住宅分野の売上高は1,226百万円(前年同期比32.8%減)だった。第1四半期のSE構法出荷数は209棟(前年同期比28.7%減)となり、SE構法出荷1棟当たりの平均売上金額も前年同期比で5%程度下落した。また、SE構法登録施工店は新規に7社加入し(退会12社)、600社となった。
非住宅分野の売上高は672百万円(前年同期比222.7%増)と3.2倍に成長した。SE構法出荷数は32棟(前年同期比45.5%増)となった。SE構法以外の大規模木造建築設計を扱う木構造デザインでは継続的なプロモーション活動を実施し、構造計算出荷数が16棟(前年同期比77.8%増)となり、エヌ・シー・エヌ<7057>におけるSE構法の構造計算出荷数33棟(前年同期比22.2%増)とあわせて、非住宅木造建築物の構造計算数は49棟(前年同期比36.1%増)と大きく増加した。2022年10月に大断面集成材加工や特殊加工、大規模木造建築の施工力に強みを持つ翠豊を子会社化したことにより、大規模木造建築分野における事業領域は拡大している。加えて、2023年5月にはSE構法による木造5階建てについて日本建築センターの構造評定を取得した。同社の木構造技術センターでの技術研究・開発の成果によるものだ。これにより、従来は防火・構造上建築確認申請が認められなかった3階建て以上の木造建築が、SE構法により比較的容易に確認申請が認められる展望が開けたため、工務店や地方ゼネコンによる木造の中・高層建築事業に対するサポート体制を強化していく。
また、2023年5月に関連会社のMUJI HOUSEが良品計画、及び農林水産省(林野庁)と「木材利用拡大に関する建築物木材利用促進協定」を締結した。これは、良品計画が自社の木造店舗等の整備において、構造材や内外装に国産木材を積極的に活用することで、2050年のカーボンニュートラルの実現や山村の活性化等に貢献していく構想の一環で、今後5年間で10,000m2の国産材を活用して無印良品店舗を木造化する。「無印良品の家」の建築等を展開するMUJI HOUSEがSE構法で木造店舗の建設を行う計画だが、実質的には同社が構造計算・省エネ計算からプレカット資材の供給、登録施工店による施工を行うことになる。
環境設計分野の売上高は52百万円(前年同期比0.8%減)だった。2021年4月より説明が義務化となった住宅の省エネ性能に対して、補助金の受給に関するコンサルティング業務と合わせてサービス提供することで、木造住宅、集合住宅及び非住宅木造物件向けの一次エネルギー計算書の出荷数は685件(前年同期比3.0%減)となった。また、2024年3月期より非住宅向け省エネ認定(ZEB認定)のサポート業務を開始し、既に2件の認定サポートを実施し補助金申請を行った。
DX・その他の分野の売上高は15百万円(前年同期比65.2%減)だった。木造建築向けITソリューションを開発・展開する子会社MAKE HOUSEでは、2021年10月に開設した「MAKE HOUSE BIM BASE」を拠点に事業拡大に向けた人材育成を行い、BIM技術を活用した高画質建築空間シミュレーションサービス「MAKE ViZ」の営業活動を進めたが、2023年3月期に計上した大型スポット案件が2024年3月期はなかったため減収となった。また、2023年7月に100%株式を保有するSE住宅ローンサービスの株式のうち60%をパブリックホールディングスに譲渡した。パブリックホールディングスはグループ会社がSE住宅ローンと同じクレディセゾンの「フラット35」を扱う代理店であり、銀行代理業、火災保険等の保険サービス等の住宅金融代理業を展開している。「フラット35」の融資実行額は3,000億円以上に達し、2022年実績で約1,000件の住宅ローン融資の申し込み、約700件の取次実績がある。同社は、パブリックホールディングスとの連携により、登録施工店向けの金融サポート体制を強化し事業拡大を目指す。
木材が不足するウッドショックやロシアのウクライナ侵攻を受け、供給不安から積極的に木材を調達しようという商社などの動きが見られたが、新設住宅の着工が減ってきたなか、需給が緩和している。米国では長期金利上昇の影響により住宅投資が減少し木材の需要が落ち込んでおり、シカゴ(CME)木材先物は2021年5月の1,670米ドル辺りから、足元では500米ドル辺りに推移しており、結果的にはコロナ禍前の水準で推移している。ウッドショック時に大量に在庫を増やした商社やメーカーなどは相当利益を上げたと見られるが、住宅需要が弱くなり始め、在庫がだぶつき出しているなか、影響は避けられないと弊社では考えている。
同社は構造用集成材をすべて国内メーカーから調達しているが、同社社長の田鎖氏は、商社の木材部で米国・カナダ・ニュージーランドから材木を輸入していた経験を有しているため、木材の流通についての知見も豊富であり、ウッドショックへの対処という点で大きな強みがある。実際、ウッドショック下で過度な在庫を積み増さず、適正な分だけを調達してきた経緯がある。木材・木製品・林産物、合板、集成材などの輸入物価指数は依然として高い水準で推移しているものの、ピークアウト感が見られてきたなか、同社の強みが生かされている。
なお、2021年4月施行の改正建築物省エネ法において、新築の非住宅建築物(延床面積300m2以上)の省エネ基準への適合が義務化された。省エネ基準への適合が義務化されると、外壁の断熱材、高断熱性の窓設置、高効率の空調や発光ダイオード(LED)照明の導入などが求められる。また、中規模非住宅も「省エネ適判」が必須となり、省エネ計算は新築計画に欠かせない業務として加わった。
同社は10年以上前から省エネルギー計算を実施し、多くの計算書の実績を誇っている。豊富な経験値を基に、省エネ性能説明義務化への対応において優位性を発揮すると見られ、同セグメントの売上成長は今後も伸びていくと弊社では考えている。
3. 財務状態
資産合計は6,705百万円となり、前期末に比べ144百万円減少した。これは主に現金及び預金が90百万円、投資有価証券が101百万円増加したものの、売掛金等が183百万円、有償支給未収入金が147百万円減少したことによる。負債合計は4,570百万円となり、同16百万円減少した。これは主に賞与引当金が33百万円、リース債務が28百万円増加したものの、買掛金等が59百万円、未払法人税等が24百万円減少したこと等によるものである。純資産合計は2,135百万円となり、同127百万円減少した。これは親会社株主に帰属する四半期純損失が9百万円であったことに加えて、配当金118百万円の支払い等によるものである。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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