期待と不安が交錯する米雇用統計＝外為どっとコム総研 神田卓也

期待と不安が交錯する米雇用統計

昨日のドル/円は、欧州時間に119.00円台まで弱含んだが、ＮＹ時間には119.80円台まで切り返した。米週次新規失業保険申請件数が予想を下回り、４週平均が2000年５月以来の低水準に改善した事で本日発表される米４月雇用統計への期待感が醸成された模様だ。

ただし、昨日は４月の米企業人員削減数が発表されており、前年比で50％を超える大幅な増加を記録した。前日の米ＡＤＰ全国雇用者数の増加幅が16.9万人にとどまった事と相まって、4月非農業部門雇用者数への不安を拭いきれない状況だろう。

今回の米雇用統計は期待と不安が交錯したまま発表を迎える事になり、投資家らは事前にポジションを傾けにくいと見られる。その分だけ、発表後のドル/円相場は急激かつ大幅な変動に見舞われる可能性があろう。

なお米４月雇用統計では、米労働市場の広範囲な基調を確認する上で、非農業部門雇用者数と失業率の他、平均時給や労働参加率および不完全雇用率（広義の失業率）などにも注目が集まっている。また、増加幅が12.6万人にとどまった３月非農業部門雇用者数の修正値にも注目しておきたい。