび、保守派のリック・ペリー氏やリック・サントラム氏などに対して劣勢に立たされた。
<若い世代の突き上げ>
党内の亀裂はすぐには解消されないだろう。
今回の選挙で65歳のロムニー氏は、党内の若手有力保守派である42歳のライアン氏や、41歳のマルコ・ルビオ上院議員(フロリダ州選出)、44歳のスコット・ウォーカー・ウィスコンシン州知事などと連携している。
しかし大会に参加した代議員の多くはもっと若く、ロムニー氏に対しては指名投票することになったとはいえ、複雑な感情を抱いている。
こうした代議員は共和党の保守主義への軸足移行がまだ不十分だと考える若い世代だ。彼らが新たに理想の共和党政治家の姿を見出しているのは、大半の公務員の団体交渉権をはく奪し、それに起因する解職請求を経た再選挙を乗り切ったウィスコンシン州のウォーカー知事だ。
テキサス州の31歳のある代議員は、共和党がより保守化していない点に「多くの人が憤慨している」と語った。彼はロムニー氏に投票したが、党指導部が大会でポール支持派に不利になるような運営手続きを行ったことには不快感を表明した。別の同州の代議員も「われわれが100%団結しているのというのは幻想だ」と述べた。
<2016年>
この大会は、2012年と同じぐらい2016年の大統領選挙の構図もあぶりだしている。演説に登場した何人かは、ロムニー氏が今回の選挙でオバマ氏に敗北した場合、次の大統領候補か副大統領候補になる可能性を秘めている。実際、彼らの演説ではそれが垣間見えた。
サントラム氏やニュージャージー州のクリス・クリスティー知事などはまず自らの政治経歴を披露した後で、ロムニー氏を称える言葉を加えた。例えばクリスティー知事の場合、7ページにわたる演説草稿の中でようやく5ページ目になってロムニー氏に触れている。サントラム氏は14分の演説中でロムニー氏の名前を3回しか言及しなかった。
共和党の今の指導部構成を見れば、ロムニー氏がいなくなった後(早ければ今年、遅ければ大統領になって再選される場合の2020年)、新世代が指導部に大量に入ってくることがうかがえる。
ある共和党のストラテジストは「われわれは当面、今年秋の選挙に焦点を当てているが、将来に向けた足場作りもまたこの大会における仕事の一つだ」と説明した。
<対話力>
ロムニー氏は、この上ないコミュニケーション能力の持ち主とは言えないかもしれない。しかしアン夫人と副大統領候補のライアン氏は、この大会で大舞台でも能力を発揮できることを証明して見せた。
アン夫人が28日夜の演説でロムニー氏に送った賛辞は、選挙戦を通じて堅物で冷然としていると称された同氏にとって、大きな援護射撃になった。
ライアン氏の方は、長年議会で厄介な予算案の説明を続けてきたことで、対話力に磨きが掛かっていた。11月6日の選挙までのラストスパートにおいて、オバマ陣営にとっては、ロムニー氏に代わって論戦の矢面に立つ手ごわい相手になりそうなことがはっきりした。
(David Lindsey記者)
2012/08/31 14:38
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