―超高齢化社会進み人材確保は喫緊の課題、需要に適合した人材の移動がカギ握る―
「2025年問題」や「2030年問題」といった言葉を耳にしたことがあるだろうか。25年には団塊世代(1947~49年生まれ)が75歳以上の後期高齢者となる。また30年には日本の人口の約3割が高齢者となる。この超高齢化社会の進展に伴い、社会保障費の増大など多くの問題が引き起こされることが懸念されている。そんな高齢化とともに、我々がいま直面する大問題の一つが「人手不足」だ。超高齢化社会が進むとともに、元気に仕事ができる人々に対していかに活躍の場を提供するかが重要なポイントになる。そんななか、市場では「人材」関連銘柄が注目を集めている。
●民間や公的分野などさまざまな分野で人手不足に
23年2月に行われた調査で、成田空港内の事業所で働く人数は6年前からおよそ7000人減少したことがわかったと報じられている。言うまでもなくこの減少の背景にあるのは「コロナ禍」である。コロナ禍の最中には、キャビンアテンダントが全く異なる農業や飲食といった人手不足の業界・企業に出向のような形で一時派遣され、新天地でなんとか適応しようと奮闘する姿がメディアでも詳しく報じられたことは記憶に新しい。しかし、足もとで航空需要は既に回復しているほか、29年3月には3本目となる新滑走路が完成し、空港利用者の大幅増は既定路線だ。報道によると、新滑走路増設などに伴って従業員は現在の2倍規模の7万人必要になると試算されている。このため、人材確保が急務とされている。
しかし、人が足りていないのは何も需要が急回復している航空業界に限った話ではない。例えば、自衛官など公的分野でも同様だ。23年版の防衛白書には、自衛官の確保策について「民間の人材を活用する」と明記されている。自衛隊は、今や現実世界だけでなく宇宙領域やサイバー領域についても対応が求められるなか、減少傾向にある人材の確保に向けて門戸を開き始めたのだ。実際、航空自衛隊が「虎ノ門ヒルズビジネスタワー」のシェアオフィス内に「宇宙協力オフィス」を設置したことが話題となった。現在民間企業との交流を鋭意図っているが、最先端の情報を入手する以外にも「人材面」に関する狙いもありそうだ。足もとでは厚生労働省が診療報酬改定について方向性の案を示したが、医療分野でも処遇改善を通じて人材確保を図っていくことが重点課題として位置付けられている。他にも例を挙げればきりがないほど、「人材確保」が多くの業界・企業で真剣に議論されている。
●一方でデジタル化進展に伴い余剰人員発生の皮肉な現実も
一方、生成AI「ChatGPT」に代表されるようにAI、DX(デジタルトランスフォーメーション)が盛んにビジネスの世界では取り上げられている。しかし、AIやDXはただ我々に楽をさせてくれるだけでは決してない。一部試算によると、30年にはこうしたデジタル化を背景に、460万人ほどの働き手の「余剰」が生まれるとされている。人手不足が叫ばれるなかで、人余りも発生するという皮肉な現実が存在する。自分自身が「余剰人員」に該当する可能性がある場合、リスキリングなどの企業からの掛け声に応じて自らを高め、残留(=配置転換)にも転出(=転職)にも対応できる態勢を整えることが必要だろう。
さて、この人手不足の一方、今後は人員余剰も生まれるという相反する状況が予測されるなか、重要になるのは間違いなく、働き手を必要とされる業界へとスムーズに移行・移動させるかに尽きる。例えば、リクルートホールディングス <6098> [東証P]及びベネッセホールディングス <9783> [東証P]は乳幼児から小中高生、大学・社会人向け教育から人材派遣、そして介護業界へと人の生涯に沿ったビジネスを提供しており、人材関連としての中核的な位置付けになるだろう。そこで以下では、IT人材派遣を主力とする企業や各業界において 技術者派遣や人材教育などを手掛けている企業を中心にピックアップした。
●オープンUP、ジェイエイシ、ビジョナルなど注目
オープンアップグループ <2154> [東証P]~エンジニア派遣事業サービスを提供しており、未経験者をエンジニアとして育成するために研修プログラムとキャリアサポートを行う。最適な人材マッチングを実現し、人材の育成とキャリアパスの支援を可能とさせている。国内技術・技能社員数は2万2000人を超える。IT開発やシステムサポート、建設分野における施工管理技術者派遣やCADオペレーター派遣、各製造業の製造工程に係る派遣・請負などを行う。
パーソルホールディングス <2181> [東証P]~総合人材サービスグループであり、人材派遣サービス、転職サービス、ITアウトソーシングや設計開発などを提供する。人材派遣サービス「テンプスタッフ」、転職サービス「doda(デューダ)」などを提供するほか、法人に向けた人材獲得・育成、ソリューションなどで支援する。
ジェイエイシーリクルートメント <2124> [東証P]~海外進出関連業務などのインターナショナル領域で活躍する管理職人材、役員や幹部人材、スペシャリスト人材に特化した人材紹介サービスを提供する。また、グループではコンサルタントを外国人またはバイリンガルで構成し、バイリンガル人材の採用ニーズに対応している。日本企業のグローバル展開支援において強みを持つ。
アウトソーシング <2427> [東証P]~人材派遣サービスを提供しており、生産サイクルに合わせて、熟練スタッフをフレキシブルに投入するPEO(習熟作業者派遣組織)サービスを展開している。製造・研究開発部門での業務請負や人材派遣を国内外で展開しており、海外売上高比率が5割強を占める。なお、23年12月期第2四半期報告書の提出期限延長(再延長)を行っており、11月14日までに公表を行う予定。
ビジョナル <4194> [東証G]~ビジネスプロフェッショナル、国内外の優良・成長企業、各業界に精通したヘッドハンターをマッチングする、即戦力人材に特化した転職サイト「ビズリーチ」を展開。また、大学生のキャリア形成を支援する「ビズリーチ・キャンパス」、キーワードによって最適な求人情報を一括で探すことができる求人検索エンジン「スタンバイ」を提供する。ビズリーチ事業のほか、人材管理クラウドなどを扱うHRMOS事業が伸長し、23年7月期の営業利益は前の期比59.7%増の132億2500万円で着地した。
インソース <6200> [東証P]~講師派遣型研修やオープンセミナー型研修、eラーニング・動画・映像制作、コンサルティング、人材紹介を展開する。リーダー・管理職研修や人的資本経営、ダイバーシティなどさまざまな研修コンテンツを手掛けている。最近では個人のスキル開発需要に応える新シリーズ「insource Reskilling(インソースリスキリング)」を開発し、11月より公開講座を開催する。また、野村ホールディングス <8604> [東証P]傘下の野村証券と連携し、動画・eラーニングコンテンツ「アニメで学ぶ金融リテラシー講座」を新たに開始した。
株探ニュース
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