2日の後場の取引では以下の3つのポイントに注目したい。
・日経平均は5日ぶり反発、「米雇用」に「決算反応」「首都決戦」
・ドル・円はじり高、111円台で買い継続
・値上がり寄与トップはソフトバンクG<9984>、同2位がソニーG<6758>
■日経平均は5日ぶり反発、「米雇用」に「決算反応」「首都決戦」
日経平均は5日ぶり反発。84.06円高の28791.10円(出来高概算4億5000万株)で前場の取引を終えている。
1日の米株式市場でNYダウは3日続伸し、131ドル高となった。週間の新規失業保険申請件数が昨年3月以降で最少となり、金融緩和縮小(テーパリング)が早まるとの見方もあったが、労働市場の回復を期待した買いが優勢となった。原油先物相場の上昇でシェブロンなどの関連銘柄にも買いが入った。円相場は1ドル=111円台半ばから後半と引き続き弱含みで推移。本日の日経平均はこうした流れを好感して12円高からスタートすると、今晩の米6月雇用統計発表を前に売り方の買い戻しも入ったとみられ、朝方には一時28849.32円(142.28円高)まで上昇した。ただ、持ち高を一方向に傾ける動きは限られ、半導体関連など値がさ株の一角が軟調なことも重しとなって、買い一巡後は伸び悩む展開となった
個別では、ソニーG<6758>が3%超の上昇。オランダのゲーム会社買収を発表したほか、半導体子会社の工場用地取得の動きが報じられた。ソフトバンクG<9984>、トヨタ自<7203>、キーエンス<6861>も堅調で、任天堂<7974>は小高い。フィデアHD<8713>との経営統合で基本合意したと発表した東北銀<8349>は急伸。また、インプレス<9479>などが東証1部上昇率上位に顔を出している。一方、レーザーテック<6920>が6%近い下落となり、東エレク<8035>なども軟調ぶりが目立つ。前日の米市場では半導体関連株が下落し、レーザーテックは外資系証券の投資判断引き下げも観測されている。業績上方修正の郵船<9101>は朝高後にマイナス転換し、今期業績予想を発表した7&iHD<3382>は売りが先行。また、クスリのアオキ<3549>や大有機化<4187>が東証1部下落率上位に顔を出している。
セクターでは、鉱業、ゴム製品、空運業などが上昇率上位で、その他も全般堅調。下落したのは海運業と小売業の2業種のみだった。東証1部の値上がり銘柄は全体の82%、対して値下がり銘柄は14%となっている。
米雇用統計の発表を控えた週末の東京市場で、日経平均は5日ぶりに反発して前場を折り返した。今週に入ってからの4日間は海外勢のものとみられる株価指数先物の売りで計360円近く下落しており、雇用統計発表を前に持ち高調整目的の買い戻しが入っているのだろう。なお、前日の先物手口でも日経平均先物でクレディ・スイス証券、東証株価指数(TOPIX)先物でBofA証券の売り越しが観測された。「リフレトレード」の後退に国内での新型コロナウイルス新規感染者数の増加も重なり、グローバル投資家の日本株のエクスポージャー(投資残高)が高まっている印象は薄い。
雇用統計の内容を見極めたいとの思惑もあって、直近の下落分を埋めにいくような動きとはなっていない。前哨戦となったADP雇用統計や週間の失業保険申請件数は、サービス業を中心とした雇用回復を背景に良好な結果となった。これらを受け、雇用統計の市場予想コンセンサスは非農業部門雇用者数で71万人程度の増加(5月は55.9万人増)まで引き上げられているようだ。失業率は5.6%(同5.8%)、平均時給は3.6%増(同2.0%増)といった予想になっている。
もっとも前日指摘したとおり、ここ数カ月はADP雇用統計の方が米政府の雇用統計より強めの数値が出ている。また、失業給付の上乗せ失効で需給ギャップの解消が期待されている一方、失業の長期化による影響や低賃金労働の減少などといった構造的な問題が見過ごされている感は拭えない。逆に強すぎる数値ならテーパリング早期化の思惑が広がるだろう。中期的なトレンドとして「リフレトレード」後退の流れは変わらないとみるが、短期的な方向感を変える可能性は十分ある。なお、週明け5日の米市場は独立記念日の振り替え休日で休場となるため、内容の消化にやや時間がかかる可能性があることにも注意しておきたい。
また、前日の当欄では業績上方修正を発表したマルマエ<6264>の急落を受け、決算発表シーズン中の株価反応に不安があることを指摘したが、前日の米市場でも決算発表した半導体のマイクロン・テクノロジーが材料出尽くし感から大きく売られる格好となった。本日、郵船が売り一巡後に下げ渋ってきたことにはやや安心感があるが、株価位置の高い半導体関連株や海運株は「好業績をある程度織り込み済み」と受け止められているようだ。決算発表シーズンまで容易に上値を追いづらい状況となるかもしれない。
最後に、4日は東京都議会選の投開票が予定されている。自公協力の前提とみられている「小池百合子都知事への歩み寄り」を打ち壊すかのような有力者の発言があったり、過労で一時静養していた小池氏に思いのほか同情票が集まり、都民ファーストの会が支持を増しているとの報道もあったりするが、ここまで特段大きな波乱要因は見られない。衆院解散・総選挙前の首都決戦で自民党が巻き返すか、都ファが粘り腰を見せるか注目したい。(小林大純)
■ドル・円はじり高、111円台で買い継続
2日午前の東京市場でドル・円はじり高となり、111円半ばで小幅に値を上げた。今晩発表の米雇用統計で労働市場の改善が期待され、ドル買いが継続。一方、日経平均株価は前日終値を上回って推移し、日本株高を好感した円売りが観測されている。
ここまでの取引レンジは、ドル・円は111円51銭から111円66銭、ユーロ・円は132円10銭から132円23銭、ユーロ・ドルは1.1841ドルから1.1853ドル。
■後場のチェック銘柄
・ベイシス<4068>、アイビー化粧品<4918>など、4銘柄がストップ高
※一時ストップ高(気配値)を含みます
・値上がり寄与トップはソフトバンクG<9984>、同2位がソニーG<6758>
■経済指標・要人発言
【経済指標】
・日・6月マネタリーベース:前年比+19.1%(5月:+22.4%)
【要人発言】
・国際通貨基金(IMF)
「2021年の米国経済7%を予想、22年5%前後」
「テーパリングは2022年前半に開始することが必要となる可能性」
<国内>
特になし
<海外>
特になし
<CS>
・日経平均は5日ぶり反発、「米雇用」に「決算反応」「首都決戦」
・ドル・円はじり高、111円台で買い継続
・値上がり寄与トップはソフトバンクG<9984>、同2位がソニーG<6758>
■日経平均は5日ぶり反発、「米雇用」に「決算反応」「首都決戦」
日経平均は5日ぶり反発。84.06円高の28791.10円(出来高概算4億5000万株)で前場の取引を終えている。
1日の米株式市場でNYダウは3日続伸し、131ドル高となった。週間の新規失業保険申請件数が昨年3月以降で最少となり、金融緩和縮小(テーパリング)が早まるとの見方もあったが、労働市場の回復を期待した買いが優勢となった。原油先物相場の上昇でシェブロンなどの関連銘柄にも買いが入った。円相場は1ドル=111円台半ばから後半と引き続き弱含みで推移。本日の日経平均はこうした流れを好感して12円高からスタートすると、今晩の米6月雇用統計発表を前に売り方の買い戻しも入ったとみられ、朝方には一時28849.32円(142.28円高)まで上昇した。ただ、持ち高を一方向に傾ける動きは限られ、半導体関連など値がさ株の一角が軟調なことも重しとなって、買い一巡後は伸び悩む展開となった
個別では、ソニーG<6758>が3%超の上昇。オランダのゲーム会社買収を発表したほか、半導体子会社の工場用地取得の動きが報じられた。ソフトバンクG<9984>、トヨタ自<7203>、キーエンス<6861>も堅調で、任天堂<7974>は小高い。フィデアHD<8713>との経営統合で基本合意したと発表した東北銀<8349>は急伸。また、インプレス<9479>などが東証1部上昇率上位に顔を出している。一方、レーザーテック<6920>が6%近い下落となり、東エレク<8035>なども軟調ぶりが目立つ。前日の米市場では半導体関連株が下落し、レーザーテックは外資系証券の投資判断引き下げも観測されている。業績上方修正の郵船<9101>は朝高後にマイナス転換し、今期業績予想を発表した7&iHD<3382>は売りが先行。また、クスリのアオキ<3549>や大有機化<4187>が東証1部下落率上位に顔を出している。
セクターでは、鉱業、ゴム製品、空運業などが上昇率上位で、その他も全般堅調。下落したのは海運業と小売業の2業種のみだった。東証1部の値上がり銘柄は全体の82%、対して値下がり銘柄は14%となっている。
米雇用統計の発表を控えた週末の東京市場で、日経平均は5日ぶりに反発して前場を折り返した。今週に入ってからの4日間は海外勢のものとみられる株価指数先物の売りで計360円近く下落しており、雇用統計発表を前に持ち高調整目的の買い戻しが入っているのだろう。なお、前日の先物手口でも日経平均先物でクレディ・スイス証券、東証株価指数(TOPIX)先物でBofA証券の売り越しが観測された。「リフレトレード」の後退に国内での新型コロナウイルス新規感染者数の増加も重なり、グローバル投資家の日本株のエクスポージャー(投資残高)が高まっている印象は薄い。
雇用統計の内容を見極めたいとの思惑もあって、直近の下落分を埋めにいくような動きとはなっていない。前哨戦となったADP雇用統計や週間の失業保険申請件数は、サービス業を中心とした雇用回復を背景に良好な結果となった。これらを受け、雇用統計の市場予想コンセンサスは非農業部門雇用者数で71万人程度の増加(5月は55.9万人増)まで引き上げられているようだ。失業率は5.6%(同5.8%)、平均時給は3.6%増(同2.0%増)といった予想になっている。
もっとも前日指摘したとおり、ここ数カ月はADP雇用統計の方が米政府の雇用統計より強めの数値が出ている。また、失業給付の上乗せ失効で需給ギャップの解消が期待されている一方、失業の長期化による影響や低賃金労働の減少などといった構造的な問題が見過ごされている感は拭えない。逆に強すぎる数値ならテーパリング早期化の思惑が広がるだろう。中期的なトレンドとして「リフレトレード」後退の流れは変わらないとみるが、短期的な方向感を変える可能性は十分ある。なお、週明け5日の米市場は独立記念日の振り替え休日で休場となるため、内容の消化にやや時間がかかる可能性があることにも注意しておきたい。
また、前日の当欄では業績上方修正を発表したマルマエ<6264>の急落を受け、決算発表シーズン中の株価反応に不安があることを指摘したが、前日の米市場でも決算発表した半導体のマイクロン・テクノロジーが材料出尽くし感から大きく売られる格好となった。本日、郵船が売り一巡後に下げ渋ってきたことにはやや安心感があるが、株価位置の高い半導体関連株や海運株は「好業績をある程度織り込み済み」と受け止められているようだ。決算発表シーズンまで容易に上値を追いづらい状況となるかもしれない。
最後に、4日は東京都議会選の投開票が予定されている。自公協力の前提とみられている「小池百合子都知事への歩み寄り」を打ち壊すかのような有力者の発言があったり、過労で一時静養していた小池氏に思いのほか同情票が集まり、都民ファーストの会が支持を増しているとの報道もあったりするが、ここまで特段大きな波乱要因は見られない。衆院解散・総選挙前の首都決戦で自民党が巻き返すか、都ファが粘り腰を見せるか注目したい。(小林大純)
■ドル・円はじり高、111円台で買い継続
2日午前の東京市場でドル・円はじり高となり、111円半ばで小幅に値を上げた。今晩発表の米雇用統計で労働市場の改善が期待され、ドル買いが継続。一方、日経平均株価は前日終値を上回って推移し、日本株高を好感した円売りが観測されている。
ここまでの取引レンジは、ドル・円は111円51銭から111円66銭、ユーロ・円は132円10銭から132円23銭、ユーロ・ドルは1.1841ドルから1.1853ドル。
■後場のチェック銘柄
・ベイシス<4068>、アイビー化粧品<4918>など、4銘柄がストップ高
※一時ストップ高(気配値)を含みます
・値上がり寄与トップはソフトバンクG<9984>、同2位がソニーG<6758>
■経済指標・要人発言
【経済指標】
・日・6月マネタリーベース:前年比+19.1%(5月:+22.4%)
【要人発言】
・国際通貨基金(IMF)
「2021年の米国経済7%を予想、22年5%前後」
「テーパリングは2022年前半に開始することが必要となる可能性」
<国内>
特になし
<海外>
特になし
<CS>
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