3. 基礎工事とは
基礎とは、建築構造物や土木構造物の荷重を地盤に伝え、安全に支える構造のことである。構造物の基礎は安定した地盤に直接建設するのが良いとされるが、軟らかい地盤の場合はその下方にある硬い地盤(支持層)で支えなければならず、「地盤と建物の条件に適した土台づくり=基礎工事」が必要とされる。日本は地震が多いうえ、人口の大半が河川下流の土砂が堆積した平野に集中しているため、特に基礎工事は重要視される。基礎工事は主に、支持層が浅い場合の直接基礎と支持層が深い場合の杭基礎に分けられる。そのほかにも軟弱地盤上での浮き基礎や液状化対策を兼用した基礎など、地盤の条件によって様々な工法がある。
このうち直接基礎は、支持層が1メートル以内と非常に浅い場合(または建築物が非常に軽い場合)に、基礎を直接地面に建てる工法である。直接基礎には地盤改良を併用する場合も含まれ、支持層が1~2メートルとやや浅い浅層改良と、2~10メートル程度のやや深い深層改良があり、いずれも原地盤に改良材などを混ぜ合わせながら硬い地盤に変えていく工法である。地盤改良は、基礎工事のみならず山留めや土壌汚染対策などにも採用される。
杭基礎は、支持層がおおむね10メートルより深い場合に用いられる工法である。杭工事は建築物の支え方で、杭の先端を硬い支持層に到達させて支える支持杭と、杭周面の地盤との摩擦力で支える摩擦杭に分けられる。また製造方法で、工場で製造され均一性や施工の容易さに特徴のある既製杭と、工事現場で製造するため杭径の大きさなどの調整が利きやすい場所打ち杭に分けられる。場所打ち杭は、高層ビルなど重量の非常に重い構造物や既製杭での施工が難しい特殊な地盤などに用いられる。既製杭は材料によって、靱性(大地震にねばれるしなやかさ)が高い鋼管杭と、プレストレスをかけた超高強度コンクリートにより高い支持力が得られるコンクリート杭に分けられる。鋼管杭は加工しやすいことから、鋼管の先端に羽根を取り付けるなど支持力を高める工夫や、セメントと鋼管の長所を兼ね備えたハイブリッドな合成杭の利用なども可能となっている。
基礎工事の対象は、様々な地盤に建つ戸建て住宅から高層ビルや橋梁まで大小多岐にわたる建築・土木構造物となるため、基礎工事を行う企業も中小企業から大企業まで様々である。また、基礎工事では地中が目視できない分、「品質が良くて当たり前」という施工への信頼が重要な前提条件となる。近年では大地震や大型台風、集中豪雨といった激甚災害に対する防災意識の高まりから、基礎工事は一般の人からの注目も増している。そうした業界で、同社のように杭工事と地盤改良工事の両工法を有する企業は極めて少なく、同社の大きな特長となっている。また、施工品質の信頼を高めるため、施工管理システムの開発なども行っている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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