「ギリシャ危機はショック・ドクトリン」
日経平均の日足チャートでは、大きな窓を空けて下落。下値メドとして意識されていた下方の窓(20433.30円-20531.13円)を突き抜け、チャートが完全に崩れている。ほぼ安値で引けたことで、先安観はかなり強い。目先は下方の窓(19890.27円-19946.75円)に向けて下落することになり、短期的には220円程度の下落余地あるだろう。
さて、懸案となっているギリシャ問題だが、ユーロ圏はいったんギリシャを見捨てる作戦に出たようだ。もちろん、最終的には救済することになるのだが、見せしめ的にギリシャを追い込むつもりであろう。そうすることによって、南欧諸国であるスペインやイタリアに対する脅しとして使える。「ギリシャのようになりたくなければ、緊縮財政を進めなさい」「ユーロ圏の言うことを聞きなさい」となるのだ。
もちろん、ユーロ圏の目標は、政治的な統合である。現在は、ユーロで通貨統合したが、政治的にはバラバラとなっている。将来的には「欧州合衆国」を作ることが目的であり、そのなかの「ギリシャ危機」であるのだ。危機を利用して政治的な目的を達成する「ショック・ドクトリン(惨事便乗型政策転換)」の一環であり、そういった“眼”で市場を見る必要がある。ギリシャのユーロ圏離脱は、EU側にはほとんどメリットがなく、最終的には残留させることになるのだ。同時にギリシャばかりに目を奪われていると、中国バブルの崩壊を軽視しやすくなる。上海総合指数は本日も5%以上の下落となっており、連日の大幅安となっている。日本は経済的なつながりがある中国株の動向を重視すべきであり、ギリシャ問題が一段落しても、中国株のせいで日本株が暴落する可能性も残されている。投資家としてはチャートに忠実にトレードすることが重要であり、イベントを勝手に解釈することは御法度だ。「ギリシャ救済=株価上昇」とならないケースもあるということである。(黒岩の眼より)