今週の新興市場は続落。日本銀行の新総裁に、経済学者の植田和男氏が就任する見通しとの報道を受け、週明けは金融緩和の修正と国内金利上昇への思惑が強まる中、新興株も下落スタート。その後は、米1月NY連銀消費者調査の結果で、家計収入の伸び率予想が前月から大幅に低下した一方、米1月消費者物価指数(CPI)が強い結果となるなど、強弱材料が混在する中、新興株は一進一退が続いた。しかし、米1月卸売物価指数(PPI)が予想を上回ったほか、米連銀総裁のタカ派発言を受けて利上げ幅が再び0.5ptまで拡大されるリスクが意識される中、週末はリスク回避の売りが広がった。なお、週間騰落率は日経平均が-0.57%だったのに対して、マザーズ指数は-1.89%、東証グロース市場指数は-1.55%だった。
時価総額上位銘柄では週間でライフネット生命<7157>が-10.8%、ウェルスナビ<7342>が-6.6%、ビジョナル<4194>が-6.5%、FPパートナー<7388>が-6.1%、アイドマHD<7373>が-5.6%などと全般軟調。一方、そーせいG<4565>は+5.1%、今期見通しが好感されたBuySell Technologies<7685>は+8.4%、中期経営計画が評価されたI-ne<4933>は+25.3%と急伸した。週間騰落率ランキングでは、第1四半期好決算やリリースが材料視されたマイクロアド<9553>が人気化し、+77.5%と急騰した。
■個人投資家の物色意欲は旺盛、IPO1社
来週の新興市場は強含みか。米雇用統計や米CPI、米PPI、これら指標結果を受けた最近の米連銀総裁のタカ派発言を受けて、インフレと利上げの長期化懸念が高まっている。ただ、マザーズ指数は25日移動平均線を挟んだ一進一退を続けており、上向きの75日線がしっかりサポートする展開となっている。
今週末はクリーブランド連銀のメスター総裁やセントルイス連銀のブラード総裁らの発言を受けて、利上げ幅が再び0.5ptに拡大されるのではないかとの懸念が高まったが、両総裁は本年は米連邦公開市場委員会(FOMC)での投票権を持たない。一方で、投票率を持つフィラデルフィア連銀のハーカー総裁などは利上げの終了が近づいていることを示唆しており、利上げ幅が再び引き上げられる確率は高くないと推察される。今週末の米株式市場も底堅く推移しており、週明けの新興市場では押し目買いが入りやすいだろう。
週末には次期日銀総裁候補の植田氏の国会での所信聴取や米連邦準備制度理事会(FRB)が重要視する米1月個人消費支出(PCE)コアデフレータの発表が控えるため、次第に様子見ムードが広がりそうだ。ただ、東証グロース市場の売買代金は今週末にかけて2000億円前後の推移が続いており、個人投資家の物色意欲は旺盛な様子。決算発表が一巡し、手掛かり材料難でもあるため、値動きの軽い新興株を物色する機運は高まりやすいだろう。
個別では、好決算ながらも出尽くし感から売られている銘柄や株価反応が控え目になっているところで、フーディソン<7114>、プラスアルファ・コンサルティング<4071>、サンクゼール<2937>などに注目したい。なお、来週は22日にプライム・ストラテジー<5250>が東証スタンダード市場に新規上場する。ほか、3月の新規株式公開(IPO)のスケジュールが徐々に発表されており、現在、SHINKO<7120>、ハルメクHD<7119>、カバー<5253>など5社のIPOが発表済みだ。
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