『馬渕磨理子が実践!トレードステーション利用術』と題して、私が普段のトレードで使っている分析ツール「トレードステーション」について、その活用方法を、最新のニュース情報も交えながらお話しする連載です。
■地政学リスク再認識から始まった2020年
年明け早々、米国がイラン革命防衛隊のソレイマニ司令官を殺害したというニュースにより、中東情勢への緊張感が高まりました。米国・イラン双方が更なる対立激化を望まない意向を示したことで、米国・イランの緊張関係は緩和方向へ転じましたが、依然として中東の地政学リスクはくすぶっています。ともすれば「株安」「円高」「原油高」のトリプルショックが東京市場を直撃することも考えられるため、今後の動きを注視しつつさらなる不測の事態に備えたいところです。
地政学リスク再認識から始まった2020年ですが、今回はIPO後数年以内の銘柄に注目してみます。IPO後数年以内の成長性の高い企業は、外部要因の影響を受けにくく、独自の株価形成をする傾向があります。また、IPO後にテンバガー(10倍株)になるような銘柄も数多くあります。
高い成長性が見られる企業の特徴としては、今まで無かったような新しい分野で新しいビジネスモデルを有している企業、そして、設立からまだ10年以下のスタートアップ企業などがあげられます。さらに、テンバガーになるようなIPO企業は、マザーズなどの新興市場で上場し、時価総額が小さいのが特徴です。このような企業に着目した機関投資家からの投資が集まると、株価が大きく上がる可能性があります。
■IPO後数年以内で注目しておくべき銘柄
・SOU<9270>マザーズ
【上場】2018年3月 【設立】2011年12月
ブランド品リユース大手。20.8期1Q連結業績は売上高が前年同期比29.6%増の116.13億円、営業利益が同20.3%増の7.46億円、経常利益が同15.5%増の7.24億円となっています。さらなる事業拡大に向け、国内の百貨店や商業施設を中心に買取店舗(商品を買い入れる店舗)の出店を進め、2019年11月末時点で買取店舗数はグループ全体で78店舗となっています。
販売面では、業者向けオークション「STAR BUYERS AUCTION(スターバイヤーズオークション)」の香港大会でオークションを複数回実施、国内大会における海外事業者専用の入札サイトオープンなど売上拡大に向けた取り組みが見られます。また、所持品の実物資産としての管理・運用を提案する資産管理アプリ「Miney(マイニー)」は、子会社SOU Technologiesへ譲渡し、運用・開発を継続しています。
・SERIOホールディングス<6567>
【上場】2018年3月 【設立】2016年6月
子育てと仕事の両立目指す女性を対象に就労支援や育児支援事業を展開。保育事業を積極強化しています。20.5期2Q(累計)の連結業績は、売上高が前年同期比10.7%増の34.47億円、営業利益は同45.1%増の0.50億円、経常利益は同41.5%増の0.49億円に拡大しています。経常利益は通期計画0.81億円に対し進捗率60.5%に達しています。
・フェイスネットワーク<3489>
【上場】2018年3月 【設立】2001年10月
渋谷など城南エリア中心に展開している不動産投資支援事業が主力の企業です。用地取得から設計、工事、賃貸管理等に至るワンストップサービスを強みとしており、不動産マネジメント事業は好調です。増収で売上総利益が増加し、20.3期2Qにて営業黒字転換している点も注目です。
2018年IPOでは他に、建物のリペアサービス・建築サービスを手掛けるキャンディル<1446>とともに、ネイティブ広告配信サービス「logly lift」等を提供するログリー<6579>は見直しの買いが入っています。「クッキー」と呼ばれる閲覧履歴データの利用を見直す動きの広がりから、クッキーを利用せずにユーザー属性を推定する技術を確立しているログリーが注目されているようです。この辺りのWebマーケティングの動向は引き続き注視したいです。
2019年IPOでは、共栄セキュリティーサービス<7058>は堅調な値動きが続いています。今年は東京五輪を控え、セキュリティ・警備関係の特需期待が高まっており、施設警備や雑踏・交通誘導警備等を手掛けている同社は関連銘柄の1つとして注目されています。また、上場企業と投資家を繋ぐマーケティングツール「IR-navi」などの提供を行うウィルズ<4482>は業績も堅調で、ここからの株価形成に期待です。
今回上げた銘柄以外にも、2018年・2019年に上場した銘柄があります。マネックス証券のトレードステーションのワークスペースにてまとめていますのでぜひご覧ください。
(その他の代表的な『2018年・2019年IPO銘柄』の銘柄リストは、『マネックス証券トレードステーションのHP コラム・レポートのページ』からダウンロードできます。)
次回も、このような形で、話題のニュースから読み解いたテーマとトレードステーションのツールについてお話しします。
※「馬渕磨理子が実践!トレードステーション利用術」は、米国TradeStation Groupが開発したトレーディングツール「トレードステーション」の日本語版(マネックス証券が提供)を馬渕磨理子の見解で注目し、コメントしたものです。開発会社や日本語版提供会社との見解とは異なる場合があります。
(フィスコ企業リサーチレポーター 馬渕磨理子)
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