ランドコンピュータ<3924>は、半世紀近い業歴を持つ独立系中堅システムインテグレータである。新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)により企業経営を取り巻く外部環境が激しく変化していることにより、情報システム開発の縮小や延伸が発生するなど、受注環境は厳しくなっている。しかしながら同社は、領域の拡大に努めるとともに、新デジタル分野(クラウド、IoT、AI)への取り組みに注力することで更なる成長を目指す。
1. 2021年3月期第2四半期の業績概要
2021年3月期第2四半期の業績は、売上高が前年同期比1.4%減の4,140百万円、営業利益が同20.1%減の185百万円となった。計画比で見ると、売上高についてはパッケージベースSI・サービスのクラウドビジネスの伸長により3.4%増となったものの、営業利益については第2四半期に発生した大型不採算案件の影響により11.1%減となった。
2. 2021年3月期の業績見通し
2021年3月期の業績見通しについては、売上高が前期比5.3%減の8,614百万円、営業利益が同12.0%減の624百万円とする期初計画を据え置いている。同社業績は従来、下期偏重の傾向があるが、2021年3月期第2四半期に発生した大型不採算案件に関わる費用を上期に損失引当金として計上していることから、2021年3月期の営業利益については下期偏重がより顕著となると予想される。なお、2021年3月期下期の重点事項としては、1)第2四半期に発生した不採算プロジェクトの収束に向けた対応、2)デジタル分野(クラウド、IoT、AI)を中心とした成長力の高い事業ドメインの開拓、3)人財採用と教育研修の強化としており、引き続きパッケージベースSI・サービスの拡大を図る。
3. 成長戦略
中長期の成長戦略「Attack100」では、売上高100億円を早期に達成し、中長期的に売上高営業利益率10%を達成することを目指す。プロジェクトごとに利益率はばらつきがあり、不採算プロジェクトを皆無にすることは現実的ではないものの、内部管理体制を改善すれば、10%の営業利益率の実現は可能と見ている。2021年3月期はコロナ禍の影響を考慮し減収見通しになっているものの、新設した「DX推進本部」を中心に新たな成長戦略の土台作りを行いながら、コロナ禍終息後の高成長事業を目指していく。なお、デジタル庁創設に伴うデジタル化推進が官民に波及することが期待される。同社は、公共・教育分野で富士通<6702>及び日立製作所<6501>との協業を進めることで、ICT環境整備案件へ参画し、受注獲得を目指す方針である。
■Key Points
・半世紀近い業歴を持つ独立系システムインテグレータ
・2021年3月期第2四半期は減収減益も、パッケージベースSI・サービスの伸長により売上高は計画超過
・デジタル庁創設に伴うデジタル化推進により、公共・教育分野での受注獲得を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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