14日の米株式市場でNYダウは106.77ドル安(-0.29%)と続落。新型コロナウイルスワクチンや治療薬のオミクロン変異株に対する有効性を示す調査結果を受け、寄り付き後に一時上昇。しかし、11月生産者物価指数(PPI)が予想を上回ると、連邦準備制度理事会(FRB)がよりタカ派に傾斜することが警戒され下落に転じた。その後、世界保健機関(WHO)がオミクロン変異株感染の速さを警告すると更に売りに拍車がかかり、終日軟調に推移した。ハイテク株中心に売られ、ナスダック総合指数は-1.13%と大幅に続落。こうした流れを受け日経平均は74.17円安でスタート。ただ、前日に大きく調整していたこともあり、すぐに切り返すとプラスに転じた。しかし、イベント前に大きく買い戻す動きには乏しく、ジリジリと上げ幅を縮めると、前引けにかけては再びマイナスに転じた。
個別では、前日のバッテリーEV戦略に関する説明会が評価されたトヨタ自<7203>が3%近く買われ、デンソー<6902>は4%超と大幅に上昇、三井ハイテク<6966>も4%近く上昇した。そのほか、ソフトバンクG<9984>、リクルートHD<6098>、ソニーG<6758>、日本電産<6594>など主力株が堅調。JR東<9020>やJAL<9201>、エイチ・アイ・エス<9603>など旅行関連もしっかり。好決算や中計目標の上方修正が材料視されたジェイ・エス・ビー<3480>は急伸し東証1部の上昇率上位にランクイン。ハイブリッドイベントに対応するサービスの提供を開始したブイキューブ<3681>も急伸。
一方、川崎汽船<9107>を筆頭に大手海運3社が軒並み大幅に下落。東エレク<8035>、アドバンテスト<6857>、SUMCO<3436>などの半導体関連株も売りに押されており、ダイキン<6367>、ファーストリテ<9983>など値がさ株の一角も軟調。今期見通しや中計目標が市場期待を下回った神戸物産<3038>はもみ合いの末に売り優勢に。業績予想の下方修正が嫌気されたエニグモ<3665>は急落し、東証1部の下落率トップにランクイン。
最高裁の決定を受けて買収プレミアムへの期待感が剥落した関西スーパー<9919>も急落。そのほか、8-10月期の営業減益が失望感を誘ったヤーマン<6630>も大幅に下落している。
セクターでは海運業、ゴム製品、精密機器などが下落率上位となっている一方、輸送用機器、証券・商品先物取引業、鉄鋼などが上昇率上位となっている。東証1部の値下がり銘柄は全体の35%、対して値上がり銘柄は57%となっている。
日経平均は下向き転じた5日移動平均線の下方で軟調な動きとなっている。FOMCの公表結果とパウエル議長の記者会見を目前に控え、値がさハイテク株を中心に手仕舞い売りなどが優勢となっているようだ。
11月の米PPIは総合で前年比の伸びが+9.6%と、統計開始以来、過去最大の伸びを記録し、市場予想(+9.2%)を大幅に上回った。前月比でも+0.8%と予想(+0.5%)を大きく上回り、さらに、変動の激しいエネルギー・食品を除いたコアでも前月比+0.7%と予想(+0.4%)を大幅に上回った。量的緩和縮小(テーパリング)の加速はほとんど決定事項のように捉えられていたが、今回の結果を受け、FRBが利上げの前倒しに積極的になるのではとの思惑も高まっているようだ。
ただ、事前にこれだけ警戒感が高まっていれば、ある程度はFRBのタカ派シフトも織り込めたと言えそうだ。そうした意味では、むしろ、FOMCの結果公表直前に警戒レベルが一段上がったことはポジティブかもしれない。油断は禁物だが、年内最後のイベントを無難に通過し、年末株高ラリー、出遅れ感のある日本株のキャッチアップなどに期待したいところだ。
後場の日経平均は軟調もみ合いとなりそうだ。イベント直前に積極的な売買が手控えられるなか、アジア市況などにも大きな動きはなく、一段と方向感は乏しくなろう。模様眺めが強まるなか、大引けにかけては仕掛け的な売りや手仕舞い売りに注意しておきたい。
<AK>
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