2. ZETAの2024年5月期第2四半期の業績動向
CX改善サービスの主軸となるZETAの2024年5月期第2四半期の業績は、売上高535百万円(前年同期比32.1%増)、営業利益107百万円(同3.3倍)、経常利益108百万円(同3.8倍)、当期純利益79百万円(同4.2倍)の大幅な増収増益となり連結の好業績をけん引した。期初計画との比較でも売上高で45百万円、営業利益で68百万円の超過達成になるなど非常に好調だった。
新製品・サービスの状況については、クッキー規制下の集客に有効な「ZETA HASHTAG」は、資生堂ジャパン(株)が運営する美容サイト「ワタシプラス by Shiseido」など様々なサイトに導入されるなど好評だった。このため、「ASPICクラウドアワード2023」の「データ活用系ASP・SaaS部門」において奨励賞を受賞、また、2件目の特許として、商品情報や商品レビューからハッシュタグを生成することに関する広範な特許を取得するなど、技術的に高い評価を得ることができた。リテールメディア広告エンジンの「ZETA AD」は、リリースして8年が経つが、足元で自社ECサイトをリテールメディアとして活用するEC事業者が増えており、ようやく時代が追いついてきたという印象だ。その点で、ブルーオーシャンな市場と言えよう。「ZETA AD」の導入効果は明白で、(株)丸井が運営する「マルイウェブチャンネル」では、導入済みの「ZETA SEARCH」や「ZETA RECOMMEND」と連携して相乗効果を発揮し、検索条件と連動した最適な広告掲載を実現するなど、ユーザーへの訴求がより効果的になったようである。また、「SHOPLIST.com by CROOZ」では、CTR※1とROAS※2が140%改善、クリック後の購入率は150%~160%増、広告経由の流通額は20倍以上となったようだ。
※1 CTR(Click Through Rate):ユーザーに表示された広告のうちクリックされた回数の割合。
※2 ROAS(Return On Advertising Spend):広告の費用対効果。広告費に対して得られた売上を示す。
このように、「ZETA CXシリーズ」は、主軸の「ZETA SEARCH」をはじめ既存製品が着実に増加しているところに、クッキー規制を背景に「ZETA HASHTAG」が第2の柱として急成長を開始した。加えて、リテールメディアへの対応を進める企業が増えてきたことで「ZETA AD」も勢いよく立ち上がってきた。この結果、第4四半期の収益偏重を是正する思惑もあったが売上高が想定を超えて積み上がり、また積み上がった売上高がストック型の収益構造であったことから営業利益率が大きく改善し、営業利益は前年同期比で3倍を超える大幅な増加となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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