優利加さんのブログ
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「半値戻し」達成後の3つのシナリオは・・・
先週金曜日の米国株式相場は小幅続伸した(DJIA +96.70 @40,659.76, NASDAQ +37.22 @17,631.72, S&P500 +11.03 @5,554.25)。ドル円為替レートは145円台半ばでの先週末比円高水準での動きだった。本日の日本株全般は下げる銘柄が多かった。東証プライムでは、上昇銘柄数が252に対して、下落銘柄数は1,373となった。騰落レシオは96.84%。東証プライムの売買代金は4兆1613億円。
TOPIX -37 @2,641
日経平均 -675円 @37,389円
米国では、8月ミシガン大消費者信頼感指数速報値が予想以上に強い結果(67.8>予想66.6、7月確報値66.4)となった。米国経済が景気後退に陥ることなくソフトランディングするという期待が高まり、主要3株価指数は揃って続伸した。前日にはS&P500は5,550を既に回復し、主要3株価指数は揃って8月初旬の急落前の水準を回復した。
本日8月19日の東京市場では、日経平均が先週だけで3,000円強上げていたことや外為市場で円相場が円高・ドル安に振れたこととで、利益確定売りが優勢となり、日経平均の下げ幅は一時700円を超えた。16日に半値戻しを既に達成していたため、目標達成感が出て来たようだ。さらに強力な好材料(例えば「FRBが0.5%の利下げを決定した」のような)が出てこないと、暫くはもみ合うか、調整することは自然である。
8月初旬からの急落とその後の急回復は企業の業績見通しが急に変化したからではなく、主に投資のマインドが急速に下方にブレたからである。投資家のマインドは予想PER(ファイナンス的には投資家の要求収益率と期待成長率の差の逆数だが、ざっくり言うと期待・楽観と悲観の程度を示す)の変化に反映される。7月10日に17.46倍まで上昇したが、8月5日には13.01倍まで急速に縮小した。その後、8月16日には15.64倍までまた拡大した。他方、米国株の場合、米国の期待成長率が日本よりも高いため予想PERは現在、23倍台である。
225PER・NT倍率 | アセットアライブ株式情報-株式ニュースや投資情報の総合サイト! (asset-alive.com)
今、GPIFがリバランスに動くのではないかと注目を集めている。GPIFは2024年6月末時点で254兆円を運用している巨大機関投資家である。アセットアロケーションは国内株、外国株、国内債、外国債にそれぞれ25%ずつの配分である。野村證券の推計によれば、日本株が急落したので一時、日本株のウェイトは23%台に下げた。16日でも24.3%と25%を下回る。国内株では上下8ポイントの乖離は許容しているとのことだが、もう少し細かく動いていると思われる。わずか1%の買い増しでも2.5兆円のインパクトであるため無視できない。さらに、9月にもし米連邦準備制度理事会(FRB)が利下げを実施すると米長期金利も下げるため、米国債の価格は上昇する。すると、外国債のウェイトが高まるため、またリバランスのため日本株のウェイトを上げるか、米国債の売却を迫られる。多分、政治的な忖度から米国債は売り難いだろうから、日本株を買い増すということになるのではないかと推論できる。さらに2025年には5年に1度の基本ポートフォリオの見直しが行われる。GPIFは「名目賃金率+1.7%」を長期運用目標にしているため、名目賃金率の上昇に伴い目標値も引き上げるだろう。その目標値を達成するために日本株のウェイトを引き上げるとマーケットは期待している。
日経平均の日足チャートを見ると、前日に下向きの25日移動平均線に接するまで反発し続けて半値戻しを達成したが、本日は下へ弾き返された。今後の動きは大きく分けて3つのシナリオが描ける。(1)少しの調整の後また上昇し始める、(2)暫く保ち合いが続きレンジ相場に移行する、(3)反落して3分の1押しか半値押しくらいまで下げる。どんな株価材料が出て来るか次第だろう。
33業種中31業種が下げた。下落率トップ5は、鉱業(1位)、機械(2位)、輸送用機器(3位)、電気機器(4位)、ゴム製品(5位)となった。
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