11日の米国市場では本日開催の米朝首脳会談や連邦公開市場委員会(FOMC)の結果を見極めたいとの思惑が強く、NYダウは5ドル高にとどまった。ただ、為替市場では米朝会談実現への期待が広がり、リスク選好的なドル買い・円売り優勢で円相場が1ドル=110円台前半まで下落。本日の日経平均はこうした流れを受けて173円高からスタートすると、朝方には一時、取引時間中としては5月22日以来となる23000円台を回復した。ただ、短期的な達成感などから利益確定の売りも出て、日経平均はマイナスに転じる場面も度々あった。
個別では、ファーストリテ<9983>、ソフトバンクG<9984>、JT<2914>、ファナック<6954>などがしっかり。日本電産<6594>や武田薬<4502>、JR東<9020>は2%超の上昇。また、LITALICO<6187>などとともにLINE<3938>が東証1部上昇率上位に顔を出した。一方、任天堂<7974>、トヨタ自<7203>、ソニー<6758>などがさえない。SUMCO<3436>など半導体関連株の下げが目立ち、今後の見通しについて若干弱めとの判断を示したローム<6963>は5%安となった。セクターでは、陸運業、石油・石炭製品、食料品などが上昇率上位。半面、その他製品、機械、パルプ・紙などが下落率上位となった。内需・ディフェンシブセクターに資金が向かったようだ。
前日のランチタイムから円売り・日経平均先物買いの動きが強まっていたため、日経平均の23000円台回復を受けて短期筋が目先の利益を確定する展開となっているもよう。一方で今回の米朝会談による緊張緩和や、堅調な米経済情勢を背景とした米連邦準備理事会(FRB)による利上げと円安進行で一段の株高に期待する向きも多く、下値の支えになっているとみられる。
しかし、こうした期待は前日からの株価上昇である程度織り込み済みと考えられる。北朝鮮の非核化に向けた具体的な行程が明らかになるなど、市場の期待以上の成果が示されるかに注目しておきたい。トランプ米大統領の記者会見は日本時間の本日17時から行われる。日経平均が23000円台を明確に上抜けるためには、更なる株価材料と取引ボリュームの増加が必要だろう。
(小林大純)
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