2. 2023年3月期の業績見通し
テノックス<1905>は2023年3月期の業績について、売上高17,500百万円(前期比18.1%増)、営業利益450百万円(同3.5%減)、経常利益500百万円(同3.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益310百万円(同13.4%減)と、期初計画と変わらず増収減益を見込んでいる。日本経済は、コロナ禍から緩やかながら持ち直していくと期待される一方、ウクライナ情勢や原材料・燃料価格高騰の長期化により、依然先行き不透明な状況が続いている。しかし建設業界では、堅調な公共投資の一方、都心再開発や大阪万博に関連する工事をはじめ、高速道路や鉄道などのインフラ整備、勢いのあるデータセンター・工場や回復感が出てきた物流施設・商業施設・半導体関連などへの投資拡大が見込まれている。一方、先行き不安による中小案件の受注競争激化、建設資材価格の高騰、現場従事者の慢性的な不足、脱炭素への対応など下期も引き続き課題が多い。
そうした事業環境下ではあるが、2023年3月期下期も引き続き土木杭工事の完工が予定されている。建築杭工事も半導体工場などの大型物件の施工が予定されている。このため、同社では海外の回復遅れを理由に売上高を保守的に見ているが、会社計画は必達ラインになると思われる。下期の営業利益は、前年同期比48.5%の減少見込みになっている。これは建設資材や燃料などの価格高騰の影響を受けることを想定しているためで、2023年明けごろからセメント系固化材などの価格上昇を見込んでいるためである。価格転嫁に関しては、ゼネコン自身も発注者に要請しており、同社もトライしていると言う。しかし、官庁案件の価格転嫁は比較的スムーズに改定される可能性は高いが、民間案件は受け入れられても改定までに時間がかかり、個々の企業においては負担が増えると同社は考えているようだ。このため下期の大幅営業減益予想としたが、現在の業界環境や受注状況を考えると、弊社は保守的な予想であると考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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