2020年3月期について昭栄薬品<3537>は、売上高20,869百万円(前期比3.8%増)、営業利益280百万円(同2.4%増)、経常利益412百万円(同0.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益273百万円(同0.1%増)と増収増益を予想している。
売上高は、後述のように3つの事業セグメントすべてで前期比増収を予想しており、結果として前期比3.8%の増収を予想している。
売上総利益については、売上総利益率の改善(前期の8.1%から8.2%へ0.1ポイント改善)と増収効果によって、前期比75百万円(4.6%)の増益を見込んでいる。一方販管費でも、人件費増加や減価償却費の増加、システム投資等の要因から同68百万円(5.1%)の増加を見込んでいる。その結果として営業利益は同6百万円(2.4%)の増益を予想している。
経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益はほぼ前期並みとなっている。これは営業外収益を厳しく見た結果、営業外収支としては前期比5百万円の減少を予想するに至ったことによる。
事業セグメント別見通しは以下のとおり。
(1) 化学品事業の見通し
化学品事業は売上高18,686百万円(前期比3.4%増)を予想している。会社概要の項で述べた化学品事業の商品特性や収益モデルから明らかなように、同事業の事業環境は直接的には界面活性剤業界の、より広義には日本全体の生産活動の影響を受ける。米中貿易摩擦に代表される景気見通しの不透明要因は多々あるが、最終需要業界が日用品や食品、医薬品など、生活必需品の領域が多いことから、安定的な成長が続くと同社は予想している。
そうしたなか同社は、2020年3月期において、海外商材の強化・拡販、IPMP(イソプロピルメチルフェノール。安全性の高い殺菌剤成分)の拡販、香粧品分野への注力、最終商品生産メーカーへの注力、海外子会社との連携強化などの取り組みを通じて所期の売上目標の達成を目指す方針だ。
(2) 日用品事業の見通し
日用品事業では売上高824百万円(前期比0.7%増)を予想している。事業環境としては、個人消費の厳しい状況が継続すると認識しているが、それに加えて2020年3月期は2019年10月に消費税率の10%への引上げが予定されている。同社はこの点を厳しめに織り込んだ結果、前期比0.7%という低い予想増収率につながったとみられる。
2020年3月期のテーマとしては、前期同様、新規アイテム・新商品の開発、新規顧客・新規ルートの開拓、既存顧客への拡販などに取り組み、売上高の成長を目指す方針だ。
(3) 土木建設資材事業の見通し
土木建設資材事業では売上高1,358百万円(前期比11.5%増)を予想している。事業環境としては、大阪万博やIR(統合型リゾート)関連、リニア中央新幹線工事等のプロジェクト工事や、橋梁・トンネルなどの社会インフラの老朽化対策により、堅調な事業環境が期待される状況だ。
こうした需要の強さを収益に着実につなげるべく、同社は既存顧客である施工会社やメーカー、二次販売店等への営業の深堀や、新規商品の開発・拡販に注力する計画だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)
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