「日経平均は22年4月に3万5000円を志向」
◆大きな保ち合いを形成
チャーチストの観点で2022年相場を占ってみた。結論を先に申し上げると、「4月に3万5000円を目指し、その後は10月まで調整が続いて2万5000円に迫る」となる。その要因を以下に述べておく。
(1)日経平均株価のチャートはいま三角保ち合いを描いている。下値は2021年8月20日の安値2万6954円から、上値は9月14日の高値3万0795円からそれぞれ始まり、直近の下値支持線は2万7800円近辺、上値抵抗線は2万9500円近辺にある。
(2)時価(12月29日終値2万8906円)はその三角保ち合いのほぼ中心に位置し、日足の移動平均線や週足の移動平均線とも重なっている。ただ、三角保ち合いの上下ラインの間隔がまだ1700円ほどあるので、保ち合いを煮詰めて放れ足を見せるのにあと1カ月ほど日柄を要する可能性がある。
(3)8月以降のチャートは三角保ち合いだが、年初からのチャートを見ると、2月16日の高値3万0714円を基点に1年かけて「菱型」を描いている。2月高値と9月高値による「二点トップ」と捉えることもできるが、どちらにせよ2021年の日経平均株価は多くの期間を「2万7500円~3万円」のゾーンで長くもみ合い、踊り場を形成していると言える。
(4)2020年からのチャートを見れば、コロナショックで付けた20年3月の安値(1万6358円)を基点に、2021年2月の高値まで二段上げを描いている。7000円前後の上げ幅で二波を描き、その後に長い踊り場となっている。
(5)こうなると、保ち合いからの放れ足が大きくなることが想定される。三角保ち合いが煮詰まるのは2月頃とみている。8月安値の6カ月期日も2月であることから、放れ足を見せる時期として「2月」頃が想定され、そして上放れるなら直近の安値2万8000円処に7000円幅を加えた「3万5000円を指向」となる。
◆そのほか4月までの上昇要因
・過剰流動性の余韻……米連邦準備理事会(FRB)は3月にテーパリングを終えて、利上げ開始を鮮明にするが、世界的なカネ余りはすぐには収縮せず、金融相場の余韻が3月頃まで続いてもおかしくない。
・オミクロン懸念の後退……2022年になると3度目のワクチン接種が本格化する。飲み薬の供給も始まってオミクロン懸念が後退し、コロナ後の景気回復観測が強まる。
・中国景気対策……中国は2月の冬季五輪や10月の共産党大会を控え、規制強化から経済対策に舵を切る。
・景気対策観測……日本は7月の参院選を控え、政府はインフラ整備など新たな景気対策を打ち出す可能性がある。
・4月に東証の市場再編があり、企業はプライム市場を目指して株高に努める。
・日経平均株価の9月14日高値の6カ月期日は「2022年3月14日」、10月6日安値のそれは「同年4月6日」。それぞれ6カ月期日に絡んだ需給が後押しする。
◆年後半の調整要因
・FRBの利上げ開始に伴い、リスクマネーの回帰が始まる。
・半導体などの設備投資にピークアウト観測が台頭。
・日本企業の来2023年3月期の増益率の鈍化見通し。
・米中間選挙を控え、共和党が攻勢に転じる一方、バイデン政権の支持率が低下する。
・米中摩擦(民主国家vs独裁国家)の再燃。
・4月の市場再編で思惑が一巡、出尽くし感が台頭。
・日経平均株価は過去最高値3万8957円(終値ベース3万8915円)を視野に入れるが、マスコミや市場関係者が「4万円」を口にしてくると達成感が台頭する。
◆放れ足につくのが基本
保ち合いを上放れて「4月に3万5000円を志向」と述べたが、1月早々はヘッジファンドが売りから入ることが多く、下げで始まるケースも想定はしておく。
そして大事なことだが、予想に反して保ち合いを下放れる可能性もあるということ。その時は3月にネックラインの2万4000円台(2018年、2019年で高値になった2万4000円台)模索を想定する。
理由はともかく保ち合いの後は「放れに従う」のが基本。日経平均株価が2万7000円を割り込むのならば、持ち株は一旦縮小させるなど慎重姿勢が必要になるだろう。どちらに放れるかが新年の焦点であることも付け加えておきたい。
◆新年の注目株
まずは大型主力株から。カネ余りの金融相場がもうしばらく続くので、大量の資金をこなせる大型主力株には新年もマネーが向かうだろう。
いま上昇基調を鮮明にしているソニーグループ <6758> 、東京エレクトロン <8035> はテーマに沿う王道銘柄であり、これに乗るのは当然の策だろう。
また、出遅れ気味のファナック <6954> 、村田製作所 <6981> などはいつ切り返してもおかしくなく、トヨタ自動車 <7203> 、三菱商事 <8058>を含めていずれの銘柄も材料に不足なし。
そのほかでは、好業績ながら調整を入れている銘柄で東京エネシス <1945> 、伊藤忠テクノソリューションズ <4739> 、長野計器 <7715> が注目される。東京エネシスは小型原発関連、再生エネルギー関連として、伊藤忠テクノソリューションズは大手SI(システムインテグレーター)で、実力も実績も十分。長野計器は圧力センサー大手で、 半導体や水素ステーション関連でもある。
年末の需給悪でズルズルと値を崩した材料株は、新年のリバウンド期待が持てる。例えば、システムクラウドを手掛けるサイバーリンクス <3683> 、EV(電気自動車)充電設備を手掛けるモリテック スチール <5986> 、環境関連装置で実績のある三菱化工機 <6331> など。株価が安くなって待ち伏せ妙味があり、株価が動き出せば材料は後からついてくる。東証マザーズの小型株に対しても同じような見方ができるだろう。
大型、中型、小型株を織り交ぜて、新年はまず4月をメドに成果をつかみたい。
(2020年12月29日 記)
情報提供:富田隆弥のチャートクラブ
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