明日の株式相場に向けて=「国家安全保障」の大潮流に乗る三菱重
きょう(3日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比506円高の4万580円と大幅高で4日続伸。前日の米国株市場では米長期金利の低下を背景にハイテク株への資金流入が続き、ナスダック総合株価指数が連日の最高値、更に機関投資家がベンチマークとするS&P500指数も終値で初の5500ポイント台乗せを果たし史上最高値を更新した。加えて、外国為替市場では日銀の存在など完全スルーと言わんばかりの円売り攻勢が続き、1ドル=161円台後半の円安に振れている。止まらない円安は政府・日銀にすれば気が気ではないが、株式市場にすれば輸出企業のEPS向上、あるいはインバウンド消費を増幅させる順風として大いにウェルカムというのが本音のようだ。
6月は海外投資家が日本株の持ち高を減らす傾向があり、過去10年間を振り返ると買い越したのはわずか2回、つまり8回は売り越していることになる。対して7月は10年間で6回買い越しという実績であり、今年も今月は買い戻しのタームに入る公算が小さくなさそうだ。そして、出足はどうやらその気配を漂わせている。
足もとで相場の景色もガラッと変わってきた。日経平均が4万円大台ラインを通過点とする大出直りを演じているのは事実だが、それとは違う意味で舞台が大きく回ったような印象を受ける。これまでは日米で生成AIが無双のテーマ性を発揮し、これがAI用半導体、データセンター、電力関連、エッジAIと物色領域を横に広げながら関連銘柄を刺激してきた。もちろん、これらのテーマ性が色褪せることはないが目先やや食傷気味となっていた。そこに、物色テーマとして急浮上し新たな潮流を発生させているのが「国家安全保障」だ。
米大統領選は決戦の11月5日まできっちり4カ月の時間が残されており、当然ながらまだ予断を許さないが、第1回テレビ討論を経た現状はトランプ氏が断然優位に立っている。というよりは、バイデン氏が勝利するというイメージが雲散霧消してしまったということに尽きる。これが株式市場にも大きなインパクトを与えた。「もしかしてトランプ」が「ほぼトランプ」というコンセンサスに変わってきたことで、これがマーケットの物色の流れをも支配するに至っている。
トランプ氏は同盟国に対して、軍事面で米国に頼り過ぎず自ら軍備拡大を行うことを強く要請している。トランプ大統領再選となれば防衛予算拡大に岸田政権はまい進するとの思惑が強まるなか、一方で米国の対中規制強化という政策も同時進行することになる。中国が態度を硬化させ、台湾有事という地政学リスクの蓋然性が高まっている。国家安全保障イコール防衛関連株への投資資金誘導が鮮明である。
そして、これが紛れもなく防衛省との取引額で群を抜く三菱重工業<7011.T>が怒涛の株高を続ける背景となっている。株価上昇だけではない。きょうの東京市場でディスコ<6146.T>やレーザーテック<6920.T>を押さえ、三菱重が売買代金トップに躍り出たのは特筆に値する。このほか、川崎重工業<7012.T>やIHI<7013.T>など“リアル防衛関連”が高値圏を突き進む展開となっている。また、リアル防衛関連ということであれば、防衛大手の一角であるNEC<6701.T>や三菱電機<6503.T>も外せない。
防衛関連という切り口ではサイバー空間も重要なエリアである。内閣サイバーセキュリティセンターは今月から人員を倍増させ、幹部ポストを新設することが伝わっている。既にサイバー防衛関連株が一様に動意づいており、その背景には企業へのランサムウェア被害が相次いでいることもあるが、国家安全保障という国際的な大きな枠組みの中で、有事を意識したこれまでとは違った潮流が発生している。FFRIセキュリティ<3692.T>やトレンドマイクロ<4704.T>などがそれを映している。このほかサイバーセキュリティクラウド<4493.T>などもマークしておきたい。
あすのスケジュールでは、対外・対内証券売買契約、6月の輸入車販売、6月の車名別新車販売、6月の軽自動車販売など。このほか、30年物国債の入札が予定されている。また、日本最大級のスタートアップカンファレンス「IVS2024 KYOTO」が6日までの日程で開催される。海外では5月の豪貿易収支、5月の独製造業新規受注のほか、英国では総選挙が行われる。なお、米国は独立記念日の祝日で休場となる。(銀)
出所:MINKABU PRESS
6月は海外投資家が日本株の持ち高を減らす傾向があり、過去10年間を振り返ると買い越したのはわずか2回、つまり8回は売り越していることになる。対して7月は10年間で6回買い越しという実績であり、今年も今月は買い戻しのタームに入る公算が小さくなさそうだ。そして、出足はどうやらその気配を漂わせている。
足もとで相場の景色もガラッと変わってきた。日経平均が4万円大台ラインを通過点とする大出直りを演じているのは事実だが、それとは違う意味で舞台が大きく回ったような印象を受ける。これまでは日米で生成AIが無双のテーマ性を発揮し、これがAI用半導体、データセンター、電力関連、エッジAIと物色領域を横に広げながら関連銘柄を刺激してきた。もちろん、これらのテーマ性が色褪せることはないが目先やや食傷気味となっていた。そこに、物色テーマとして急浮上し新たな潮流を発生させているのが「国家安全保障」だ。
米大統領選は決戦の11月5日まできっちり4カ月の時間が残されており、当然ながらまだ予断を許さないが、第1回テレビ討論を経た現状はトランプ氏が断然優位に立っている。というよりは、バイデン氏が勝利するというイメージが雲散霧消してしまったということに尽きる。これが株式市場にも大きなインパクトを与えた。「もしかしてトランプ」が「ほぼトランプ」というコンセンサスに変わってきたことで、これがマーケットの物色の流れをも支配するに至っている。
トランプ氏は同盟国に対して、軍事面で米国に頼り過ぎず自ら軍備拡大を行うことを強く要請している。トランプ大統領再選となれば防衛予算拡大に岸田政権はまい進するとの思惑が強まるなか、一方で米国の対中規制強化という政策も同時進行することになる。中国が態度を硬化させ、台湾有事という地政学リスクの蓋然性が高まっている。国家安全保障イコール防衛関連株への投資資金誘導が鮮明である。
そして、これが紛れもなく防衛省との取引額で群を抜く三菱重工業<7011.T>が怒涛の株高を続ける背景となっている。株価上昇だけではない。きょうの東京市場でディスコ<6146.T>やレーザーテック<6920.T>を押さえ、三菱重が売買代金トップに躍り出たのは特筆に値する。このほか、川崎重工業<7012.T>やIHI<7013.T>など“リアル防衛関連”が高値圏を突き進む展開となっている。また、リアル防衛関連ということであれば、防衛大手の一角であるNEC<6701.T>や三菱電機<6503.T>も外せない。
防衛関連という切り口ではサイバー空間も重要なエリアである。内閣サイバーセキュリティセンターは今月から人員を倍増させ、幹部ポストを新設することが伝わっている。既にサイバー防衛関連株が一様に動意づいており、その背景には企業へのランサムウェア被害が相次いでいることもあるが、国家安全保障という国際的な大きな枠組みの中で、有事を意識したこれまでとは違った潮流が発生している。FFRIセキュリティ<3692.T>やトレンドマイクロ<4704.T>などがそれを映している。このほかサイバーセキュリティクラウド<4493.T>などもマークしておきたい。
あすのスケジュールでは、対外・対内証券売買契約、6月の輸入車販売、6月の車名別新車販売、6月の軽自動車販売など。このほか、30年物国債の入札が予定されている。また、日本最大級のスタートアップカンファレンス「IVS2024 KYOTO」が6日までの日程で開催される。海外では5月の豪貿易収支、5月の独製造業新規受注のほか、英国では総選挙が行われる。なお、米国は独立記念日の祝日で休場となる。(銀)
出所:MINKABU PRESS
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