11日の米国市場でNYダウは113ドル高と3日ぶりに反発した。新製品発表会を控えたアップルなどのハイテク株が買われ、原油価格の上昇なども好感された。為替市場では一時1ドル=111.60円台まで円安が進み、本日の日経平均は米株高や円安を好感して38円高からスタートした。ただ、前日に300円近く上昇した反動から上値では利益確定の売りが出やすく、半導体株安も重しとなって、前場の日経平均はマイナスに転じ22522.17円(142.52円安)まで下落する場面があった。
個別では、米SOX指数が下落した流れを引き継いでSUMCO<3436>、東エレク<8035>、信越化<4063>といった半導体関連株が売られ、ローム<6963>や村田製<6981>などの電子部品関連株も下げが目立った。その他売買代金上位ではトヨタ自<7203>、三菱UFJ<8306>、武田薬<4502>などが軟調。不祥事に揺れるスルガ銀<8358>やTATERU<1435>は連日の大幅安となり、決算発表のシーズHD<4924>はストップ安水準まで売られた。一方、ソフトバンクG<9984>とヤフー<4689>は3%超の上昇。ソフトバンクGでは目標株価引き上げの動きが観測されている。その他売買代金上位では任天堂<7974>、ソニー<6758>、ファーストリテ<9983>などがしっかり。また、平河ヒューテ<5821>や学情<2301>が東証1部上昇率上位に顔を出した。セクターでは、金属製品、電気機器、建設業などが下落率上位。半面、鉱業など4業種が上昇した。
前日に300円近く上昇した日経平均だが、短期筋による買い戻しや週末のSQ(先物・オプション特別清算指数)算出に絡んだ買いによるものとみられ、上昇幅の大きさほど市場の高揚感はなかった。トランプ米政権の通商問題を巡る強硬姿勢に対し、市場の懸念は根強い。日米通商協議(FFR)の第2回会合が21日を軸に開催される方向と報じられており、自動車分野を中心に米国からの圧力が一段と強まる可能性がある。こうした懸念材料を考慮すると、日経平均が節目の23000円を上抜けするにはなお時間を要するとみられ、22000円台後半では利益確定の売りが出やすいと考えられる。
新興市場でもマザーズ指数が3日ぶり反落、日経ジャスダック平均が続落となっている。
個人投資家のマインドは依然として改善しておらず、マザーズ指数などは相場全体の地合い睨みで一進一退の展開が続きそうだ。マザーズ市場では新サービスを発表したアジャイル<6573>やマーケットE<3135>、農業総合研究所<3541>などが値を飛ばしているが、こうした中小型の材料株で短期の値幅取りを狙う形となるだろう。
(小林大純)
<AK>
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