8月2日の後場の取引では以下の3つのポイントに注目したい。
・日経平均は大幅反発、500円近く上昇も自律反発の域を出ず
・ドル・円はもみ合い、方向感は乏しい
・値上がり寄与トップは、東京エレクトロン<8035>、同2位がファナック<6954>
■日経平均は大幅反発、500円近く上昇も自律反発の域を出ず
日経平均は大幅反発。458.69円高の27742.28円(出来高概算5億3392万株)で前場
取引を終えている。
前週末の米株式市場では主要株価指数が揃って反落。NYダウは149.06ドル安(-0.42%)となった。中国テクノロジー株の下落への警戒感のほか、疾病対策センター(CDC)が新型コロナウイルス変異株「デルタ」に水ぼうそう並みの感染力があり、従来型よりも重症化する可能性を警告したため回復への警戒感が再燃。また、月末で利益確定の売りも目立ち、終日軟調に推移した。米長期金利は引き続き1.2%台前半での低位圏での動きが続いているが、アマゾンが決算を受けて急落したこともあり、ナスダックも0.71%安と反落した。
こうした米株安があったものの、前週末にかけて大きく下落していた日経平均は目先の反発にした買いから前週末比209.73円高の27493.32円でスタートすると、じり高基調が続き27773.30円(489.71円高)まで上値を伸ばした。買い戻し一巡後も失速することなく、27700円台での底堅い動きが続いた。
個別では、マージン拡大で業績予想を大幅に上方修正した大紀アルミ<5702>が急伸。業績予想の上方修正に加え自社株買いも発表したイーグランド<3294>、理想科学工業<6413>、ワコム<6727>なども急伸した。そのほか、不振だったゲーム事業を電子書籍・電子雑誌の伸長などでカバーし高進捗となったKADOKAWA<9468>なども値上がり率上位にランクインしている。前週末の場中に業績予想の上方修正に加えて年間配当金を150円から550円に大幅増額すると発表した商船三井<9104>は本日も急伸しており、日本郵船<9101>や川崎汽船<9107>など他の海運株も大幅に連れ高している。
一方、好決算も出尽くし感につながったマツダ<7261>、高進捗ながらも通期計画が据え置かれたアウトソーシング<2427>などが大幅に下落。コーセー<4922>は国内回復の遅延や中国ECの競争激化などで低進捗となり売られた。そのほか、第1四半期が引き続き赤字となったJR東<9020>は朝方こそ大きく下落して始まったものの、その後は下げ渋った。また、同様に第1四半期が営業赤字となり、加えて業績予想の下方修正も同時に発表したJR東海<9022>やJR西<9021>も朝安後に下げ渋っている。
セクターではほぼ全面高となっており、海運業、ガラス・土石製品、パルプ・紙などが上昇率上位に並んでいる。一方、空運業のみが下落している。東証1部の値上がり銘柄は全体の82%、対して値下がり銘柄は15%となっている。
本日の日経平均は前引け時点で500円近い上昇を見せている。前週末は月末最終営業日で株安アノマリーが意識されていたなか、緊急事態宣言の延長や対象地域の追加など悪材料が重なったことで大きく下落。日経平均は200日移動平均線(27800円近辺)を大幅に下放れていたこともあり、突っ込み警戒感から買い戻しが入りやすかったようだ。
また、当局による規制強化を受けた中国株安が前週から警戒されているが、前週7月29日に米CNBCが「中国の証券監督当局は自国企業に対し、上場基準を満たしている限り米国での新規株式公開(IPO)を引き続き認める方針と」と報じてからは、一先ず株安に歯止めがかかっている様子。週明けの今日も中国株は軟調といえども、小幅な下落にとどまっていることから、目先の安心感につながっているようだ。
しかし、足元で東京都の新型コロナウイルス新規感染者数は4000人を超えてくるなど先行き警戒感は依然強い。中国株の動向も当局の動き次第で大きく変化しうるため不透明感が引き続き重しとなる。本日の日経平均の大幅高も自律反発の域を出ず、500円近く上昇していてもいまだ200日線すら回復できていない。足元、企業の好決算なども相次いでいるが、外部環境の不透明要素がくすぶる限り、本腰の入った持続的な株高は期待しにくい。
そのほか、やや気懸かりな点も。ここ最近、米中二大経済大国の経済指標の下振れなどから景気のピークアウト懸念が強まっているが、中国国家統計局が7月31日発表した7月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は50.4と、前月より0.5ポイント低下した。これで悪化は4カ月連続となる。好不調の境目である50は上回ったが、コスト高などが企業収益を圧迫しているようだ。また、詳細にみると、生産は51.0と0.9ポイント低下したほか、新規受注は2カ月ぶりに悪化、とりわけ海外からの新規受注は3カ月連続で節目の50を下回った。
また、本日午前に発表された民間版の財新製造業PMIも50.3と前回の51.3および市場予想の51.0をともに下回った。グローバル経済、貿易の中心地であり、日本企業の依存度が高い中国の経済指標の下振れ傾向もやや心配だ。
今週は、今晩に米7月ISM製造業景気指数、4日は米7月ISM非製造業指数など米国でも注目度の高い経済指標が発表されるため注目したい。
■ドル・円はもみ合い、方向感は乏しい
2日午前の東京市場でドル・円はもみ合い、109円台半ば後半の狭いレンジ内で方向感の乏しい値動きとなった。米10年債利回りの低下で、ややドル売りに振れやすい。ただ、日経平均株価や上海総合指数などアジア株高を受けた円売りで、主要通貨は対円で底堅さが目立つ。
ここまでの取引レンジは、ドル・円は109円60銭から109円77銭、ユーロ・円は130円08銭から130円27銭、ユーロ・ドルは1.1862ドルから1.1871ドル。
■後場のチェック銘柄
・パレモ・ホールディングス<2778>、グローバルウェイ<3936>など、4銘柄がストップ高
※一時ストップ高(気配値)を含みます
・値上がり寄与トップは、東京エレクトロン<8035>、同2位がファナック<6954>
■経済指標・要人発言
【経済指標】
・中・7月財新製造業PMI:50.3(予想:51.0、6月:51.3)
【要人発言】
・ブレイナード米連邦準備制度理事会(FRB)理事
「9月のデータ、今よりも自身を持って進展具合を判断できる」(7月30日)
<国内>
・14:00 7月消費者態度指数(予想:36.9、6月:37.4)
<海外>
・15:00 独・6月小売売上高(前月比予想:+1.8%、5月:+4.6%)
・15:30 スイス・7月消費者物価指数(前年比予想:+0.7%、6月:+0.6%)
<CS>
・日経平均は大幅反発、500円近く上昇も自律反発の域を出ず
・ドル・円はもみ合い、方向感は乏しい
・値上がり寄与トップは、東京エレクトロン<8035>、同2位がファナック<6954>
■日経平均は大幅反発、500円近く上昇も自律反発の域を出ず
日経平均は大幅反発。458.69円高の27742.28円(出来高概算5億3392万株)で前場
取引を終えている。
前週末の米株式市場では主要株価指数が揃って反落。NYダウは149.06ドル安(-0.42%)となった。中国テクノロジー株の下落への警戒感のほか、疾病対策センター(CDC)が新型コロナウイルス変異株「デルタ」に水ぼうそう並みの感染力があり、従来型よりも重症化する可能性を警告したため回復への警戒感が再燃。また、月末で利益確定の売りも目立ち、終日軟調に推移した。米長期金利は引き続き1.2%台前半での低位圏での動きが続いているが、アマゾンが決算を受けて急落したこともあり、ナスダックも0.71%安と反落した。
こうした米株安があったものの、前週末にかけて大きく下落していた日経平均は目先の反発にした買いから前週末比209.73円高の27493.32円でスタートすると、じり高基調が続き27773.30円(489.71円高)まで上値を伸ばした。買い戻し一巡後も失速することなく、27700円台での底堅い動きが続いた。
個別では、マージン拡大で業績予想を大幅に上方修正した大紀アルミ<5702>が急伸。業績予想の上方修正に加え自社株買いも発表したイーグランド<3294>、理想科学工業<6413>、ワコム<6727>なども急伸した。そのほか、不振だったゲーム事業を電子書籍・電子雑誌の伸長などでカバーし高進捗となったKADOKAWA<9468>なども値上がり率上位にランクインしている。前週末の場中に業績予想の上方修正に加えて年間配当金を150円から550円に大幅増額すると発表した商船三井<9104>は本日も急伸しており、日本郵船<9101>や川崎汽船<9107>など他の海運株も大幅に連れ高している。
一方、好決算も出尽くし感につながったマツダ<7261>、高進捗ながらも通期計画が据え置かれたアウトソーシング<2427>などが大幅に下落。コーセー<4922>は国内回復の遅延や中国ECの競争激化などで低進捗となり売られた。そのほか、第1四半期が引き続き赤字となったJR東<9020>は朝方こそ大きく下落して始まったものの、その後は下げ渋った。また、同様に第1四半期が営業赤字となり、加えて業績予想の下方修正も同時に発表したJR東海<9022>やJR西<9021>も朝安後に下げ渋っている。
セクターではほぼ全面高となっており、海運業、ガラス・土石製品、パルプ・紙などが上昇率上位に並んでいる。一方、空運業のみが下落している。東証1部の値上がり銘柄は全体の82%、対して値下がり銘柄は15%となっている。
本日の日経平均は前引け時点で500円近い上昇を見せている。前週末は月末最終営業日で株安アノマリーが意識されていたなか、緊急事態宣言の延長や対象地域の追加など悪材料が重なったことで大きく下落。日経平均は200日移動平均線(27800円近辺)を大幅に下放れていたこともあり、突っ込み警戒感から買い戻しが入りやすかったようだ。
また、当局による規制強化を受けた中国株安が前週から警戒されているが、前週7月29日に米CNBCが「中国の証券監督当局は自国企業に対し、上場基準を満たしている限り米国での新規株式公開(IPO)を引き続き認める方針と」と報じてからは、一先ず株安に歯止めがかかっている様子。週明けの今日も中国株は軟調といえども、小幅な下落にとどまっていることから、目先の安心感につながっているようだ。
しかし、足元で東京都の新型コロナウイルス新規感染者数は4000人を超えてくるなど先行き警戒感は依然強い。中国株の動向も当局の動き次第で大きく変化しうるため不透明感が引き続き重しとなる。本日の日経平均の大幅高も自律反発の域を出ず、500円近く上昇していてもいまだ200日線すら回復できていない。足元、企業の好決算なども相次いでいるが、外部環境の不透明要素がくすぶる限り、本腰の入った持続的な株高は期待しにくい。
そのほか、やや気懸かりな点も。ここ最近、米中二大経済大国の経済指標の下振れなどから景気のピークアウト懸念が強まっているが、中国国家統計局が7月31日発表した7月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は50.4と、前月より0.5ポイント低下した。これで悪化は4カ月連続となる。好不調の境目である50は上回ったが、コスト高などが企業収益を圧迫しているようだ。また、詳細にみると、生産は51.0と0.9ポイント低下したほか、新規受注は2カ月ぶりに悪化、とりわけ海外からの新規受注は3カ月連続で節目の50を下回った。
また、本日午前に発表された民間版の財新製造業PMIも50.3と前回の51.3および市場予想の51.0をともに下回った。グローバル経済、貿易の中心地であり、日本企業の依存度が高い中国の経済指標の下振れ傾向もやや心配だ。
今週は、今晩に米7月ISM製造業景気指数、4日は米7月ISM非製造業指数など米国でも注目度の高い経済指標が発表されるため注目したい。
■ドル・円はもみ合い、方向感は乏しい
2日午前の東京市場でドル・円はもみ合い、109円台半ば後半の狭いレンジ内で方向感の乏しい値動きとなった。米10年債利回りの低下で、ややドル売りに振れやすい。ただ、日経平均株価や上海総合指数などアジア株高を受けた円売りで、主要通貨は対円で底堅さが目立つ。
ここまでの取引レンジは、ドル・円は109円60銭から109円77銭、ユーロ・円は130円08銭から130円27銭、ユーロ・ドルは1.1862ドルから1.1871ドル。
■後場のチェック銘柄
・パレモ・ホールディングス<2778>、グローバルウェイ<3936>など、4銘柄がストップ高
※一時ストップ高(気配値)を含みます
・値上がり寄与トップは、東京エレクトロン<8035>、同2位がファナック<6954>
■経済指標・要人発言
【経済指標】
・中・7月財新製造業PMI:50.3(予想:51.0、6月:51.3)
【要人発言】
・ブレイナード米連邦準備制度理事会(FRB)理事
「9月のデータ、今よりも自身を持って進展具合を判断できる」(7月30日)
<国内>
・14:00 7月消費者態度指数(予想:36.9、6月:37.4)
<海外>
・15:00 独・6月小売売上高(前月比予想:+1.8%、5月:+4.6%)
・15:30 スイス・7月消費者物価指数(前年比予想:+0.7%、6月:+0.6%)
<CS>
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