明日の株式相場に向けて=トランプSNS砲の衝撃と中小型株戦略
きょう(26日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比338円安の3万8442円と反落。ザラ場も含め予測不能、翻弄されっぱなしで至近距離で相場と向き合うほどに方向感がつかめなくなるような地合いだ。例えば前日は思惑に反し朝方から日経平均は値を飛ばし、取引時間中は不安定に揺れたとはいえ、ほぼ高値ゾーンでのもみ合いに終始した。しかし、きょうは欧米株高を引き継いで強い動きが期待されたものの、フタを開ければ寄り付きから急速に下値を切り下げ、一時750円を超える波乱含みの下落に見舞われた。
AIアルゴリズムが作動するなか、先物主導のジェットコースターに乗るような相場が続く。“生身の人間”の予測を外すのがAIの仕事といわんばかり。おそらく足もとの相場にトレンドは発生していないと思われるが、日々の波の高さには、たじろぐケースが多い。前日は米財務長官人事(ベッセント氏の指名)をポジティブ視した流れが形成され日経平均は大幅高に買われたものの、きょうはそれを吐き出す展開を余儀なくされた。朝方取引開始前の午前8時半過ぎにトランプ米次期大統領がSNSで中国、カナダ、メキシコを対象とした追加関税に言及。日本は特に名指しされたわけではないが、この先そのリスクに怯えるような状況を意識させ、取引開始までの30分弱の間にセンチメントは急速に弱気に傾いた。
トランプ氏の「ツイッター砲」がしばしば相場の撹乱要因となった頃を想起させるが、ちなみに現在トランプ氏は独自SNSとして立ち上げた「トゥルース・ソーシャル」を活用している。一方、大統領選でトランプ氏が勝利した後、民主党支持者はSNSでは「ブルースカイ」に集結する状況にあり、まさに今の米国は思想の「分断」が色濃くなっている。
いずれにせよ、このSNS経由の“トランプ発言”によってきょうの相場は大時化(おおしけ)模様となった。鶴の一声ならぬトランプの一声で株式マーケット全体にこれだけ影響が生じてしまうのも迷惑な話だが、来年1月20日以降、日本にとってネガティブなトランプ効果に身構える必要があることを、きょうの相場は教えている。また、こうしたケースではAIアルゴリズムの持つ優位性が今後一段と高まっていきそうだ。突発的な情報発信を感知してトレードに反映させるまでのスピードで、AIに人間が勝てる道理はなく、同じ土俵に立っては勝負にならない。決算プレーなどもその要素をはらんでいる。
ただ、人間の知恵で流れを捉えることは可能だ。きょうは全体指数は日経平均、TOPIXいずれも下値を探る展開を強いられたが、個別株ベースでは中小型株の一角に買いが向かった。前日の米国株市場は内需系中小型株で構成されるラッセル2000が3年ぶりの高値圏に浮上した。東京市場でも全体相場が先物主導で荒れやすくなれば、その影響を受けにくい銘柄でテーマ物色の流れに乗ろうとする動きも顕在化しやすい。きょうは地合い悪のなかもペロブスカイト太陽電池関連の銘柄群にお鉢が回ってきた。「経済産業省が2040年に原発20基分に相当する20ギガワットまで高める目標を検討している」と伝わり、発電層の主原料に使われるヨウ素関連であるK&Oエナジーグループ<1663.T>や伊勢化学工業<4107.T>のほか、ヒラノテクシード<6245.T>、フジプレアム<4237.T>、エヌ・ピー・シー<6255.T>といった銘柄が軒並み動意づいた。
このほか内需の中小型株では、システム開発やセキュリティー関連銘柄などにも動意気配の銘柄が見受けられる。今後テーマ物色の波が及ぶ可能性があり、マークしておきたい銘柄としては、仮想デスクトップ関連製品を展開するアセンテック<3565.T>やSNSで昨今話題となりがちな炎上対策でエルテス<3967.T>。このほか、クラウドサービスで不動産事業者向け業務支援を行う日本情報クリエイト<4054.T>、医療情報分野で自社開発の電子カルテを展開するCEホールディングス<4320.T>、国内最大の企業関連クチコミ情報サイトを運営するオープンワーク<5139.T>などに目を配っておきたい。
あすのスケジュールでは、午前中に債券市場で40年物国債の入札が行われる。海外ではニュージーランド中銀が政策金利を発表するほか、24年1~10月期の中国工業利益が発表される。また、10月の米耐久財受注額、24年7~9月期米実質GDP改定値、週間の米新規失業保険申請件数、11月の米シカゴ購買担当者景気指数(PMI)などが開示され、特に10月の米個人所得・個人消費支出、PCEデフレーターに対する注目度が高い。このほか、米7年国債の入札が行われる。なお、インドネシア市場は休場。(銀)
出所:MINKABU PRESS
AIアルゴリズムが作動するなか、先物主導のジェットコースターに乗るような相場が続く。“生身の人間”の予測を外すのがAIの仕事といわんばかり。おそらく足もとの相場にトレンドは発生していないと思われるが、日々の波の高さには、たじろぐケースが多い。前日は米財務長官人事(ベッセント氏の指名)をポジティブ視した流れが形成され日経平均は大幅高に買われたものの、きょうはそれを吐き出す展開を余儀なくされた。朝方取引開始前の午前8時半過ぎにトランプ米次期大統領がSNSで中国、カナダ、メキシコを対象とした追加関税に言及。日本は特に名指しされたわけではないが、この先そのリスクに怯えるような状況を意識させ、取引開始までの30分弱の間にセンチメントは急速に弱気に傾いた。
トランプ氏の「ツイッター砲」がしばしば相場の撹乱要因となった頃を想起させるが、ちなみに現在トランプ氏は独自SNSとして立ち上げた「トゥルース・ソーシャル」を活用している。一方、大統領選でトランプ氏が勝利した後、民主党支持者はSNSでは「ブルースカイ」に集結する状況にあり、まさに今の米国は思想の「分断」が色濃くなっている。
いずれにせよ、このSNS経由の“トランプ発言”によってきょうの相場は大時化(おおしけ)模様となった。鶴の一声ならぬトランプの一声で株式マーケット全体にこれだけ影響が生じてしまうのも迷惑な話だが、来年1月20日以降、日本にとってネガティブなトランプ効果に身構える必要があることを、きょうの相場は教えている。また、こうしたケースではAIアルゴリズムの持つ優位性が今後一段と高まっていきそうだ。突発的な情報発信を感知してトレードに反映させるまでのスピードで、AIに人間が勝てる道理はなく、同じ土俵に立っては勝負にならない。決算プレーなどもその要素をはらんでいる。
ただ、人間の知恵で流れを捉えることは可能だ。きょうは全体指数は日経平均、TOPIXいずれも下値を探る展開を強いられたが、個別株ベースでは中小型株の一角に買いが向かった。前日の米国株市場は内需系中小型株で構成されるラッセル2000が3年ぶりの高値圏に浮上した。東京市場でも全体相場が先物主導で荒れやすくなれば、その影響を受けにくい銘柄でテーマ物色の流れに乗ろうとする動きも顕在化しやすい。きょうは地合い悪のなかもペロブスカイト太陽電池関連の銘柄群にお鉢が回ってきた。「経済産業省が2040年に原発20基分に相当する20ギガワットまで高める目標を検討している」と伝わり、発電層の主原料に使われるヨウ素関連であるK&Oエナジーグループ<1663.T>や伊勢化学工業<4107.T>のほか、ヒラノテクシード<6245.T>、フジプレアム<4237.T>、エヌ・ピー・シー<6255.T>といった銘柄が軒並み動意づいた。
このほか内需の中小型株では、システム開発やセキュリティー関連銘柄などにも動意気配の銘柄が見受けられる。今後テーマ物色の波が及ぶ可能性があり、マークしておきたい銘柄としては、仮想デスクトップ関連製品を展開するアセンテック<3565.T>やSNSで昨今話題となりがちな炎上対策でエルテス<3967.T>。このほか、クラウドサービスで不動産事業者向け業務支援を行う日本情報クリエイト<4054.T>、医療情報分野で自社開発の電子カルテを展開するCEホールディングス<4320.T>、国内最大の企業関連クチコミ情報サイトを運営するオープンワーク<5139.T>などに目を配っておきたい。
あすのスケジュールでは、午前中に債券市場で40年物国債の入札が行われる。海外ではニュージーランド中銀が政策金利を発表するほか、24年1~10月期の中国工業利益が発表される。また、10月の米耐久財受注額、24年7~9月期米実質GDP改定値、週間の米新規失業保険申請件数、11月の米シカゴ購買担当者景気指数(PMI)などが開示され、特に10月の米個人所得・個人消費支出、PCEデフレーターに対する注目度が高い。このほか、米7年国債の入札が行われる。なお、インドネシア市場は休場。(銀)
出所:MINKABU PRESS
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