昨年6月に量産開始したセラミックパッケージ型全固体電池「PSB401010H」は従来のリチウムイオン電池では使用できなかった高い温度域で使用可能なことから好評を得ている。そんな中、医療向け滅菌工程や半導体製造工程、車載用途など高温環境下で設備周辺の温度やそのほかの情報のセンシング・モニタリングが必要な分野から、これまでに「PSB401010H」の放電上限温度である125℃を超える用途での使用要望が多数あったという。
要望を受け、全固体電池の使用用途を拡大すべく耐熱特性向上の開発を進め、全固体電池の劣化メカニズム解析により、正極活物質と固体電解質との界面での副反応が高温における劣化の主要因であることが分かった。
これにより、同社は、電極の材料や配合などの電極設計を大幅に見直すことで、150℃の高温下で充放電を繰り返すサイクル試験において、放電電圧が1.0Vに低下するまでのサイクル数を従来電極仕様品との比較で約5倍に向上させることに成功。同技術を応用した製品開発を進めることで、高温下での電池寿命の減少により発生していた頻繁な電池交換工数の削減につながるほか、高温下でのセンシング・モニタリングが行えるため、より高精度な設備制御による生産歩留や品質の向上が期待できる。
同社は、既存の電池では使用できなかった領域の用途にも使用できる、長寿命、高耐熱、高出力、大容量 の4つの軸で、高性能で信頼性の高い全固体電池の開発を進めている。
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