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※2019年4月23日15時に執筆
世界は、廃プラスチック(廃プラ)問題の解決に動き出した。Alliance to End Plastic Wasteという廃プラ問題を解決するための国際的なアライアンスからなるNPOが今年1月に発足し、世界のグローバルな企業28社が参加を表明している。日本からは、化学業界から住友化学<4005>、三井化学<4183>、三菱ケミカルHD<4188>が手をあげた。
地球環境保全のための廃プラ対策として、「プラスチック再資源化のためのバイオプラスチック技術開発企業」「プラスチックの使用を大幅に削減する大量消費企業」「廃プラ処理企業」「脱プラの代替え製品に目をつけた企業」「河川・海洋の浄化システムの企業」など多彩な観点からいろいろな業界の具体的な施策が動き出した。
◇プラスチック再資源化のためのプラスチック技術開発企業
理化学研究所や化学業界大手などは、バイオプラスチックの開発に力を入れている。プラスチックが普及し始めて約110年、この間に化学業界は大きな成長を遂げると共に、プラスチックを有害材料という形でどんどん量産してしまったといえよう。環境に優しいプラスチックを開発し市場を置き換えていくことは、化学業界にとっての使命なのかもしれない。
三菱ケミカルHDは、生分解性プラスチック「BioPBS(バイオPBS)」を開発し、ストロー業界にビジネス展開している。京浜急行電鉄<9006>をはじめとする京急グループ各社など多くのストロー使用会社において、ストローがこの材料に切り替わりつつある。
◇プラスチックの使用を大幅に削減する大量消費企業
ペットボトル、レジ袋、ビニール包装、ビニールカップ、フォーク、スプーン、ストロー等大量に消費する企業は、大手がその削減に動き出し、それに倣って多くの企業が具体的に動き出した。
コカBJH<2579>は、2030年までにペットボトルの50%以上をリサイクル素材にすること目指している。また、ユニクロでおなじみのファーストリテイリング<9983>は、レジ袋や包装材を全面刷新することを検討中である。
◇廃プラ処理企業
日本は、プラスチックのリサイクル率が80%を超えると言われて来たが、143万トン(2017年)の廃プラを中国や東南アジア・台湾に輸出してきた。昨年、中国が廃プラの輸入規制をしたことがトリガーとなり、この業界に大きな変化がもたらされた。他のアジアの国に押しつける動きもあったが、日本政府は今年2月、有害廃棄物の輸出入規制バーゼル条約の項目にプラスチックも加えることを決めた。これに伴い、国内のプラスチックリサイクル企業が注目を浴びている。
パナ・ケミカル社は、全国約2,000社から月間7,000トンのプラスチックを回収しているそうだ。特に、発泡スチロールリサイクルでは業界シェア80%をもち、この業界での「小さいが強い会社」を目指している。
◇脱プラの代替え製品に目をつけた企業
新素材のプラスチック代替品が続々と登場している。王子HD<3861>は、水分や酸素が透過しない紙製の包装材を開発したと発表した。日本製紙<3863>も、「SHIELDPLUS(シールドプラス)」という「紙なのに酸素・香りを通さない」特殊な加工を加えた素材を開発した。
◇河川・海洋の浄化システムの企業
すでに世界の海洋は、マイクロプラスチックで汚染されている。さらに、いま海洋をさまよっているプラスチックが分解されるのには、100年単位の時間がかかると言われている。これを考えると、海洋を浄化することは待ったなしの課題だと思われる。
三井化学の淡輪社長は、海洋プラスチック問題対応協議会の会長を務め、日本プラスチック工業連盟とも連携して、プラスチック廃棄物が河川や海に流出しない社会インフラの整備を目指している。
海洋プラスチックの問題は深刻であるように思われ、もしかしたら我々の子孫が刺身を食べて健康被害をこうむる日がくるかもしれないとも感じる。海洋にプラスチックを大量に流出させている国や、いままで廃プラを大量に輸出してきた国が連携して、真剣に海への廃プラ流出を食い止め、海に流れ出たプラスチックの回収に全力を尽くす責務があるのではないかと思う。
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執筆者名:三竿郁夫 IA工房代表
ブログ名: 「IA工房」
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