上期を終えた段階で2024年3月期の連結業績に変更はなく、売上高31,500百万円(前期比1.6%増)、営業利益2,250百万円(同3.0%増)、経常利益2,350百万円(同3.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,580百万円(同10.2%増)予想を据え置いた。
新設住宅着工戸数は新年度に入り5月が同月比3.5%増となった以外マイナスで推移している。しかも前澤給装工業<6485>に影響をより及ぼすとみられる持家件数については2021年12月以降、22ヶ月連続で同月比減となっている。
さらに景気動向の不透明感から今後も不安定な状況が続く懸念がある。このような状況下において同社は、コスト上昇による収益低下に歯止めをかけるため、2023年3月期から引き続き販売価格改定交渉や業務効率化によるコスト削減を推進してきた。今年度も2023年8月1日出荷分より給水装置製品の12%以上の改定を行い、2024年3月期は数量的には伸びない状況でも、給水装置事業で価格改定効果により増収増益を確保し、3期連続で売上高を最高更新する計画となっている。
現状、上期についてはほぼ会社計画線で着地、2024年3月期予想も変更しておらず、下期は売上高15,864百万円(前年同期比1.6%増)、営業利益1,060百万円(同3.1%減)予想となる。事業別では給水装置事業8,405百万円(同4.4%増)、住宅・建設設備事業6,191百万円(同0.0%減)予想となっている。給水装置事業については上期に予算執行の遅れもあり、下期には計画通りに執行される見通し、さらに価格改定効果も加わり十分に達成可能な状況にある。一方住宅・建築設備事業については上期のマンション等集合住宅向けの集中納入のようなものが期待できない状況で、住宅着工の低迷の中で横ばいを見通している。これには価格改定効果による増収が含まれるとみられるが、加えて10月に発表した2024年4月1日出荷分の全製品の販売価格改定のお願いを受けて、第4四半期にかけて駆け込み需要が加わることで横ばい確保以上の数字もあり得るとのこと。全体として数量効果が期待できないものの、年度を通じて環境悪化の中で価格改定効果が大きく寄与し、会社計画の達成は十分可能な状況と判断される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 岡本 弘)
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