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2024/04/02 - アネスト岩田(6381) の関連ニュース。 「アネスト岩田」を知っていますか?武田克己氏(以下、武田):取締役常務執行役員営業本部長の武田です。よろしくお願いします。それでは、未来に向けてActiveに挑戦するアネスト岩田株式会社についてご紹介します。アネスト岩田という社名をご存知ない方もいらっしゃると思いますが、当社の製品は、みなさまの暮らしの中で、さまざまな活躍をしています。

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【QAあり】アネスト岩田、気体と液体を扱うコア技術を基盤に事業領域拡大を図る 環境負荷低減等、社会課題に貢献する製品を創出

投稿:2024/04/02 19:00

「アネスト岩田」を知っていますか?

武田克己氏(以下、武田):取締役常務執行役員営業本部長の武田です。よろしくお願いします。それでは、未来に向けてActiveに挑戦するアネスト岩田株式会社についてご紹介します。

アネスト岩田という社名をご存知ない方もいらっしゃると思いますが、当社の製品は、みなさまの暮らしの中で、さまざまな活躍をしています。

大きく分けると、塗装機器事業・塗装設備事業と圧縮機事業・真空機器事業の4つがあります。塗装機器事業では、自動車の外装やバンパー、内装部品などを塗装する機械を製造・販売しています。

圧縮機事業が手掛ける圧縮機は、圧縮した空気を使い、例えばエアーブローによって金属や樹脂を削った際に発生する削りカスを吹き飛ばすことが可能です。また、医療分野では歯科医師が圧縮機を使用しています。みなさまも、歯科医院で口内にシュッシュッとエアを吹きかけられ、清掃された経験があると思います。そのような場面で、我々の圧縮機によるエアを使用している歯科医師が数多くいらっしゃいます。

みなさまの日常生活の中には、スライドに記載のとおり、塗装されている品物があふれていますが、きれいに塗られている塗装はもちろん、錆びないようにするための塗装などにも、我々が扱うような機器類が必ずと言ってよいくらい使われています。

目次

武田:本日は「数字で見るアネスト岩田」の事業構成をテーマに、「塗り」とはどのようなものなのか、また、空気の力で産業を支えていること、当社の成長の軌跡、グローバルでのお客さま対応、豊かな社会の実現への貢献についてご紹介したいと思います。

数字で見るアネスト岩田

武田:まずは事業内容です。圧縮機と真空機器は、大きくまとめてエアエナジー事業と呼んでいます。塗装機器と塗装設備は、コーティング事業と位置づけており、これらの製造と販売を行っています。

2022年度の業績は、連結売上高が485億円、営業利益率が12パーセントとなりました。

1926年に創業していますので、ちょうど2年後に100周年を迎えます。比較的古くから、コツコツとものづくりに取り組んできた企業です。

社是は「誠心(まことのこころ)」です。すなわち、真面目にコツコツと誠意を持って、お客さまに製品をご提供するという歩みを、100年近く続けてきました。

従業員数は、2022年度末の段階では1,799名でしたが、現在はそれよりも少し増えている状況です。ポイントは日本で働く従業員の割合が35パーセントで、残りの65パーセントが海外ということです。日本で産声を上げてから、100年近くものづくりに携わっていますが、現在は日本だけではなく世界各国でご愛顧いただいています。

グローバル展開は21ヶ国を拠点とし、各地域に34社の子会社と関係会社があります。外国人従業員数が多いことに加え、このようなところからも世界各国のお客さまに製品をお届けしていることがおわかりいただけると思います。

売上比率は、従業員数に比例しているわけではありませんが、海外が64パーセント、日本国内での販売が36パーセントです。また、欧州が15パーセント、米州が12パーセント、中国が21パーセント、その他が16パーセントです。最近では東南アジア、特にインドでの販売が拡大傾向にあります。

ご説明したとおり、売上比率は海外のほうが多いのですが、その中でも米州、欧州、中国をはじめとするアジア圏など、比較的いろいろなエリアに分散して販売するかたちでグローバル展開を進めています。

飯村美樹氏(以下、飯村):まもなく創立から100年を迎えますが、創業のきっかけについて教えていただけますか?

武田:社名に「岩田」という名前がついていますが、岩田初太郎と岩田助蔵という兄弟が旋盤工から始めた企業です。

創業した1926年当時、スプレーガンはアメリカからの輸入品しかありませんでした。しかし、アメリカからの輸入品は非常に高価であり、アメリカ人の大きな手に合ったスプレーガンだったため、日本人には非常に使いづらいものでした。

そこで、旋盤工として機械加工をしていた創業者のところに、日本人にも使いやすく、手頃な価格で作れないかと相談が持ち込まれ、見よう見まねで作ったことが、そもそもの始まりです。

また、スプレーガンの使用には圧縮空気が欠かせないため、「コンプレッサーも一緒に作ろう」となり、スプレーガンを作った1926年の翌年には、コンプレッサーの製造・販売も開始しました。

事業の構成

武田:そのような歴史の中で、先ほどご紹介した2つの大きな事業となりました。頼まれて作り始めたスプレーガンが、スライド右側のコーティング事業となり、液体を霧にする技術を大事にしながら技術革新を進めてきました。

また、スプレーガンを使う時に必要な圧縮空気を作り出したことがエアエナジー事業となりました。こちらは気体を圧縮する技術を軸に、さまざまな製品開発を行っています。

2022年度の売上高は485億円ですが、そのうち圧縮機の売上高は269億円、塗装機器は165億円となっており、現在の売上ボリュームは56対34で圧縮機のほうが多くなっています。

ただし、1台あたりの単価が圧縮機のほうが高いため、このような売上比率になっているという背景もあります。

日本市場シェアは、小形圧縮機の部類で言うとおそらく2位だと思います。小形オイルフリー真空ポンプは、台数ベースだと40パーセント以上のお客さまにお使いいただいています。

世界市場シェアは、名だたる大手圧縮機メーカーが存在しているため現時点では1パーセント程度です。そのあたりは今後の課題であり、これからしっかりと攻めていきたいと考えています。

コーティング事業では、創業時から作っているハンドスプレーガンの日本市場シェアが75パーセント以上、世界市場シェアが2位となっています。エアーブラシという製品があり、プラモデルの塗装や、最近では顔にファンデーションを塗るメイクにも使用されています。このような液体を霧にする小さな機器も製造・販売しており、こちらは全世界で約30パーセントのシェアです。

増井麻里子氏(以下、増井):御社の製品は、個人の方も使われているのですね。

武田:おっしゃるとおりです。もちろん企業で使われる製品が大半ですが、中には個人のコンシューマーに使われている製品もあり、その一例がエアーブラシです。

1-1. なぜ「塗装」をするのか

武田:「塗り」で社会を彩る、塗装機器についてお話しします。そもそもなぜ、塗装するのかと言うと、赤色や黄色など、色彩を与えることで非常に華やかになるため、「美観を向上させる」ことが一番の目的です。そしてもう1つが、「表面を保護する」ことです。素材を傷めないように保護膜をつける役割があります。

さらには「機能性を付与」として、錆びにくくしたり、長年使う中で長持ちさせたりすることができます。このような塗装を施した身近な例は、ノートパソコン、テレビ、スマートフォンなどの家電ですが、自動車の外装や新幹線も塗装しています。新幹線の塗装には、我々の塗装機器や塗装設備も使われています。

楽器の塗装も行っており、ピアノについては何層も塗り重ね、きれいなブラックに仕上げていきます。

1-2. 「塗装」用機器の意外な一面〜ポイントは霧化~

武田:液体を霧にする技術を塗装以外に活用している例として、最近では食液を塗布する工程にも当社のスプレーガンをご使用いただいています。

わかりやすいのは、おせんべいです。従来は刷毛で醤油を塗り、焼き上げていましたが、ここ数年では刷毛が抜け、食べ物に付着することなどから衛生面で問題視され、霧を使った非接触での塗布が注目されるようになりました。

さらに、パン工場の自動ラインの中で、パンを焼くための容器に油を塗る工程があり、こちらにも従来は刷毛やヘラが使われていましたが、当社のスプレーガンが採用されたケースもあります。

増井:油分が入っていても大丈夫なのですね。

武田:塗料自体がもともと油ですので、問題ありません。塗装は、環境に悪影響を与えているといったイメージを持たれている方も多くいらっしゃると思いますが、環境対応型の塗料もどんどん登場しています。現在は、これまで有機溶剤であるシンナーを使っていた塗料から、水をベースとした塗料へ移行し、それに適したスプレーガンの開発などを行っています。

1-3. 当社の塗装機器製品・塗装設備製品のご紹介

武田:塗装設備の例を1つご紹介します。スプレーガンを使って、自動車などの大きなバンパーを塗装したり、新幹線の外装を塗装したりすることもあります。その場合は、ロボットにスプレーガンを持たせて塗装するような装置全体を当社で設計し、お客さまに納入することもあります。

それが、スライドに記載している「④塗装の総合コンサルテーション企業へ」です。塗装機器メーカーとして、塗装機器をどのように上手に使ったらよいのかを考えながらご提案する事業も行っています。

増井:御社の塗装機器は世界トップクラスということですが、将来的に新興国のメーカーにキャッチアップされる可能性はありますか?

武田:「ない」とは言い切れませんが、100年近く培ってきた我々の生産技術や霧の性能は、簡単に真似できるものではないと考えています。

一方で、先ほどご紹介した塗装設備は、簡単に作れるものから非常に複雑なものまで幅があります。その中で簡単に作れる領域については、各国でいろいろなメーカーが台頭してきているように感じます。

2-1. 圧縮空気のさまざまな使い道

武田:空気の力で産業を支える、圧縮機事業についてお話しします。自転車に空気を入れる時に手でポンプを押しますが、この時に作られるのが圧縮空気です。モーターによって自動で圧縮空気を作るのが空気圧縮機です。

歯科医院が使っているケースはもちろん、バス停に着くと車体を傾けて乗り降りしやすくするノンステップバスも、圧縮空気の力で車体を上下させています。他には、電車やバスの扉にも圧縮空気を使って開閉させる機構があるなど、さまざまなところに使われており、そのような場所に当社の圧縮機が採用されているケースがあります。

2-2. 当社の圧縮機製品のご紹介

武田:当社の強みです。特に圧縮機ではオイルフリーという言い方をしていますが、油を使わない圧縮機をしっかり作り込んでいくために、技術革新を重ねてきました。

例えば歯医医院で口内にエアを吹きかける時には、圧縮の工程に油を使わない非常にクリーンな圧縮空気を使います。食品工場や塗装においても、油が塗料と混じるときれいに塗ることができないため、オイルフリーの圧縮機を使っていただくことが多いです。

2-3. いろいろなところで活躍する真空の力/当社の真空機器製品のご紹介

武田:オイルフリー真空ポンプについてご説明します。オイルフリー真空ポンプは、オイルフリースクロール圧縮機の開発技術を応用し、当社で開発しました。

一番わかりやすいのは、食品の真空包装です。真空ポンプで空気を吸引し、真空パックにしています。最近では、宇宙開発等でもお話をいただき、そのような分野でも当社の真空ポンプが活躍するケースがあると思っています。

増井:オイルフリースクロール型の真空ポンプは、初めて御社が作られたということですが、特許権などをお持ちですか?

武田:おっしゃるとおりです。さまざまな機構を含め、特許を保有しています。現在も特許を継続するような技術を持っています。

3-1. 成長の歴史

武田:ここからは、当社がどのような歴史をたどってきたのかをご紹介します。当社は1926年に創業し、産声を上げました。そして、2年後に創業から100年を迎えます。

売上高推移のグラフをご覧いただければおわかりのとおり、山あり谷ありを経てきました。特に1973年のオイルショック、1991年のバブル崩壊、最近では新型コロナウイルス感染症の流行などがあり、一時マイナス成長となりましたが、この98年間でしっかりと成長軌道を歩んできたことがご確認いただけると思います。

増井:海外進出を進められていますが、最初はどのように販売拠点を作ったのでしょうか?

武田:スライドのグラフには、「塗装機器の海外進出を本格化(1987年)」と記載しています。どの国でも塗装は行っていますので、まずはスプレーガンがお客さまに受け入れられるように海外への輸出を始めました。この時に、海外の輸出先には必ず強力なパートナーを見つけ、一国一代理店制ではありませんが、独占販売権を与えながら、しっかりとその国に当社製品を根づかせていきました。

このような時代を経てから自前で海外に進出し、今は世界主要国に当社の子会社を配置するなど、しっかりとユーザー対応を行っている状況です。

増井:生産拠点もお持ちですよね。

武田:おっしゃるとおり、海外に生産拠点があります。中国ではスプレーガンとコンプレッサーの製造を行っています。また、台湾とイタリアにスプレーガンの工場があり、数ヶ所で製品を作って、全世界にお届けする生産体制となっています。

3-2. 主な業績指標の推移

武田:主な業績指標の推移についてお話しします。スライドは5年間の業績を示したものです。営業利益、経常利益、当期純利益はそれぞれ増益で、直近の5年間でも成長を遂げていると思います。

また、スライドの右下をご覧ください。1株当り当期純利益(EPS)やROEなども経営指標として確認しながら、企業活動を着実に進めています。特にROEは、常に10パーセント以上を目指している状況です。

4-1. 中期経営計画の基本戦略

武田:ここからは、真のグローバルワン・エクセレントメーカーになるための成長戦略を、海外の状況も含めてご紹介したいと思います。

我々は現在、2022年度から2024年度までの3ヶ年の中期経営計画を進めています。その大きな道しるべとして「500&Beyond」を掲げていますが、2022年度までは売上高500億円になかなか到達できませんでした。2023年度は、現状529億円以上の目標ということで、500億円超えが見えてきました。

ただし、「Beyond」と掲げているように、500億円が到達点ではなく、さらにその先を見据えています。2030年以降のありたい姿として、売上高1,000億円以上を目指し、しっかり事業を推進していこうと思います。

事業戦略としては、海外はまだ成長できる市場だと思っているため、ここでしっかりとボリュームを稼いでいきます。国内においては、高付加価値の製品をお届けし、収益性を確保していくことが大きな事業戦略となります。

そのためには、もちろん投資も必要です。生産性を高めることはもちろん、ERPを含めたDX化により効率を上げていきます。また今は大きく2つの事業がありますが、この事業をさらに発展させるため、M&Aを含めた成長も選択肢の1つに入れています。

また、株主還元については、株主のみなさまに積極的に実施していきたいと思います。こちらに関しては、後ほど詳しくご紹介します。

4-2. 成長戦略~コーティング事業~

武田:グローバルで見たときの当社の事業規模についてご説明します。まずは、コーティング事業です。大きく欧州、アジア、日本、北米、その他の5つのエリアに分けた状況を、スライドに表しています。

日本は現在、すでに多くのシェアを獲得しているため、これからの成長戦略では特に北米、アジア、欧州をターゲティングして、大きく伸ばしていきたいと思っています。

国内は成熟市場のため、こちらには高付加価値製品をしっかりお届けしていきます。当社の製品にご満足いただいている現状を過信せず、さらにお客さまのためとなるものをご提供していきたいと思います。

増井:世界市場において、スプレーガンの競合はそこまでたくさんいないと思いますが、地域面や価格レンジ面で、住み分けのようなものはあるのでしょうか?

武田:当社は高級レンジを主力にスプレーガンの製造、販売を行っていますが、世界には我々を含めて3つの主要メーカーがあります。1つはドイツ、もう1つはアメリカのメーカーです。

それぞれ地域特性があり、ドイツのメーカーはドイツで、アメリカのメーカーは北米で比較的高いシェアを持っています。我々が日本で高いシェアを獲得している理由は、地域特性の他に、創業のきっかけに関するご説明の中でお話しした、日本人の手にあうスプレーガンにあると思っています。

このような特性がある中で、全世界において当社のスプレーガンをご採用いただけるように、さまざまなエリアの特性に合った製品を作ってご提供しています。

増井:アジアに限定すると、この3つのメーカーの中では御社が強いのですか?

武田:おっしゃるとおりです。日本人に近い作業性などを求められる方が多いため、アジアでは当社のスプレーガンを比較的ご採用いただいていると思います。

4-3. 成長戦略~エアエナジー事業~

武田:エアエナジー事業の圧縮機についてです。圧縮機は、冒頭で「1パーセント程度の世界シェア」だとお話ししましたが、こちらの分野には巨大メーカーが多く存在する中でのシェアですので、攻略すべきエリアがまだ残っていると思います。

海外市場は、価格競争が国内よりも比較的緩やかですので、海外でのシェア上昇に向けてしっかり販売していきたいと思います。一方で、国内市場は成熟市場のため、塗装機器と同様に高付加価値製品を届けていきたいと考えています。

飯村:圧縮機は、世界で見るとどの国のメーカーが強いのでしょうか?

武田:スウェーデンにアトラスコプコというメーカーがあり、ここが世界で一番大きいです。小さなタイプから大きなタイプまで作っています。

4-4. 成長戦略~環境対応製品~

武田:環境対応製品についてです。コーティング事業においても、エアエナジー事業においても、環境対策をしっかりと考えていかなければならないと思っています。

コーティング事業では、環境対応型塗料に適したスプレーガンへのモデルチェンジ、エアエナジー事業では、オイルフリー式の推進、つまりオイルを使わないクリーンな圧縮機を作っていくなど、このような取り組みをしっかりとお見せしながら、製品開発や成長戦略を描いていきたいと考えています。

4-5.中長期「ビジョン2030」そしてその先へ(技術・製品の進化)

武田:「2030年以降に売上高1,000億円以上を目指す」とお話ししましたが、そのために「製品領域の拡大」はもちろん、「事業領域の拡大」を進めていきます。先ほど、スプレーガンは塗装に使用するとお伝えしましたが、それを食品製造やさらに異なる領域にも活用できるように進めていきます。

また、「イノベーション実現による環境重視・社会貢献」につながるような製品開発と提供も必要だと考えています。また、この2つの事業以外にも、しっかりと当社の軸になる新規事業を育てていかなければならないと思っています。

4-6.新市場開発・新規事業開拓:将来のコア事業へ

武田:新市場開発、新規事業開拓が非常に重要だと考えています。繰り返しとなり恐縮ですが、100年近くかけて2つの柱はしっかりと成長させることができましたので、そこにもう1つ、2つ加えることができなければ、売上高1,000億円以上の企業成長は達成できないと思っています。

1つは、これまでに培ってきたコア技術やノウハウをしっかりと活用しながら、親和性のあるもので事業領域の拡大を行います。

もう1つは、今までとは異なる新しい領域への進出です。従来のビジネスの延長線ではなく、全く違う領域への進出も視野に入れながら、次世代の新規事業をしっかりと作り上げていく必要があると思っています。

4-7. 異業種への挑戦

武田:新領域の開拓として、昨年からモータースポーツに参戦しています。これは、「自動車レースに出て売上を上げる」ことを狙っているのではありません。モータースポーツの世界は、自動車業界の中で最先端の実験、研究をしている現場でもあり、さまざまな企業の方々が、新しいテクノロジーを持ち寄りながら参戦しています。

このような理由から自動車業界とつながり、さらに実車ではなくeスポーツのような展開も比較的あるため、デジタルの世界ともつながりを持ち、そこから新しい領域の開拓に役立つ情報を得ています。

モータースポーツへの参戦は2024年度が2年目となります。もちろんスポーツである限り、勝負事であり、1つでも高い結果を求めての参戦となりますが、その裏ではいろいろな方とのつながりを目指していることをご紹介したいと思います。

増井:スライド右側の図に「to Cの認知獲得」と記載があります。モータースポーツ参戦によって御社の業績にプラスになることはあるのでしょうか? 定性的な面でも結構ですので、教えてください。

武田:具体的に何かが大きく伸び始めるところまでは到達していません。しかし、今まで「BtoB」の領域で認知していただいていた当社の名前を、モータースポーツによって「to C」のお客さまに知っていただくことができました。

アネスト岩田という会社を見ていただけるようになったことは大きいと思います。このような方々が将来、何かの機会に圧縮機やスプレーガンが必要となった時、きっと最初に当社の名前を思い浮かべていただけると思います。

増井:「あの会社が」となりますね。

武田:ご覧いただいた理由には、もちろん製品の性能などもあると思いますが、まず購入の選択肢に入れていただけることが非常に重要だと思います。

増井:いろいろな意味で、「社員になりたい」という方もいらっしゃるかもしれないですよね。

武田:従業員向けにも、1つのエンゲージメントになっていると思います。

4-8. 株主還元策

武田:株主還元策です。配当方針について、昨年までは配当性向35パーセントを目安に進めてきましたが、2023年度の後半からは配当性向40パーセントを目安とし、株主のみなさまにしっかりとお応えしていきたいと思っています。

また、2023年度は、中間配当として年45円のうち22円を実施しました。期末配当は3月末の業績によりますが、今のところ23円と予想しています。

自社株買いは、購入予定額を15億円とすでに発表していましたが、こちらも着々と進んでいることを、この場でご報告したいと思います。

5-1. 人材

武田:豊かな社会の実現に貢献する、サスティナビリティについてです。まずは人材からご説明します。企業が成長するには、従業員含めた人材が非常に大切になると思っています。そのような中で、当社は健康経営を推進しており、偶然にも3月に発表がありましたので、この場でご報告しますが、2022年から3年連続で健康経営銘柄の選定を受けました。また、健康経営優良法人(ホワイト500)では、2021年から4年連続で認定を受けています。

従業員が健康でいれば、企業としてしっかりものづくりに取り組めるほか、お客さまのご期待にお応えできると実感しています。そのような意味でも、引き続き健康経営を推進していきます。

さらに福利厚生制度の充実を図り、ライフイベントの支援や、ライフワークバランスを考えた制度を、会社としては推進している状況です。

最近は従業員一人ひとりが多様化していますので、従業員のキャリアプランを考えながら人事評価制度も構築しています。こちらは時代によって変えていかなければならないものだと認識しており、終わりはないと思っています。

5-2. ブランディング

武田:スライドには「ブランディング」と記載しましたが、こちらは地域貢献です。先ほどのモータースポーツも含め、地域の方々とつながりを持つのは企業として非常に重要なことだと思っています。

例えばサッカーで言うと、我々と同じ横浜市港北区に拠点を置いている横浜F・マリノスとオフィシャル・パートナー契約を締結しました。応援して一緒に横浜市港北区を盛り上げていきます。

また、関東地方の有料道路「箱根ターンパイク」の命名権を取得しました。神奈川県横浜市に本社を置く当社としては、地域につながりを持てるのではないかと思い、「アネスト岩田ターンパイク箱根」という名前にしました。

さらに、カーレースに参戦することによって、ゲーム「グランツーリスモ」とタッグを組み、デジタルとリアル両方の世界で社名の認知度を上げていく等のブランディングを進めていく計画です。

5-3. ガバナンス体制の強化

武田:話ががらりと変わって恐縮ですが、ガバナンス体制の強化に付いてお話します。現在、取締役10名うち6名が社外の方となっており、社外取締役比率は60パーセントです。6名のうち2名が女性であり、しっかりとガバナンスが効いていると考えています。また、非業務執行取締役比率は60パーセントです。

大きなポイントとしては、社外取締役が主体となる指名・報酬委員会を設置しており、こちらの委員長は社外の方が務めています。メンバー6名のうち、業務執行に関わる取締役は代表取締役1名のみとなりますので、指名・報酬委員会がきちんと機能しているのか、選任された人間がしっかりと取り組んでいるのかを取締役会がしっかりと見ている、といったガバナンス体制です。

5-4. SDGsに関する取り組み

武田:SDGsに関しては、しっかりと取り組んでいかなければなりません。製品開発会議の度に、どの目標達成に貢献できるのか、製品一つひとつを紐付け、SDGsを意識した製品開発を進めています。

5-5. 企業価値向上に向けて

武田:企業価値向上に向けて、ESG経営に取り組んでいます。社会的価値の双方をバランスよく高め、持続的な成長を実現していきたいと思います。事業が成長していなければ、社会課題の解決に貢献できませんので、事業で結果を出し、その結果に基づいて社会貢献を行い、ESG経営を推進していきます。

2024年3月期 3Q決算ハイライト

武田:最後になりますが、補足として第3四半期決算についてご報告します。2024年3月期自体は今月末が年度末となります。

12月末の時点での第3四半期の結果として、売上高は389億7,000万円、営業利益は44億9,400万円です。2024年3月期業績予想の達成に向けてしっかりと事業を運営しています。残り1週間となりますが、予想値である売上高529億円、営業利益61億円、経常利益77億円、当期純利益46億円の達成に向けて、しっかりと事業活動を進めていくとこの場でご報告します。

質疑応答:半導体関係製品の取引有無について

増井:「半導体関係製品の取引はあるのでしょうか?」というご質問です。

武田:半導体自体は、直接の取引がありません。

ただし、半導体を作る工程の中で検査する装置などに、当社の真空ポンプが使われているケースはあります。

増井:製造装置でしょうか?

武田:検査装置ですね。そちらに当社の機器を使っているケースはありますが、直接の取引はありません。

質疑応答:大手自動車メーカーの生産停止による影響の有無について

増井:「大手自動車メーカーの生産停止の影響はありますか?」というご質問です。

武田:いろいろと新聞紙上等でニュースになっていますが、現時点で直接的な影響は、正直ないと思います。

ただし、自動車メーカーから直接というよりも、その自動車メーカーと仕事をしているTier1やTier2、Tier3の一部メーカーとは大きなお取引がありますので、そのようなところに影響が出てくると必然的に当社への影響もあると思います。現時点では影響はありませんし、自動車メーカーも変わってきていますので、今後も大きな影響はないと思っています。

質疑応答:輸送用機器および食品工場への卸売有無について

飯村:「輸送用機器や食品工場などへ製品を販売されていますか?」というご質問です。

武田:直接的なお取引もあれば、どこかを経由してというかたちもありますが、食品工場さまにも当社の装置を使っていただいています。

飯村:思っていた以上に私たちの身近なところで使われていましたね。

武田:そうですね。

質疑応答:ベンチャー企業や研究機関との連携について

増井:新規事業に関して、「伝統的製造業が単独で、革新的なことを起こすのは難しいと思います。ベンチャー企業や研究機関との連携を活用することは考えていますか?」というご質問です。

武田:もちろん、自社で新規事業を作り出すのは非常に難しいと思っています。実際に90年以上もの間、何度もいろいろな新規事業を考え、作り上げ、進めてきたものの、挫折することもあり、厳しさを経験してきました。そのような中で産学を含め、協力し合いながら新しいものを開発する挑戦をすすめています。

どの段階でお話しできるかはまだお約束できませんが、見守っていただけると幸いです。ぜひ楽しみにしていてください。

質疑応答:ベンチャー企業や研究機関との連携について

飯村:「海外への進出数は、21ヶ国からどの程度まで増やす想定でしょうか? 全世界をカバーすることが最終目標でしょうか?」というご質問です。

武田:現時点で日本、欧州、米州、中国、インドを含めて、主だったところには拠点を持てたと思っています。そのため、拠点数を増やすというよりも、その出先のパイを広げていくことに重きを置いて、全世界のお客さまに製品をお届けできるような体制を作り、結果にも結びつけていきたいと思っています。

質疑応答:100周年記念配当および記念品贈呈について

増井:株主還元に関して、「100周年記念配当および記念品の贈呈はあるのでしょうか?」というご質問です。

武田:実現できるかどうかはまだお伝えできませんが、現時点でいろいろと考えています。

増井:100周年まで、まだ時間がありますからね。

武田:そうですね。この2年間は、どのようなかたちで100周年に関するイベントを行えば、ステークホルダーを含め、みなさまに一番お喜びいただけるかを踏まえながら、一生懸命考えていきます。いろいろなアイデアはあるのですが、具体的にはまだ決まっていません。ぜひ、またご報告する機会があればと思っています。

質疑応答:新たな株主優待案について

飯村:「優待として、抽選で海外工場の見学ツアーに招待する構想はないのでしょうか?」というご質問です。

武田:おもしろいアイデアですね。検討項目の1つとして、参考にしたいと思います。

質疑応答:業績の季節性について

増井:御社の業績に季節性はありますか?

武田:月ごとの業績は、良い時もあれば悪い時もありますが、年度末に関しては、お客さまの予算の関係や、各社が計画を終わらせなければならないという事情があります。そのため、3月は業績が良くないといけない時期に当たります。

スライド右側の進捗率をご覧いただくとおわかりのとおり、第3四半期で73.7パーセントですので、3月末にしっかりと結果を出さなければ、業績予想には届かないということです。季節変動とまでは言えませんが、3月は比較的忙しい時期だと思います。

質疑応答:今後のアピール計画について

飯村:「シェアホルダーとして今後の成長に期待していますが、株価がまだ激安レベルです。今回のオンライン会社説明会以外に何かアピール計画を考えていますか?」というご質問です。

武田:もちろん本説明会のように他にもアピールをしていきたいと思います。投資をしっかり行ったり、新しい製品を作ったりと、社是である「誠心(まことのこころ)」という言葉を胸に、本業にコツコツと取り組んでいくことが重要だと思います。

このような取り組みが業績に反映できれば、しっかりとご報告します。それを繰り返すことが、一番重要なのではないかと思っています。

武田氏からのご挨拶

武田:冒頭でご紹介したように90年以上にわたり、真面目にコツコツと取り組んで、漸く500億円を超える業績予想を発表できる状況になりました。2030年度以降には、売上高1,000億円以上を目指していきますので、今後もコツコツと事業を成長させていきます。ぜひ、当社を見守っていただければ幸いです。今後ともよろしくお願いします。

当日に寄せられたその他の質問と回答

当日に寄せられた質問について、時間の関係で取り上げることができなかったものを、後日企業に回答いただきましたのでご紹介します。

<質問1>

質問:海外売上比率では中国の割合が高くなっていますが、政治的・地政学リスクから、今後の事業展開に懸念はありませんか?

回答:もちろんリスクは把握しています。そのため、重要な市場の1つではありますが、リスクが顕在化した場合に備えて、製品の製造や販売における中国への極端な依存を避けて事業活動を行っています。

<質問2>

質問:PBRは1倍以上はありますが、最低でも2倍は目指していただきたいと思っています。会社としてのPBRに対する見解を聞かせてください。

回答:現状に満足することなく、当社グループの成長性に期待を持っていただき株価を上げていくこと、および自己株買いなどによる純資産の圧縮などを通じて、PBRのさらなる向上を図ります。

<質問3>

質問:オイルフリー以外に新たに考えている技術構想はありますか?

回答:圧縮技術では、さらなる高圧化や空気・窒素以外の気体を圧縮する構想があります。

<質問4>

質問:オープンワークを見ましたが、中途社員の早期退職が目立つようです。外部の意見を受け入れない、内向きな社風を感じましたが、そこを改善する活動はしていますか?

回答:キャリア入社社員比率は年々高まっており、新たな風を吹き込んでもらえるように経営陣との直接のコミュニケーション機会を設けています。そのほか、キャリア入社社員が孤立しないようOJTのフォローや定着面談を実施しており、こういった社員が定着し活躍できる土壌を醸成することで、内向きな社風はより一層改善できるものと考えています。

<質問5>

質問:御社の需要先の業種は輸送機器、食品工業などでしょうか?

回答:主な需要先として、圧縮機は食品工業などを含めたすべての産業で工場の主力設備として大小を問わず使用されています。塗装機器はその中で塗装や液体の塗布工程を持つ企業のみが対象となります。

<質問6>

質問:有価証券報告書から、事実ベースで平均年収が低めだと思います。優秀な人材の定着を進めるなら、年収の向上が必要と思いますが、対策は打っていますか?

回答:2021年度から新しい人事制度を導入し、優秀な人材の獲得および定着を目的として、役割と成果に応じた柔軟な報酬を提示できるようにしています。年功序列的な考えではなく、能力のある人材が昇給を含めたキャリアアップを早期にできる仕組みを整えるとともに、若手中堅社員を中心とした育成に注力しています。

<質問7>

質問:海外でのM&Aは今後どのように行っていくのでしょうか? コンプレッサのシェア拡大を目指しているのでしょうか?

回答:海外は製造や販売、サービス領域を対象に検討をしています。もちろん金額ベースでのシェア拡大を目指しています。

<質問8>

質問:現在eスポーツのスポンサーになっている上場会社があります。そちらの方面へも展開を考えていますか?

回答:将来的には検討の対象となる可能性はありますが、現段階では具体的な検討を行っていません。

<質問9>

質問:スプレーガンはeスポーツに応用できそうですね。ゲーム機器にも用いられるガン銃でしょうか?

回答:当社のスプレーガンは銃ではなく、あくまでも液体を霧にして吹きかけるイメージですので、現段階では応用対象にならないと思われます。コーティングをイメージしたゲーム開発などに応じて変化していくものと思われます。

<質問10>

質問:中国における売上の変動リスクはどのように見ていますか?

回答:現在、中国セグメントの売上は全体の約20パーセント前後ですが、今期において中国の販売減少は明確です。しかしながら、他のエリアの健闘により全エリア合計では前年実績を上回る傾向にあります。今後もエリアごとの売上のバランスに注意して事業活動を継続いたします。

配信元: ログミーファイナンス

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