24日の米株式市場でNYダウは4日続伸。424ドル高となり、1週間ぶりに過去最高値を更新した。パウエル連邦準備理事会(FRB)議長が下院公聴会でも長期にわたり金融緩和を維持する方針を繰り返したほか、食品医薬品局(FDA)がジョンソン・エンド・ジョンソンの新型コロナウイルスワクチンの緊急使用許可を支持する報告書を発表。景気回復への期待が高まった。ハイテク株比率の高いナスダック総合指数も3日ぶりに反発。電気自動車(EV)のテスラが6%の上昇となった。本日の日経平均もこうした流れを好感して405円高からスタートすると、朝方には一時30213.28円(541.58円高)まで上昇。その後も高値圏で堅調に推移した。
個別では、売買代金トップのソフトバンクG<9984>が3%超上昇しているほか、任天堂<7974>、ファーストリテ<9983>、ソニー<6758>、東エレク<8035>といったその他売買代金上位も全般堅調。SUMCO<3436>は一部証券会社の目標株価引き上げを受けて5%を超える上昇となっている。また、前田建<1824>などとの共同持株会社設立による経営統合を発表した前田道<1883>は株式移転比率を意識した値動きとなり、東証1部上昇率上位に顔を出した。一方、イオン<8267>は売買代金上位のなかで逆行安となり、5%近い下落。2月末の配当等の権利落ち日で、売りがかさんでいるようだ。前日堅調ぶりが目立ったANA<9202>は小幅に反落。また、インフォMT<2492>などが東証1部下落率上位に顔を出している。
セクターでは、その他製品、ゴム製品、金属製品などが上昇率上位で、その他も全般堅調。下落したのは小売業のみだった。東証1部の値上がり銘柄は全体の70%、対して値下がり銘柄は25%となっている。
本日の日経平均は500円近い上昇で前場を折り返し、2月末の配当権利落ち分の影響
(12円程度)をこなしつつ前日の下落分を即座に埋めてきた。一時1.43%と1年ぶりの水準を付けるなど米長期金利の上昇が続くなか、正直なところ巷間言われるような500円近い値幅で行って来いとなるほどの材料があったようには感じられない。ただ、日米株とも高値警戒感がくすぶるなかで、いったん急落を挟む必要もあったのかもしれない。実際、テスラは急落時にキャシー・ウッド氏率いるアーク・インベストメント・マネジメントが買い増ししたことが明らかになり、急反発した。株式相場全体の底堅さを象徴するような動きで、安心感につながっただろう。
また、前日は香港ハンセン指数が1993年以来となる株取引の印紙税率引き上げを嫌気して急落。本日の動向が注目されたが、ひとまず反発している。
一方、今週に入り米政権の用意する1.9兆ドル規模の経済対策は過大であり、インフレを加速するとの懸念も浮上してきた。前日の東京株式市場では不動産株やファーストリテが逆行高を演じていたが、「コロナ後の経済」を模索する投資家心理を表しているようだ。株式相場の底堅さが改めて確認できた一方、揺れる投資家心理に大きく振らされる場面が改めて出てくるかもしれない。このあたりの詳しい話はまた次回以降としたい。
(小林大純)
<AK>
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