1. 会社概要
ティーケーピー<3479>は、貸会議室ビジネスを起点とする「空間再生流通事業」を展開している。独自のビジネスモデルにより、遊休不動産の有効活用を図りたい不動産オーナーと、低コストで効率的に会議室を利用したい法人のニーズを結び付けるところに新たな市場を創出し、高い成長性を実現してきた。
2021年2月期以降、コロナ禍の影響により業績は一旦後退し、新規出店等も抑えてきた。ただ、オフィス回帰や対面イベント(会議、懇親会、研修等)の復活により、足元業績はコロナ禍前を上回る水準に回復してきた。今後の事業拡大に向けた新規出店や増床に加え、M&Aや業務提携にも積極的に取り組んでおり、成長回帰に向けて本格的に動き始めている。
報告セグメントは、リリカラ、ノバレーゼの連結子会社化により、これまでの「空間再生流通事業」の1セグメントから、「リリカラ事業」(インテリア、スペースソリューション、不動産投資開発)、「ノバレーゼ事業」(ブライダル、レストラン特化型)を追加した3セグメントへと変更した。事業間のシナジー創出により、「空間再生流通事業」を軸とした重層的な事業展開を進めている。
また、主力の「空間再生流通事業」における事業領域は5つに区分される。「フレキシブルスペース事業」(貸会議室・ホテル宴会場・レンタルオフィス)をコア事業として、「ホテル・宿泊研修事業」「料飲・バンケット事業」「イベントプロデュース事業」「BPO事業」の周辺サービスを提供している。
2. 沿革
2005年に(株)ティーケーピーを設立、ポータルサイト「貸会議室ネット」と「貸オフィスネット」を運営開始し、1号店である「TKP六本木会議室」を開業した。2006年~2007年には早くも、北海道・関西・九州・東北・東海に進出した。2008年には、(株)コンビニステーション(現 (株)コンステ)を設立し、低価格帯貸会議室の運営事業化を開始したほか、会議・研修のトータルサービスを提供開始し、単なる貸会議室だけでなく周辺事業にも展開を開始した。その後もビル管理事業、コールセンター事業、企業向けレンタル事業に参入した。2011年には、「TKPガーデンシティ品川」を開業し、ホテル内宴会場の運営を開始した。2013年には(株)常盤軒フーズを立ち上げ、飲食サービスの内製化を強化した。また、同年には「レクトーレ」を開業し宿泊型研修会場の提供を開始したほか、海外初施設をニューヨークに出店している。2014年に法人向け旅行事業のワンストップサービスの充実をさらに推し進め、札幌に「アパホテル〈TKP札幌駅前〉」をフランチャイズ出店し、会議室併設型ハイブリッドホテルの運営を開始した。2015年には伊豆長岡の「石のや」で旅館事業に参入、同社のブランドで最上級となる「ガーデンシティPREMIUM」を新設し、イベント・コンテンツ事業に参入するなど快進撃が続いた。2016年には(株)ファーストキャビンと資本業務提携契約を締結、簡易宿泊事業に参入した。2017年に入ると、東京証券取引所マザーズ市場へ上場し、スペースマッチングサービスである「クラウドスペース」の運営開始(2022年8月にサービス終了。代替サービスとして「TKP貸会議室ネット」を運営)、(株)メジャースの子会社化(100%株式取得。現在は吸収合併済)によるイベントプロデュース事業への本格参入など、積極的な事業展開を進めた。また、(株)日経CNBCの「今年の優秀IPO企業」最優秀賞を受賞するとともに、「EYアントレプレナー・オブ・ザ・イヤー2017ジャパン」において、同社代表取締役社長の河野貴輝(かわのたかてる)氏が日本代表※に選出された。2018年には直営会議室2,000室を突破した。2019年5月にはレンタルオフィス最大手の日本リージャスを買収し、短中期オフィス事業へも本格参入したものの、リージャス事業については2023年2月に売却した。
※ 2018年6月にモナコにて開催された約60ヶ国の代表起業家たちが集う世界大会へ日本代表として出場した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
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