今週の新興市場は世界的なリスクオフムードに抗えず、週後半に大きく売られ、週間でも下落となった。米国で消費者関連の指標が軒並み悪化し、景気後退懸念が一段と強まるなか、リスク回避の動きが加速。金利が大幅に低下するなかではあったが、リスク資産を縮小する動きが優勢で、週末にかけて売りが加速した。なお、週間の騰落率は、日経平均が-2.10%であったのに対して、マザーズ指数が-3.78%、東証グロース市場指数は-3.36%だった。
個別では、ビジョナル<4194>が-7.7%、フリー<4478>が-8.9%、ウェルスナビ<7342>が-10.1%、ANYCOLOR<5032>が-16.4%、セルソース<4880>が-13.6%と主力株は全般大きく下落。一方、JTOWER<4485>は+3.2%、Appier Group<4180>は+5.3%と上昇した。売買代金上位にはこの週のIPO(新規株式公開)銘柄が並んだが、それらを抑えてトップとなったのがENECHANGE<4169>。信用取引の規制強化など悪材料もあったが、規制が臨時措置として更に強化された週末を除いて上値追いが続いた。電気自動車(EV)充電サービスに関するリリースが一段と人気に拍車をかけた。IPOラッシュになったことで、ANYCOLORやトリプルアイズ<5026>など直近IPO群からは資金が抜け、厳しい下げとなった。
■引き続きリスク回避の動きが重荷も、相対感から堅調か
来週の新興市場は週前半を中心に堅調か。世界的にリスク回避ムードが強まるなか、債券を除けばほぼ全部売りのような様相となっている。暗号資産ビットコインが再び2万ドルを割り込むなどリスク資産の持ち高を縮小する動きに止まる気配が見られない。一方、今週末の米国市場では10年債利回りが2.89%と1カ月ぶりの水準まで大幅に低下。金利の低下は株価バリュエーションの高い新興株には支援要因となる。為替の円安進行に一服感が見られつつあり、景気後退懸念も強まるなか、景気敏感株など東証プライム市場の大型株を手控えるムードが強まれば、新興株に相対的な形でスポットライトが当たる展開も想定されよう。ただ、週末には米6月雇用統計の発表が控えており、息の長い買いは期待できない。資金の逃げ足は速いと考えられ、小まめな利益確定が肝要となろう。6日には米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録(6月14~15日開催分)の公表もあるが、突如として0.75ptの利上げに踏み切った経緯を踏まえれば、議事録が新たにサプライズになることはないと考える。
個別では、次のIPOが週末8日のINTLOOP<9556>というスケジュール感のなか、全体的にやや手掛かり材料難で、イーディーピー<7794>、マイクロ波化学<9227>、サンウェルズ<9229>、M&A総合研究所<9552>など業績好調で初値形成後も値動きがしっかりな直近IPOで物色が活発化しそうだ。また、今週、全体が軟調な中でも週間で上昇したJTOWERやAppier Groupは業績も良好でユニークな事業内容からなお再評価余地がありそうだ。
今週は新たに日本ビジネスシステムズ<5036>、クラシコム<7110>の新規上場が承認された。来週は週末8日に、プロフェッショナル人材の活用などにより企業の課題解決を支援するINTLOOPが東証グロース市場に新規上場予定だ。
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