(2) 持続的成長基盤の強化
持続可能な社会の実現に向けて、GX※への取り組みを推進し、2050年にカーボンニュートラルの実現を目指す。顧客のエネルギー利用におけるGXの取り組みとして、省エネ機器や再生可能エネルギーの導入促進のほか地域と一体となった取り組みとして、公共施設の省エネ化・脱炭素化の推進、エネルギーの地産地消の推進などがある。原料の脱炭素化対応については、2030年までにカーボンニュートラルガスを供給し、2050年までにカーボンフリー燃料の供給を目指す。一方、自らの事業活動によるGXの取り組みとしては、LPガス事業におけるLPWA技術活用による配送効率の最適化によるCO2排出量削減、太陽光パネルの自社施設への設置、各事業所で使用する電力の100%再エネ化などが挙げられる。
※GX(Green Transformation)とは、脱炭素化社会実現に向けた取り組みを通じた経済社会システム全体の変革のことを指す。
(3) 人財、組織の活力最大化
同社は、人への投資は人材「コスト」ではなく企業価値向上のための投資と位置付け、人財育成と活気のある職場環境づくりに取り組むことで人財・組織の活力最大化を図り、長期的かつ持続的な企業価値向上を目指す。このため、人的資本に係るKPIを人財育成と社内職場環境それぞれで設定し、その達成に取り組んでいく。
具体的な施策としては、キャリア支援制度やリスキリング等に関する支援制度の充実を図るほか、社員それぞれが能力を最大限発揮できる環境や制度を整備する。また、働くモチベーションを高めるための給与制度の見直しにも着手し、2024年3月期は給与実質5%のアップを実施し(総額10億円)、今後も弾力的に対応していく。また、業績連動型賞与制度も新たに導入した。また、健康経営の実践にも取り組んでいる。
(4) 経営資源の最適配分
中期経営計画では、3年間で合計690億円程度の営業キャッシュ・フロー(経営資源)の創出を見込み、これらの最適配分として成長投資に400億円程度、通常投資に150億円程度を配分し、残り130億円程度を株主還元に振り向ける方針である。成長投資のうち100億円程度はM&Aで充当していくことも視野に入れており、これを除けば年間150億円ペースの投資額となり、ここ数年とほぼ同水準となる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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