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澤上篤人の長期投資学~新しい時代を切り開こう

事業家と長期投資家の特権

  一般的に投資というと、「どれだけ儲かった」「何パーセントの利回りでまわった」といった具合に、お金が増えたかどうかに人々の関心は集中する。自分のお金が増えて戻ってくれるのを期待して投資するのだから、どんな結果が得られたかは誰だって気になるもの。

  この儲け心が、投資をどれだけ堅苦しく小難しいものにしてしまっているか、みな意外と気付いていない。それどころか、「どうすれば確率高く儲けられるか」「大底を的確にとらえて買いたい」「この上昇相場どこまで行くのだろう」といったギラギラ意識がどんどん高まっていく。「儲けよう」「儲けたい」で相場という得体のしれない風車に突撃を繰り返した挙げ句、ドンキホーテのように跳ね飛ばされてしまう。あくせくする割には、「なかなか儲からない」投資家が実に多い。

  いつもいっていることだが、投資なんて安く買っておいて高くなるのを待つだけのこと。それを、長期のスタンスでのんびりと繰り返すぐらいで丁度いい。ところが、多くの投資家は「儲けたい、損したくない」気持ちが先走ってしまう。投資は未知の世界に踏み込んでいくもので、計算づくでやれるものではない。たとえば、相場暴落時は皆が売り逃げに走るから安値でしっかり買っておく絶好のチャンス。しかし、ほとんどの投資家は「これは、ヤバイぞ。損しそう」という計算が先立って、とてもではないが買い注文など出せない。だから、現に暴落相場となっているわけだ。

  どうみても儲かりそうな計算が立たない不況時や相場暴落時こそ、事業家や投資家にとって本物ぶりが試される場となる。「これは欲しい」と眼をつけていたものを捨値同然で手に入れられる。その特権を生かせるかどうかは、まさに将来に向けてどんな読み込みができているかが問われる。たとえば、事業を拡大しようと土地や設備を取得するにしても、不況時なら驚くほどの安値で手に入る。人材も確保できる。しかし現実には、不況の深刻さに恐れをなして拡大投資をためらう企業経営者が大半。せっかくの買いチャンスも指をくわえて眺めるだけとなる。

  同様に、株価暴落時に買える投資家はほとんどいない。筋金入りの長期投資家ならばゴキゲンで買いに行く。皆が我先の売りに走る中をバーゲンハンティングに向うのは、もう本能みたいなものである。なにしろ、あらゆる企業の株が玉石混淆で売られており、前々から「この会社とこの会社は買っておきたい」と狙っていたものが選り取りみどりで拾えるのだ。資金のありったけを投入して買いまくるのは当然のこと。逆に、景気が良くなってきたり株価上昇のピッチが上がってくるにつれ、強気を張る事業家や投資家は多くなる。ここで行動を起こせば確率高く成功できるだろうといった計算が見え見え。残念ながら、人の後を追いかけて自分だけ上手く果実を手にできるなんて、世の中そう甘くはない。

■将来に向けての読みとは

  いつの時代でも、未来を切り開いていくのは事業家と長期投資家である。両者に共通しているのは、「こんな世の中を築いていきたい」という夢や強い意思をもち、「どうステップを踏んでいくか」の方法論を次々と実践に移していく勇気と行動力に富んでいるところだろう。

  ビジネスや投資に夢を持ち出しても、ピンとこないかもしれない。あるいは、「現実はそんな甘いものではない。もっと数字で押さえなければ」と、たしなめられるかもしれない。たしかに、実際に企業を経営していく上では、きちんと数値やデータを把握しておかないと適確な指示も出せない。投資においても、空想や妄想に浸っているだけでは果実につながらない。ビジネスも投資も実際に資金を投入するわけだから、将来に向けての確固とした読み込みが求められる。

  もちろん将来のことだから、読み込みといったところで未知で不確かな要素は山ほど横たわっている。その中で、「こんな展開になっていくのだろうな」「これとこれはおもしろい。どんどん進めてみよう」「この辺の可能性もあるが、あえて捨てよう」といった取捨選別の作業は欠かせない。

  主体的に行動していくのは、企業や長期投資家自身である。「これとこれは、断固やっていこう」といった具合に方向を絞り込む、それが将来に向けての読み込みである。
そうはいうものの、事業家や長期投資家にやはり夢は欠かせない。世間一般からみれば、「そんなのは無理。あり得ない」と一刀両断にされる事柄でも、「もし現実となれば嬉しい」ということは多々ある。「だったら、それらを現実のものにしてやろう」と挑戦するのが、事業家や長期投資家の真骨頂である。それを実現させてしまえば、その報酬も大きくなるのは当然のこと。そう、世の中や人々の潜在的な願望を汲みとって、その願望を現実化させてやろうということで、知恵を絞り工夫を重ね資金を投入するのが事業であり長期投資なのだ。

  つきつめていえば、事業家も長期投資家も「そんなこと無理」で終らせず、「なんとしても現実のものにしてやるぞ」の強い意思を貫き通す。その姿を横からみていると、「いい世の中をつくっていこう」という夢を追いかけているようにみえるわけだ。

■日本経済や社会をどうしたいのか?

  バブル崩壊後20年になるが、その間ずっと日本経済の停滞は続いている。このジリ貧には、国民の誰もが「もうウンザリ」だろう。一刻も早く「なんとかしてもらいたい」と、みなが願っている。それを、すべて政治に頼むのも限界がある。現に、国はいろいろな対策を打ち出すものの、日本経済の活性化はさっぱりみえてこない。それどころか、国の借金は2010年度末には973兆円まで積み上がるという。(日本経済新聞1月26日)

  やはり、ここは事業家と長期投資家が本領を発揮するところ。この閉塞感を打ち破っていくべく、もっともっと夢を追いかけるべきだろう。「人口が減少していく一方で、高齢者層がどんどん膨れ上がる日本経済や社会は、もう活力を取り戻せない」と決め込むのではなく、「どうしたら新しい活力を生みだせるのか」に知恵を絞り資金を投入してやるのだ。

  いつも主張していることだが、日本にはGDPの1.6倍にものぼる個人の預貯金マネーが眠っている。国民の一部でも「よし、やってやろう」と気合いを入れ、預貯金を引き出して本格的な長期投資に参加してくれれば、日本経済はいくらでも元気になる。
 その時に問われるのは、「どんな日本にしていきたいのか」の具体的なイメージである。たとえば、石油や石炭そして天然ガスを燃やしてエネルギーを調達する状況から一刻も早くおさらばし、再生資源をベースとした代替エネルギーが普及した社会に住みたいと願うとしよう。それなら、その方向で研究開発投資を進めている企業を「日々の生活消費」と「長期の株式投資」で応援するのだ。

  われわれが毎日の生活で手にする物資のほとんどは、企業の生産や供給活動のおかげである。それなかりせば、毎日の生活は成り立たないし、生命の維持すら危い。逆に、われわれは日常生活で必要なものをあれこれ買うが、それらはすべて企業の売上げに貢献する。生活者が「ありがたい」と思って買ってくれるからこそ、企業は存続と拡大発展を期することができる。いってみれば、生活者と企業とは持ちつ持たれつの関係にあり、「どんな社会を築いていくのか」の方向性において共同戦線を張っているわけだ。この意識を高めていけばいくほど、日本経済の新しい姿が鮮明になってくるはず。
 
  同時に、一般生活者が本格的な長期の株式投資に踏み込んでくれることは、生活者株主として企業経営を長期で応援していくことになる。生活者として「なくなっては困る」「もっともっと頑張って欲しい」企業を株主として応援していくことで、その企業の長期安定的なパトロンとなれる。敵対買収などの防波堤の役割も果せる。

  もはや、なにもかも国に頼っている時代は終った。われわれ生活者がもっともっと主体的に日本経済や社会の将来をどう建設していくかに責任を持つべき段階に入っている。それをやるやらないで、われわれの将来そして子供たちの未来が明るくもなるし、暗くもなる。
 
  どうせなら、日本を輝ける成熟経済大国にしていこうではないか。(情報提供:さわかみ投信代表・澤上篤人 2010年1月27日記)



この話は素晴らしいのですが、唯一残念なのは自分に長期投資をする心の余裕がないことです(笑)
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