前日7日の米国株式市場のダウ平均は62.95ドル高(+0.17%)と反発。連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ終了期待に買いが続いた。特に、AI(人工知能)技術への期待再燃で半導体銘柄を中心にハイテク株が強く、相場全体の上昇を後押しした。
ナスダック総合指数は大幅反発、主要株価指数がそろって上昇した米株市場を横目に、日経平均は前日比257.84円安の32600.47円と続落して取引を開始した。その後は、下げ幅を広げる展開となっている。
個別では、東エレク<8035>やレーザーテック<6920>などの半導体関連株が軟調に推移。また、トヨタ自<7203>やホンダ<7267>などの自動車関連株、三菱商事<8058>
や三井物産<8031>などの商社株、川崎船<9107>や日本郵船<9101>などの海運株も下落。ソフトバンクG<9984>、ソニーG<6758>、ファーストリテ<9983>、キーエンス<6861>、信越化<4063>、JT<2914>、三菱重工業<7011>なども下落した。ほか、上半期上振れ決算となったが好材料出尽くし感が先行したビューティガレージ<3180>が急落、グッドコムアセット<3475>、三井E&S<7003>などが値下がり率上位となった。
一方、三井住友<8316>や三菱UFJ<8306>などの金融株の一角、日本航空<9201>やANAホールディングス<9202>などの空運株が堅調に推移した。また、ニトリホールディングス<9843>、ゆうちょ銀行<7182>、リクルートHD<6098>、ルネサス<6723>なども上昇した。ほか、第一生命HD<8750>による新たな買収提案が発表されたベネフィット・ワン<2412>、前日にスモールミーティングを開催したニチレイ<2871>が急騰、ローム<6963>、エアトリ<6191>、リログループ<8876>などが値上がり率上位となった。
セクターでは、輸送用機器、ゴム製品、鉄鋼など幅広い業種が下落する一方で、空運業、銀行業、パルプ・紙、陸運業の4業種のみ上昇した。東証プライム市場の値上がり銘柄は16%、対して値下がり銘柄は82%となっている。
今日の東京株式市場は売りが先行した。外為市場でドル=144円10銭台と急速に円高・ドル安に振れたことが、東京市場で輸出株などを中心に買い手控え要因となった。また、昨日の日経平均が33000円近辺に位置する25日移動平均線を再び下回ったことから、相場は調整局面にあるとの見方もあった。そのほか、メジャーSQを控えて株価指数先物にも短期筋とみられる売りが断続的に出ているもよう。アジア市況では、上海総合指数が堅調に推移する一方で、香港ハンセン指数が下落しており、強弱入り混じる展開となっている。
なお、取引開始前に発表された10月の家計調査は2人以上世帯の実質消費支出が前年同月比2.5%減少(市場予想:同3.0%減)した。また、4-9月期の国内総生産(GDP)改定値は実質前期比0.7%減、年率換算では2.9%減だった。そのほか、10月の国際収支状況(速報)によると、経常収支は2兆5828億円の黒字だった。QUICKがまとめた民間予測の中央値は1兆8919億円の黒字だった。
さて、後場の日経平均もマイナス圏での軟調推移が続くか。植田総裁は7日の参院財政金融委員会で「年末から来年にかけて一段とチャレンジングになる」と述べており、政策修正を意識した円買い・ドル売りが膨らんだ。不安定な動きとなる中、引き続きプライム市場の輸出関連株など主力銘柄はさえない動きとなろう。また、米株先物の動向を横目に、米雇用統計の発表を控えて買い進む動きは限定的となりそうだ。ただ、個別材料銘柄や一部の新興株などグロース株には物色が向かっており、指数は冴えないながらも個別銘柄の動きには注目が集まろう。
(山本泰三)
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