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外貨について (中原圭介さんの見解)

『サブプライム後の新資産運用』の読者から、最近も次のような質問をいただくことがあります。

【質問】
著書ではポートフォリオの中に外貨預金を組み込んでいますが、現在はどのような外貨を保有したら良いのでしょうか?

【回答】
確かに拙書では、「株式・外貨預金・現預金」の三つの金融資産から構成されるポートフォリオを提案していますが、世界経済と相場の大きなトレンドを捉えて運用することが最も重要であると説明しています。

拙書の109ページでは、「世界の政治情勢や金融情勢が混迷して、金融市場の方向性を予測することが非常に難しいときがあります。そういったときは、できるだけ金融資産の保有割合を減らし、現金化することでリスクを抑えるようにします。そして、世界の金融市場の方向性が見えるようになってきてから、そのときに適した金融資産を再び買うようにします。」と述べています。

ゆえに、為替市場における大きな方向性が「アメリカの超低金利政策の長期化」にほぼ決まっている時点で、外貨預金は適した金融資産とは言えず、ポートフォリオから外すことがセオリーとなります。「ドルではなくて他の通貨を買えばいい」という意見もあるかもしれませんが、ドル円相場がドル安円高に振れれば、他の主要通貨もそれに連動して円高になる傾向があるので、やはり他の通貨も勧めることができません。

実際に、顧客へのアドバイスやメルマガ等でも、今年の3月下旬から外貨預金はポートフォリオから外していましたが、それは為替市場の大きなトレンドには逆らえないと判断したからでした。その判断が間違いないと確信に近い形になったのは、11月のFOMCで金融緩和の長期化が強まったのに加え、FRB理事の面々が講演等で「あと2年~3年は超低金利を継続する」とアナウンスし始めたことにあります。

今回のドバイショックはひとつのきっかけにすぎず、円高の流れはずっと前から決まっていたと言っても過言ではありません。国際金融の常識では、中東の資金繰りが急速に悪化していることは夏場から言われてきたことですし、ドバイショックが起こる以前に日経新聞の記事でも、中東の政府系企業で債務不履行が起こる可能性が高いことは取り上げられていました。

ドル円相場は先週に88円をブレイクしたことで、新しいトレンドに入ってしまったかもしれません。本日、日銀が臨時の金融政策決定会合を開き、相場は87円台まで戻していますが、10兆円規模の資金供給オペレーションではこの流れを止めることは難しいと思われます。

http://blog.livedoor.jp/asset_station/ より転載
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