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ロックオン Research Memo(3):マーケティング効果測定のクラウド市場で国内シェアNo.1

配信元:フィスコ
投稿:2018/06/27 15:03
■事業概要

1. マーケティングPF事業
(1) 事業特性、商品特性
株式会社ロックオン<3690>はマーケティングPF事業として、顧客のマーケティング活動を支援する様々な商品・サービスをクラウドベースで提供している。例示すれば、マスメディアや広告に対する反応(上流)から、リスティング広告のクリック履歴(中流)を経て、自社サイトでの申し込み(下流)に至るまで一気通貫で顧客行動やマーケティング施策の効果を把握できる。別の言い方をすれば、消費者に関して、1)最初にどんな広告を見て、2)どの広告をクリックして、3)どのランディングページを通じて、4)どうページを遷移して、5)どんな買物をして、6)結局どんな特徴の人々だったのか、という6つの情報を把握することができる。デジタルマーケティングの世界では、「潜在顧客向け」「育成型」マーケティングの重要性が増しており、同社の提供する商品・ツール群へのニーズは高まる傾向にある。

同社の商品ラインの中で中核となるのが「アドエビス」である。このツールは、各広告(最大150万件)の成果を一元管理・可視化し費用対効果の良し悪しを簡単に把握することができる。料金体系は、利用ツール毎に異なり、使用量により段階的に料金が上がっていく。2018年9月期第2四半期 の平均単価は75,846円/月である。

同社のマーケティングPF事業の事業特性は、ライフタイムが長いストック型ビジネスである。顧客獲得のためのマーケティング及びセールス投資が先行するものの、回収後の長いライフタイムを通じて、安定収益を獲得していくモデルとなっている。1回契約すると平均では3年以上継続し、過去から一貫して顧客数が積み上がってきた。したがって、同社はマーケティングやセールスへの積極的な投資を先行させ、中長期的な収益拡大を目指す方針をとっている。マーケティング及びセールス部門費用の対売上高比は35%(2018年9月期第2四半期)に達しており、成長を優先する戦略である。

(2) 顧客・流通
顧客はデジタルマーケティングを行う企業・団体・広告代理店などである。広告費用が月50万円を超える頃から「アドエビス」を使い効果・効率を求めるニーズが高まる傾向にある。営業に関しては、約300社の代理店経由と自社による直接販売がある。ちなみに、公開可能な導入実績(「アドエビス」及びDMP活用)として、ライオン<4912>(トイレタリー)、(株)ECC(教育)、(株)やずや(通販)、アイフル<8515>(金融)、NTTデータ<9613>(通信)など多様な業種で活用されている。

(3) 市場・競合
インターネット広告市場は継続的に成長しており、同社には追い風となっている。スマートフォン広告の増加、動画広告の増加、SNS広告の増加、アドテクノロジーの進化を背景にした運用型広告の拡大などが主な要因である。出稿するメディアの多様化は一元管理のニーズを高めていると考えられ、この点でも一気通貫のプラットフォームを持つ同社にとっては追い風である。

広告効果測定に限定して市場及び競合状況整理をすると、3つのセグメント(ローエンド顧客、ミドルエンド顧客、ハイエンド顧客)に分けることができる。ローエンド顧客は、ネット広告出稿量が少なく、Googleアナリティクスなどの無料サービスでニーズが満たされている。ミドルエンド顧客は、同社の対象顧客であり、月額50万円以上のネット広告出稿を多様なメディアに行っており、一元管理や効果効率を求めている層である。ハイエンド顧客は、さらに大規模な広告出稿を行い、カスタマイズの自由度が高く専門性が高い。Adobe Analyticsがこのニーズに応える代表的なツールであり、同社の月額単価とは5倍以上の価格差がある。同社は、ミドルエンド市場に特化して展開しているため、競合サービスとは棲み分けがなされている。同社は、民間調査会社の発行する市場調査レポートの広告効果測定市場において、ベンダー別売上金額推移およびシェアで3年連続No.1を獲得した。

(4)重要な経営指標(KPI)
マーケティングPF事業の重要な経営指標(KPI)は、「アドエビス」のアクティブアカウント数と月額平均単価である。2018年3月末のアクティブな顧客数は1,479件であり、前年同期比で194件増加した。2018年9月期に入ってからも上期で121件増加するなど、成長ペースは加速している。顧客単価(平均月単価)においても、75,846円(前年同期比1,927円増)となっており、初月無料キャンペーンの影響で伸びは抑えられたが、アップセルの促進が奏功し上昇傾向である。

2. 商流PF事業(EC-CUBE部門)
EC-CUBEは同社がプロデュースするECサイト構築ツールである。世のツールの中で「高いカスタマイズ性」と「低コスト/簡単」を両立し、ECサイトの質を求めるユーザーから高い支持を得てきた。現在、国内シェアNo.1のオープンソースとしてWeb制作に欠かせないプラットフォームとなっている。

特筆すべきは、そのビジネスモデルで、次の特徴が挙げられる。
(1) 無料配布
(2) 開発は外部コミュニティが行う(一部は同社も担当)
(3) 営業はパートナー企業が行う
(4) 物流や決済などは外部のEC関連事業者が行う
(5) 同社はEC関連事業者からのマージンを収入とする
同社からは人材や設備などの大きな投資は行わずに、顧客を含めたプレーヤーすべてが満足するエコシステムを構築している。

EC市場全体としては、Amazonなどの大手事業者に取引が集中する傾向になり、中小EC事業者の自社サイトの取引は伸び悩む会社もある。同社としても、EC-CUBE部門の売上げは横ばいである。今後も大きな投資などはしないものの、デザイン性やセキュリティの強化策を着実に行っていく。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)

<MH>
配信元: フィスコ

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