1. 長期経営指針「ND For The Next 2030」
今後は人口減少などを背景に新築ビルが続々と建てられるような時代ではなくなることから、足もとで好調の空調計装関連事業の新築工事も長期的には現状以上に大きく広がらない見通しである。一方、既設工事では、築年数の経過とともに改修時期の到来する大型ビルが増加していくことが想定されるが、改修に応じられる企業も少なくなっている。また、日本のエネルギー政策※1から、脱炭素社会の実現に向けて環境ビジネス市場は堅調に拡大すると予測されており、とりわけ建設業界ではビルを中心に究極の省エネであるZEB※2の実現に向けた取り組みが進められている。このため、省エネ・省力化を実現する日本電技<1723>の「計装エンジニアリング」技術に対する需要はますます高まると考えられている。産業システム関連事業においては、中長期的にAIやIoT、ICT技術といったDXを活用した工場のデジタル化(スマートファクトリー化)が追い風となって、市場が大きく広がることが期待されている。なかでもプロセスオートメーションやファクトリーオートメーションなど、工場設備の更新や生産管理システムの構築に関連する需要の増加が見込まれている。以上から、空調計装関連事業については同社を支える安定収益源、産業システム関連事業については成長ドライバーと考えている。短中期的には、好調な空調計装関連事業のなかでも既設工事につながる新築工事で収益を積み上げるとともに、産業システム関連事業の独り立ちを進め、既設工事のさらなる積み上げを図り、開拓余地が大きい産業システム分野に積極的に経営資源を投入し、産業システム関連事業の成長に弾みをつける考えである。
※1 国は2050年までにカーボンニュートラルの実現や2030年度に温室効果ガスを2013年度から46%削減することを目指している。
※2 ZEB:ネット・ゼロ・エネルギー・ビルのこと。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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