―ドローン関連「Liberaware」も注目、流通市場で人気銘柄目立つ―
夏のIPOシーズンが始まる。足もとでは、依然として中小型株の上値は重い状態が続き、 IPO銘柄もかつてのような盛り上がりはみられない。ただ、6月IPOでは初値をつけた後のセカンダリー(流通)市場での株価上昇も目立った。そんななか、7月IPOでは今日東証グロース市場に新規上場したPRISM BioLab <206A> [東証G]を含め最大で7社が登場する。そのポイントを探った。
●米利下げ観測で中小型株に見直し期待余地も
2024年上半期(1~6月)の東京市場は、中小型株には厳しい展開が続いた。この半年間のグロース250指数は約6%下落。日経平均株価の約18%上昇とは対照的で、中小型株は物色の蚊帳の外に置かれた。中小型株は、「低PBR是正」や「株主還元の拡充」といったテーマにも乗りにくいことも買い手控え要因となった。ただ、そんななかでもグロース250指数の6月月間は約7%上昇した。インテグラル <5842> [東証G]やライフネット生命保険 <7157> [東証G]、サンバイオ <4592> [東証G]、BuySell Technologies <7685> [東証G]などの銘柄に買いが流入している。米国の利下げ期待が高まるなか、「今後は中小型株にも物色人気が波及する可能性も」(アナリスト)と期待する声も市場にはある。
●6月IPOは流通市場での人気化が目立つ
直近IPO銘柄を物色する動きも強まっている。6月IPOでは、金融・経済情報SNSを運営するPostPrime <198A> [東証G]の初値は公開価格と同水準だったが、流通市場では一気に人気が膨らみ公開価格から一時3倍強に跳ね上がった。動物病院を運営するWOLVES HAND <194A> [東証G]も公開価格から2.1倍に上昇。豆蔵デジタルホールディングス <202A> [東証G]も配当利回りが4%程度の水準にあることが注目されている。「投資妙味があり落ち着いた水準で初値がついた銘柄には見直し買いが入っている」(市場関係者)という。
●人手不足のなかスポットワーク最大手の成長性に期待
そんななか、7月IPOが始まった。2日に新規上場し今月のトップバッターとなったPRISM BioLabの初値は、公開価格を約9%上回った。同社は独自の創薬基盤技術(PepMetics技術)を用いた新薬の研究・開発を手掛けている。資金吸収額は20億円程度だった。7月は同社を含めて最大で7社が登場する。その内訳はスタンダード市場に3社(うち1社は名証メインとの重複上場)、グロース市場に4社といったものだ。
7月IPOの目玉として注目されているのが、26日から8月1日のいずれかの日に上場するタイミー <215A> [東証G]だ。同社は働きたい時間と働いてほしい時間をマッチングするスキマバイトサービス「タイミー」を展開。「スポットワーク」仲介の最大手で、働き手はアプリで求人に応募し、登録者数は4月末時点で770万人を数える。会社設立は17年で、社長の小川嶺氏は27歳と若い。24年10月期の経常利益は前期比88.3%増の36億2300万円の予想。想定仮条件から弾いた最大の資金吸収額は530億円前後、時価総額は1300億円台の見込みだ。資金吸収額では3月に上場したトライアルホールディングス <141A> [東証G]の約450億円を上回る今年最大規模のIPOとなりそうだ。人手不足を背景に業績は拡大基調にあるなか、海外市場での株式売り出しも予定しており「海外投資家の評価も株価を左右しそうだ」(市場関係者)とみられている。
●小型ドローン開発のLiberawareに期待感
29日に上場するLiberaware <218A> [東証G]も関心を集めている。同社は天井裏やトンネル、配管内など狭小空間を安定して飛ばせる小型ドローン や非GPS環境下の屋内空間を自律飛行できるドローンの開発などを行っている。世界最小クラスの産業用ドローンを手掛ける実力が関心を集めている。業績は赤字が続いているが、想定されている資金吸収額は10億円程度と小型だ。
●フィットイージーやFaber Companyなども
18日にはカドス・コーポレーション <211A> [東証S]が上場する。同社は山口県を本拠としており、店舗の建築工事や土地活用の提案などの不動産事業を展開。資金吸収額は10億円強の見込みだ。23日にはフィットイージー <212A> [東証S]が登場する。同社はアミューズメントフィットネスクラブの運営・企画などを展開している。アミューズメント要素を取り入れたフィットネスクラブを5月末時点で全国158店舗展開している。資金吸収額は40億円強の見込み。
30日にはHeartseed <219A> [東証G]が上場する。同社はiPS細胞を用いた心筋再生医療等製品の研究・開発を手掛ける。業績は赤字基調で資金吸収額は20億円強の見込み。31日にはスタンダード市場にFaber Company <220A> [東証S]が登場する。クラウド経由でソフトウェアを提供するSaaSやフリーランス人材を活用したマーケティング支援などを手掛ける。資金吸収額は10億円強が見込まれている。
■7月IPO一覧
上場日 コード・上場市場 企業名 主幹事
2日 206A・東G PRISM BioLab SMBC日興
18日 211A・東S カドス・コーポレーション SMBC日興
23日 212A・東S
・名M フィットイージー 大和
26日~8月1日
215A・東G タイミー 大和、三菱UFJ
29日 218A・東G Liberaware SMBC日興
30日 219A・東G Heartseed SMBC日興、SBI
31日 220A・東S Faber Company SBI
(注)東Sは東証スタンダード、東Gは東証グロース、名Mは名証メイン◆
株探ニュース
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