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No.579 イレたらしまい、投げたらしまい=相場格言

■イレたらしまい、投げたらしまい

 「イル」とは、「炒める」、「煎じる」に近い意味でしょう。「しまい」とは終わりの意味です。フライパンなどで、水分がなくなるまで火で熱します。「煮詰める」より、もっと熱そうです。このため、売り方を締め上げるときに使われる言葉です。

 相場が下がると読んだ場合、株券を借りて売りつけることを「空売り」といいます。普通一般では、保有している株券を、相場が下がると思えば売るのです。しかし、空売りの場合は、自分で保有していない株券を証券会社などから借りて売るやり方です。そこには、「相場は下がるだろう」という投資家自身の見通しだけが支えです。もちろん、下がれば、株券の賃料と売買手数料のコストを払うだけで、儲けを手にすることができます。当ればハッピーです。しかし、外れたら大変です。昔の北浜では、空売りで自殺者も出たほどです。

 相場はご存知の通り、なかなか、思った通りには動いてくれないものです。借りたものは返さなくてはいけないのが世の約束事です。通常、株券を借りることのできる期間は6ヶ月です。その間に勝負ということです。多くの投資家が企業業績などに比べ、株価が割高と判断すれば、空売りをする人が増え、「空売りが積み上がる」ことになります。

 一方、「投げたらしまい」は、空売りと、まったく逆のケースです。お金を借りて株を買うことを「信用買い」といいます。もちろん、株価が上昇することを目論んで、借金して株を買うわけです。上がればハッピーですが、反対に下がれば大変です。持ち家を処分して返済、ということも過去には多くみられました。信用買いについても、6ヶ月期日で投げたら底が入ると教えています。くれぐれも、あなた自身が、炒れ上げられないよう、あるいは、投げさせられないよう、信用取引には慎重な態度が大切です。(執筆者:犬丸正寛 株式評論家・日本インタビュ新聞社代表)
犬丸正寛
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