21日の後場の取引では以下の3つのポイントに注目したい。
・日経平均は続落、新型コロナ感染拡大への警戒感強まる
・ドル・円は弱含み、クロス円で円買い
・値下がり寄与トップはファナック<6954>、同2位がファーストリテ<9983>
■日経平均は続落、新型コロナ感染拡大への警戒感強まる
日経平均は続落。159.79円安の26603.60円(出来高概算5億4953万株)で前場の取引を終えている。
前週末18日の米国株式相場は反落。ダウ平均は124.32ドル安の30179.05ドル、ナスダックは9.11ポイント安の12755.64ポイントで取引を終了した。追加経済対策の成立に不透明感が再燃したことに加え、国家核安全保障局(NNSA)を含む複数の連邦政府機関が大規模サイバー攻撃を受けたことも警戒感に繋がった。引けにかけては、S&P500種指数のリバランスやオプション・先物の期日に絡んだ調整取引に下げ幅を縮小した。
米国株安を受けた今日の東京株式市場だが、寄り付き段階では買いが先行した。新型コロナワクチンの普及による経済活動正常化への期待感に加え、米国で議会与野党が9000億ドル規模の追加経済対策の発動で合意したと伝えられ、米景気の先行き不透明感が後退し株価支援要因となった。一方、内外で新型コロナ感染拡大が止まらず、警戒感がさらに強くなっており、寄り後は日経平均はマイナスに転じ、前場は概ね売り優勢の展開となった。
個別では、20年3-11月期の営業利益が前年同期比6割減となったようだと報じられた久光薬<4530>、20年3-11月期の好業績観測が報じられたが出尽くし感が先行したニトリHD<9843>が下げ、一方、特別配当実施を発表したシンシア<7782>、RIZAPグループ<2928>傘下の3社経営統合の発表を受けジンズメイト<7448>が10%を超す大幅高となり、福祉事業所請求支援システム販売企業を買収すると発表したLITALICO<6187>、自社株取得を発表し実施したソリトンシステムズ<3040>、光ケーブルを増産すると報じられた住友電工<5802>、特別配当実施を発表した大幸薬品<4574>、21年5月期上半期(中間期)営業利益が前年同期比69.2%増の見込みと発表したパシフィックネット<3021>、20年12月期業績予想上方修正したアース製薬<4985>が堅調だった。
セクターでは、その他製品、石油石炭製品、鉱業、海運業、空運業などが値下がり率上位。一方、非鉄金属、銀行業、情報・通信業、倉庫運輸関連が値上がりした。東証1部の値下がり銘柄は全体の67%、対して値上がり銘柄は27%となっている。
12月9日の当欄で、世界の勢力図の変化について簡単に考え、「事によっては近い将来の株価に影響するかもしれない話題」であるとした。その後、防衛に関するニュースがいくつか伝えられ、株式市場では防衛関連銘柄の一角が動意づくなど、思った以上に動きは急だ。そこで、世界の勢力図ということについて、もう少し考えてみる。
市場ではバイデン次期米大統領の政策に関心が集まっているが、来年1月20日の米大統領就任式までは、米国大統領はトランプ氏だ。このことは意外に重要なことに思える。トランプ政権は大統領選の後も動きが活発で、米国国内ではトランプ大統領の支持基盤である石油ガス業界に有利な政策や政府人事を打ち出している。大統領任期切れまでの「駆け込み」で重要政策を進める背景には、トランプ大統領の政治的遺産(レガシー)づくりとともに、環境問題を重点施策に掲げるバイデン次期大統領の政策を縛る目的があるとの見方もある。
内政同様、外交政策も動きが急だ。特に、イスラエルとアラブをめぐる外交。今年8月のイスラエルとUAEの国交正常化合意の後も、バーレーンやスーダンも仲介し、12月10日にはイスラエルとモロッコが国交正常化に合意した。一昔前には「文明の衝突」とまで言われた世界の構図がここ数カ月で一気に変わろうとしている。このこともやはり、イラン核合意への復帰を目指すバイデン氏の政策不透明感を強めることになりかねない。
そして、米国民にとって最も分かりやすく、支持が得られやすいのが中国に対する強硬政策だろう。米国の対中政策はここにきてさらに強硬になっている。この件については昨日20日付の日本経済新聞に詳しくあるが、日本近海でも俄かにさざ波が立ち始めているように感じる。レガシーづくり、次期政権への足かせなどなど。トランプ大統領が自身の大統領任期中に対中強硬姿勢を強める理由はいくらでもある。さらにバイデン政権でもその政策は継承せざるを得なくなりつつある。この点、次の機会にさらに考えてみたい。
さて、後場の東京株式市場で日経平均は底堅く推移しそうだ。米国追加経済対策の発動に関し米議会与野党が合意したことで、一旦材料出尽くし感が漂うことに加え、新型コロナ感染拡大への警戒感がさらに強くなっており、前場は売りに押される展開となった。しかし、下値を売り急ぐ動きはなく、後場は株価の底堅さが意識されそうだ。また、日経平均の25日移動平均線が26400円台に位置しており、この先、下値支持線として機能するとの指摘もある。さらに前場のTOPIXの下落率が0.65%で、日銀によるETF買入れの思惑が台頭する可能性もある。
■ドル・円は弱含み、クロス円で円買い
21日午前の東京市場でドル・円は弱含み。新型コロナウイルスのまん延や変異種の発見などで日経平均株価が前週末比100円超下げ、リスク回避的な円買いが先行。ポンド・円主導でクロス円が値を下げ、ドル・円は追随して一時103円20銭台に沈んだ。
ここまでの取引レンジは、ドル・円は103円27銭から103円56銭、ユーロ・円は125円91銭から126円59銭、ユーロ・ドルは1.2178ドルから1.2235ドル。
■後場のチェック銘柄
・土屋ホールディングス<1840>、バルミューダ<6612>など、6銘柄がストップ高
※一時ストップ高(気配値)を含みます
・値下がり寄与トップはファナック<6954>、同2位がファーストリテ<9983>
■経済指標・要人発言
【要人発言】
・菅政権関係者
「菅首相はドルが100円を割り込まないようにしている」(報道)
<国内>
14:00 コンビニエンスストア売上高(11月) -4.3%
<海外>
特になし
<HH>
・日経平均は続落、新型コロナ感染拡大への警戒感強まる
・ドル・円は弱含み、クロス円で円買い
・値下がり寄与トップはファナック<6954>、同2位がファーストリテ<9983>
■日経平均は続落、新型コロナ感染拡大への警戒感強まる
日経平均は続落。159.79円安の26603.60円(出来高概算5億4953万株)で前場の取引を終えている。
前週末18日の米国株式相場は反落。ダウ平均は124.32ドル安の30179.05ドル、ナスダックは9.11ポイント安の12755.64ポイントで取引を終了した。追加経済対策の成立に不透明感が再燃したことに加え、国家核安全保障局(NNSA)を含む複数の連邦政府機関が大規模サイバー攻撃を受けたことも警戒感に繋がった。引けにかけては、S&P500種指数のリバランスやオプション・先物の期日に絡んだ調整取引に下げ幅を縮小した。
米国株安を受けた今日の東京株式市場だが、寄り付き段階では買いが先行した。新型コロナワクチンの普及による経済活動正常化への期待感に加え、米国で議会与野党が9000億ドル規模の追加経済対策の発動で合意したと伝えられ、米景気の先行き不透明感が後退し株価支援要因となった。一方、内外で新型コロナ感染拡大が止まらず、警戒感がさらに強くなっており、寄り後は日経平均はマイナスに転じ、前場は概ね売り優勢の展開となった。
個別では、20年3-11月期の営業利益が前年同期比6割減となったようだと報じられた久光薬<4530>、20年3-11月期の好業績観測が報じられたが出尽くし感が先行したニトリHD<9843>が下げ、一方、特別配当実施を発表したシンシア<7782>、RIZAPグループ<2928>傘下の3社経営統合の発表を受けジンズメイト<7448>が10%を超す大幅高となり、福祉事業所請求支援システム販売企業を買収すると発表したLITALICO<6187>、自社株取得を発表し実施したソリトンシステムズ<3040>、光ケーブルを増産すると報じられた住友電工<5802>、特別配当実施を発表した大幸薬品<4574>、21年5月期上半期(中間期)営業利益が前年同期比69.2%増の見込みと発表したパシフィックネット<3021>、20年12月期業績予想上方修正したアース製薬<4985>が堅調だった。
セクターでは、その他製品、石油石炭製品、鉱業、海運業、空運業などが値下がり率上位。一方、非鉄金属、銀行業、情報・通信業、倉庫運輸関連が値上がりした。東証1部の値下がり銘柄は全体の67%、対して値上がり銘柄は27%となっている。
12月9日の当欄で、世界の勢力図の変化について簡単に考え、「事によっては近い将来の株価に影響するかもしれない話題」であるとした。その後、防衛に関するニュースがいくつか伝えられ、株式市場では防衛関連銘柄の一角が動意づくなど、思った以上に動きは急だ。そこで、世界の勢力図ということについて、もう少し考えてみる。
市場ではバイデン次期米大統領の政策に関心が集まっているが、来年1月20日の米大統領就任式までは、米国大統領はトランプ氏だ。このことは意外に重要なことに思える。トランプ政権は大統領選の後も動きが活発で、米国国内ではトランプ大統領の支持基盤である石油ガス業界に有利な政策や政府人事を打ち出している。大統領任期切れまでの「駆け込み」で重要政策を進める背景には、トランプ大統領の政治的遺産(レガシー)づくりとともに、環境問題を重点施策に掲げるバイデン次期大統領の政策を縛る目的があるとの見方もある。
内政同様、外交政策も動きが急だ。特に、イスラエルとアラブをめぐる外交。今年8月のイスラエルとUAEの国交正常化合意の後も、バーレーンやスーダンも仲介し、12月10日にはイスラエルとモロッコが国交正常化に合意した。一昔前には「文明の衝突」とまで言われた世界の構図がここ数カ月で一気に変わろうとしている。このこともやはり、イラン核合意への復帰を目指すバイデン氏の政策不透明感を強めることになりかねない。
そして、米国民にとって最も分かりやすく、支持が得られやすいのが中国に対する強硬政策だろう。米国の対中政策はここにきてさらに強硬になっている。この件については昨日20日付の日本経済新聞に詳しくあるが、日本近海でも俄かにさざ波が立ち始めているように感じる。レガシーづくり、次期政権への足かせなどなど。トランプ大統領が自身の大統領任期中に対中強硬姿勢を強める理由はいくらでもある。さらにバイデン政権でもその政策は継承せざるを得なくなりつつある。この点、次の機会にさらに考えてみたい。
さて、後場の東京株式市場で日経平均は底堅く推移しそうだ。米国追加経済対策の発動に関し米議会与野党が合意したことで、一旦材料出尽くし感が漂うことに加え、新型コロナ感染拡大への警戒感がさらに強くなっており、前場は売りに押される展開となった。しかし、下値を売り急ぐ動きはなく、後場は株価の底堅さが意識されそうだ。また、日経平均の25日移動平均線が26400円台に位置しており、この先、下値支持線として機能するとの指摘もある。さらに前場のTOPIXの下落率が0.65%で、日銀によるETF買入れの思惑が台頭する可能性もある。
■ドル・円は弱含み、クロス円で円買い
21日午前の東京市場でドル・円は弱含み。新型コロナウイルスのまん延や変異種の発見などで日経平均株価が前週末比100円超下げ、リスク回避的な円買いが先行。ポンド・円主導でクロス円が値を下げ、ドル・円は追随して一時103円20銭台に沈んだ。
ここまでの取引レンジは、ドル・円は103円27銭から103円56銭、ユーロ・円は125円91銭から126円59銭、ユーロ・ドルは1.2178ドルから1.2235ドル。
■後場のチェック銘柄
・土屋ホールディングス<1840>、バルミューダ<6612>など、6銘柄がストップ高
※一時ストップ高(気配値)を含みます
・値下がり寄与トップはファナック<6954>、同2位がファーストリテ<9983>
■経済指標・要人発言
【要人発言】
・菅政権関係者
「菅首相はドルが100円を割り込まないようにしている」(報道)
<国内>
14:00 コンビニエンスストア売上高(11月) -4.3%
<海外>
特になし
<HH>
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