日本の3連休中、貿易協議で米国を訪れていた中国の代表団が農場視察を中止して帰国したと伝わり、協議の先行きへの警戒感から海外株が下落、円相場は1ドル=107円台前半まで上昇する場面があった。しかし、ムニューシン米財務長官が中国との閣僚級協議を再来週に開催することを明らかにし、農場視察の中止についても単なる延期で大きな問題ではないとの認識を示したと報じられ、連休明けの日経平均は懸念後退に伴い16円高からスタート。朝方には一時マイナスへ転じたが、その後22168.74円(89.65円高)まで上昇する場面があった。東証1部の値上がり銘柄は全体の6割強、対して値下がり銘柄は3割弱となっている。
個別では、トヨタ自<7203>、キーエンス<6861>、東エレク<8035>などが堅調。消費増税に伴う値上げを発表したOLC<4661>、成長投資に向けた資金調達方針が報じられた日立<6501>は揃って2%超の上昇。スズキ<7269>とSUMCO<3436>は4%前後上昇した。米アップルの定額制サービス向け新作ゲームを配信開始したスクエニHD<9684>は5%超の上昇。引き続き「ドラゴンクエストウォーク」の好調をはやした買いも入っているとみられ、共同開発のコロプラ<3668>はストップ高を付けている。一方、日経平均寄与度の大きいソフトバンクG<9984>やファーストリテ<9983>は軟調で、ほかに任天堂<7974>や三菱商事<8058>がさえない。三菱商事は海外子会社の不正取引で300億円超の損失が発生する見込みと発表している。一部証券会社のレーティング引き下げが観測された日本郵政<6178>は2%超の下落。また、アカツキ<3932>などが東証1部下落率上位に顔を出した。セクターでは、保険業、小売業、金属製品などが上昇率上位。反面、鉱業、証券、海運業などが下落率上位だった。
3連休明けの日経平均は朝方に小安くなる場面もあったが、底堅さを見せて前場を折り返した。外部環境としては、ムニューシン氏の発言が米中協議の先行き懸念を和らげる格好となった。米中の閣僚級協議が再来週に開催される見通しとなり、それまでは協議進展への期待が高まりそうだ。中国が10月1日に建国70周年を迎えることも「一時休戦」との思惑につながっているようだ。また需給面では、26日に9月末の権利付最終売買日を控え、配当等の権利取りの動きや配当再投資に絡んだ動きが株式相場を押し上げると期待されている。市場では株価指数連動型の運用(パッシブ運用)で配当権利落ちの前後に6000~7000億円規模の先物買い需要が発生するとの試算がある。
ただ、日経平均の日足チャートを見ると、5日移動平均線に沿って下値を切り上げてきている一方、19日の取引時間中に付けた高値22255.56円を抜けられず、上値の重さも感じられる。8月末から先週末までの上げ幅は1400円近くに達し、5月初めの急落前水準を回復してきたこともあり、目先の利益を確保する売りが出やすいところだろう。22000円台での値固めを意識した展開になるとみておきたい。
(小林大純)
<AK>
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