1日の米株式市場ではNYダウが321.83ドル高と反発。第3四半期、下半期入りで新たな投資資金流入を期待した買いに寄り付き後、上昇。その後、6月ISM製造業景況指数が予想以上に悪化し2年ぶり低水準に落ち込んだため景気後退懸念が再燃し売りが加速、一時下落に転じた。しかし、同時に、連邦準備制度理事会(FRB)の急速な利上げの思惑が後退、金利が低下すると安心感も広がり下げ止まった。連休を控えた買戻しに再び上昇し、引けにかけて上げ幅を拡大。ナスダック総合指数も反発した。米株高を引き継いで日経平均は前週末比151.16円高からスタート。買い一巡後は上げ幅を縮小して前週末終値付近まで値を下げたが、再度上げ幅を拡げたあと上値の重い展開となった。
個別では、ソフトバンクG<9984>、ソニーG<6758>、リクルートHD<6098>などが大幅高。電力需給逼迫と原発再稼働に絡む思惑錯綜して東京電力HD<9501>を筆頭に関西電力<9503>や九州電力<9508>などの電力株が大幅に上昇、レノバ<9519>や東京エネシス<
1945>などの再生可能エネルギー関連銘柄にも注目が集まっている。また、三菱商事<8058>や三井物産<8031>などの商社株も強い動き。上半期決算を発表した象印マホービン<7965>が急反発。ほか、第1四半期は市場想定比上振れで安心感が先行したニトリHD
<9843>、22年5月期決算を発表したアスクル<2678>が大きく上昇。
一方、東エレク<8035>やファーストリテ<9983>などが軟調。大規模通信障害を嫌気した売りが流入したKDDI<9433>が売り優勢の展開となっているほか、三越伊勢丹<3099>、H2Oリテイル<8242>、Jフロント<3086>などの百貨店関連銘柄が利食い売り優勢となっている。前週末から売り優勢の展開が続いているダブル・スコープ<6619>が大きく下落。大阪チタ<5726>やビジョン<9416>が値下がり率上位に顔を出した。
セクターでは電気・ガス、卸売業、サービス業が上昇率上位となった一方、保険、石油・石炭が下落率上位となった。東証プライムの値上がり銘柄は全体の75%、対して値下がり銘柄は22%となっている。
本日の日経平均株価は上昇してスタートした後、アジア市況が軟調に推移したことを横目に前場中ごろに上げ幅を縮小して前週末終値付近まで値を下げた。その後再度買いが集まり上げ幅を拡げるも上げ幅は限定的、上値の重い展開となった。米国株の上昇に加えて米長期金利が低下したことが、国内の個人投資家心理にもポジティブに働いているようだ。日足チャートでは、上下に長い髭を伴うを陰線を形成しており売り買いが交錯している状況が窺える。
新興市場も買い優勢の展開が続いているものの上値は重いか。マザーズ指数やグロース市場の時価総額上位20銘柄で構成される東証グロース市場Core指数は、前引け時点で東証グロース市場Core指数が2.42%高、東証マザーズ指数が1.37%高となっており、日経平均株価よりもやや値幅を伴って上昇している。時価総額上位銘柄中心に物色が向かっているようだ。冴えない動きだった米株市場が上昇に転じたことに加えて米長期金利が2.89%と1カ月ぶりの水準まで大幅に低下しており、バリュエーション面での割高感が気になりやすい東証グロース市場の中小型株には支援要因となっている。
ただ、日経平均株価が上げ幅を縮小している場面では、東証グロース市場の指数も同様に上げ幅を縮小していた。グロース株にとって金利の低下は支援要因にはなるが、7月以降もFRBが0.75ptの大幅利上げを実施する可能性が残るなか、グロース株を積極的に買い進むことは難しい。個人投資家主体の短期資金の逃げ足が速くなり、上値の重い展開となっている可能性がある。
さて、今週は米国で多くの経済指標の結果が発表される。6日には米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録の公表、米6月ISM非製造業景気指数、7日に米6月ADP雇用統計や米5月貿易収支、8日に米6月雇用統計及び米5月消費者信用残高などが発表される。FOMC議事録が新たにサプライズになることはないと考えられているが、米雇用統計など各種経済指標の結果を見極めるまでは積極的に買い進む動きは限定的になりそうだ。
後場の日経平均は上値の重い展開が続くか。中国で新型コロナウイルス感染が再び増加していることを嫌気したアジア株下落に加えて、時間外で米株先物が下落していることが投資家心理を悪化させる要因となりそうだ。また、本日は米国の独立記念日で米株市場が休場、買い手掛かり材料に欠けるなか、東証グロース市場中心に投資家の目線が向かう可能性を想定しておきたい。
<AK>
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