13日の米株式市場でNYダウは2%を超える下落率で3日続落した。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が、景気見通しは著しく不透明で、長期にわたる景気後退の可能性や更なる景気刺激策が必要との認識を示し、下落して寄り付いた。また、著名投資家のテッパー氏が「市場は過大評価されている」との見解を示したことも嫌気され、下落幅を拡大する展開となった。この流れを受けて、日経平均も100円を超える下げ幅で3日続落してスタートを切った。ただ、決算を好感した銘柄も続出するなど相場は総悲観といったムードでもなく、安いところでも節目の20000円を割らずに底堅く推移した。
個別では、1-3月期営業利益が前年同期比57%減と下振れ着地したソニー<6758>が大きく下落。また、ガイダンス非開示で出尽くし感が先行したスクエニHD<9684>も売られた。他方、従来計画を上回る着地となり、21年3月期も2%を超えるコア営業増益見通しを示した武田薬<4502>は大幅上昇。ゲームソフトウェア格納用LSIが堅調で構造改革による業務効率化も寄与したメガチップス<6875>は20%近い急伸となった。
そのほか、東証1部の売買代金上位では、ソフトバンクG<9984>、トヨタ<7203>、東エレク<8035>、三菱UFJ<8306>、富士通<6702>、ファナック<6954>、SUMCO<3436>など景気敏感系の下落が目立つ。一方、任天堂<7974>が小高いほか、第一三共<4568>、決算が好感されたネクソン<3659>などは大きく上昇している。
セクターでは、鉱業、海運業といった景気敏感業種のほか、ハイテク関連が集まる電気機器、金属製品などが下落。他方、ディフェンシブ系の医薬品が2%近い上昇となっているほか、空運業、陸運業が上昇している。東証1部の値下がり銘柄は全体の72%、対して値上がり銘柄は25%となっている。
本日の日経平均は前日と同様、米株安の流れを引き継いで下落スタートとなったが、その後は下げ渋る展開となった。
前日のパウエル議長の発言を受けて景気後退懸念が一層高まり、好調が目立っていたナスダックを含め2日連続で米主要3指数は大幅な下落をみせた。また、売買代金が多くないことを考えれば、依然としてインパクトは相当程度あるとの見方もあるが、前日の日銀によるETF(上場投資信託)買いの金額は1000億円程度と、直近の1200億円水準から購入額が減額された。更には、国内を含め各国で経済活動再開へ向けた動きが出てきている中で同時に2次感染リスクを意識させるニュースも増えてきている。
期待先行による形で日経平均も20000円台まで上昇してきたが、半値戻しによる達成感や経済活動再開への期待に水を差しかねない2次感染拡大のニュースフローが増えている中での、上述のパウエル議長発言を受けた米株安や日銀のETF買い減額ときている。それでも本日の日経平均が20000円を割らずにきていることをむしろ積極的に評価すべきともいえるが、やや下値リスクも意識しておきたいところだ。
個別でも、本日は景気敏感セクターの中でも一線を画す好調さを見せていた半導体関連等のハイテク株が売られている。全体相場がこのまま戻り基調を続けるのか、再び下値を警戒した動きになるのかという瀬戸際局面であることを考慮すれば、この先は、ネット通販等の底堅い事業を手掛けている企業や直近決算で堅調な内容を示したようなファンダメンタルズが確固とした銘柄に的を絞っていきたい。
<AK>
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